クロスチャネル行動メッセージングの適切なバランスを探し出す
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 行動メッセージングの一般的なシナリオにベストプラクティスを適用する。
- 行動マーケティングの潜在的リスクについて説明する。
- 行動マーケティングソリューションに倫理的な推奨事項を適用する。
Trailcast
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消費者は接続されてパーソナライズされたエクスペリエンスを期待する
接続されてパーソナライズされたエクスペリエンスを期待する消費者は増え続けています。消費者は、Web、モバイル、メール、コールセンター、スマートデバイスなど、さまざまなチャネルを通してブランドとやり取りします。消費者を 1 人の個人として扱い、そのニーズに真に応えるためには、さまざまなタッチポイントを通して消費者を理解する必要があります。次に、適切なタイミングで適切なチャネルを通して積極的に消費者と関わることで良い印象を与えることで、ブランドロイヤルティを高めます。
ただし、やり方を間違えると、エクスペリエンスをパーソナライズするためのツールがプライバシーの侵害やブランド嫌悪を招き、ビジネスに悪影響を及ぼします。Salesforce は、テクノロジーを良い方向で活用することに貢献しています。この単元では、クロスチャネル行動 (トリガーベース) メッセージングの機能、その倫理的な使用、そして顧客第一のベストプラクティスについて学習します。
では、行動メッセージングの定義から始めましょう。行動メッセージングとは、最も単純に言えば消費者が示した関心に基づくものです。たとえば、消費者が店頭や Web サイトで特定のアクション (特定の商品のクリックや特定のカテゴリの閲覧など) を起こしたときにトリガーされるコミュニケーションを設定します。
前の単元で学習したように、パーソナライズへの倫理的なアプローチとは、顧客が自らデータの収集に同意し、その見返りにメリットがあることを明確に認識することを意味します。顧客を個人として気遣い、顧客特有のニーズを満たすための手伝いをしたいと思っていることを示すことが必要です。これが行動メッセージングにおいて何を意味するのか、もう少し深く見てみましょう。
行動メッセージングのリスク
顧客は、自分の存在が認められたうえで特別に扱われ、慎重な判断に基づいて共有した個人情報に対して有益な見返りがあることを、かつてないほどに望んでいます。「コネクテッドカスタマーの最新事情」レポートによれば、顧客は、適切かつ正確で、タイムリーなパーソナライズされたエンゲージメントを期待しています。
ですが、行動ベースやトリガーベースのパーソナライズは、役に立つこともあれば、不快になることもあります。顧客を不快にさせるような落とし穴を避けて、倫理的に行動メッセージトリガーを使用して顧客とエンゲージするにはどうすればよいでしょうか?
倫理的な行動マーケティングの推奨事項
消費者は、ニーズに対応し、明確なメリットをもたらして、真のケアを提供するパーソナライズであれば高く評価します。マイナスの要素を抑えつつ、プラスの結果を出せるパーソナライズソリューションを実現するための推奨事項を以下に示します。
好みを収集して尊重する
顧客の好みを尊重し、顧客が共有に同意したデータのみを使用します。同意することと同意しないことによる影響 (メリットと結果) を消費者に明確に説明してください。また、オプトインとオプトアウトの手段を明確にしましょう。
利用者ターゲティング
メッセージングのターゲティングは、統計情報ではなく、消費者が表明した関心に基づいて行います。消費者をありのままに、つまり多種多様な特徴を備えた多面的な個人として捉えましょう。高度に個別化されたメッセージングは、統計データのみに基づくターゲティングよりも効果的です。無意味な、あるいは不正確な連想によってメッセージを歪めてしまうバイアスを減らすことが不可欠です。
マーケティングのコピーは短い説明にとどめましょう。「X にご興味のあるお客様に Y をご紹介します」のようにシンプルなメッセージにすることで、顧客は自分が特定のメッセージや商品の対象となっている理由をすぐに理解できます。
頻度の抑制
多くのメッセージを頻繁に送り続けると、顧客がブランドにマイナスのイメージを持ってしまいます。不要なメッセージが頻繁に届くと、顧客は迷惑だと感じてブランドから離れてしまうこともあります。では、どのくらいの頻度でメッセージを送るべきでしょうか? 毎日 1 回? 月に 10 回? 正解はあるのでしょうか? これは微妙なバランスだと言えます。もちろん、顧客には関心を持ってもらいたいと思っているはずです。ですが、メッセージを相手に過剰に送り続けることは逆効果にもなりかねません。
効果的なメッセージング戦略は、クロスチャネルで、すべての潜在的なマーケティングタッチポイントを考慮する必要があります。消費者にとって最も関連性が高く、最も信頼を築きやすいチャネルを優先しましょう。メッセージングの制約を設定して、全体的なメッセージレートを管理します。行動ベースとトピックベースのトリガーをカスタマイズして、全体的なメッセージのノイズを減らし、消費者に対する関連性を高めます。
行動メッセージングのシナリオ
ブランドの消費者エクスペリエンスを強化する倫理的アプローチをどのように適用するかを理解するために、行動メッセージの一般的なシナリオを探ってみましょう。
カート放棄
カート放棄は、行動メッセージングに関する小売業者の正規のユースケースです。現実的に考えましょう。消費者である私たちは、注意力が散漫で、注意を短時間しか持続できません。たとえば、航空機チケットを予約する必要があるとします。適切な便を見つけて座席を選び、受託手荷物を 2 つ購入し、クレジットカード情報を追加します。そこで電話が鳴ったため、[今すぐ予約] ボタンをクリックせずに電話に出ます。30 分後に、まだ座席を確保しているので購入を完了するようにというリマインダーメールが航空会社から届きます。このタイムリーなリマインダーが届かなければ、思い出したときにはすでにチケットの購入はキャンセルされていたでしょう。このメッセージングエクスペリエンスは、予約を失うことなく状況を回復するのに役立ちました。パーソナライズがもたらすこのような価値は、ロイヤルティを築き、収益を保証します。
倫理的なパーソナライズのベストプラクティスに準拠して、タイムリーでコンテキストに応じたカート放棄メールや通知の設定を検討してください。次のステップを明確に示したメッセージをすみやかに、あるいはタイムリーに提供します。これにより、消費者に最初のインテントを思い出させて、目標を達成するための簡単な方法を示すことができます。
閲覧放棄
カート放棄と似ていますが、閲覧放棄では消費者の関心はあまり明確ではありません。ただし、商品の閲覧回数と閲覧時間を組み合わせることで、関心の程度を推測できます。たとえば、同じ商品を 1 週間かけて何度も閲覧し、その合計時間が 2 時間にも及んでいる消費者であれば、クーポンを送ることで購入への背中を押してあげることができるかもしれません。
倫理的なパーソナライズのベストプラクティスに準拠して、クーポンメールには「この 1 週間、こちらの商品をご覧になられていたようですので、ぜひこのクーポンをご利用ください」と言ったメッセージを添えることを検討してください。顧客がメールを受け取った理由を説明します。消費者に情報を提供して透明性を保つことで信頼を築くことができます。
値下げ
Forbes によれば、67% の顧客は割引を求めていろいろなショップを渡り歩いています。検討の段階では、予算を超えているという理由で購入を見送る消費者もいます。商品がセール対象となったことを消費者に知らせるブランドメッセージは、有意義で、関連性が高く、消費者の関心の対象になります。また、消費者が「この商品はすでに購入済みです」あるいは「この商品にはもう興味がありません」と伝えることができるフィードバック機能の追加も検討してください。そうしておけば、顧客に過剰なメッセージを送り続けることを回避できます。
お気に入りカテゴリの新商品または新規プロモーションキャンペーン
パーソナライズソリューションは、消費者が閲覧したり購入したりする商品をグループ化することで、消費者の好みを推測することができます。好みを推測することで、消費者が注目しているカテゴリやブランドの新製品を消費者が見逃さないようにメッセージを送ることができます。たとえば、ファッションレギンスを愛用している顧客がいて、そのレギンスの新色が発売されたとします。これはメッセージを送るのに最適な瞬間です。この機会を活かして、顧客をブランドのファンとして取り込み、積極的に宣伝を行って、顧客との継続的なエンゲージメントを促進しましょう。
言葉の選び方が重要です。言葉使いによっては、メールが友好的な提案として受け取られることも、余計な監視として煙たがられることもあります。たとえば、水着に関心を示している顧客であれば、「新商品: サーフインザシティコレクションのご案内」というメールを送るセグメントに追加します。データを収集するもう 1 つの効果的な方法は、顧客に情報提供への同意を求めたうえで、関心の対象を具体的に聞くためのアンケートを提供することです。そうすることで、より多くのゼロパーティデータやファーストパーティデータを収集して、推測した結果を確認し、顧客に注目していることを伝えることができます。
最近実践されているプラクティスとして、母の日や父の日など、特に気にしない人もいる一方で、人によっては遠ざけたいと感じるイベントに関連したキャンペーンでは、特別な配慮を示すことが挙げられます。簡単なオプトアウト機能を用意しておき、母の日や父の日に特別な感情がある顧客は、ブランドとの関わりを維持しながら、これらに関連するメールは制限または拒否できるようにするのです。このような特別なステップを用意することで、顧客は自分をちゃんと見ていてくれる、聞いていてくれる、そして認めてくれていると感じることができます。ブランドへの親近感を生みつつ、引き続き信頼を築ける素晴らしい方法です。
購入後
顧客が [注文を送信] をクリックすると、ジャーニーの次のステップが始まります。これが初めての購入でも 100 回目でも、顧客との関係を強化し、その関係の上に新たな信頼を築く機会があります。次のようなコミュニケーションが考えられます。
「<商品名>の準備ができました。取扱説明書はこちらでご覧いただけます。」あるいは「注文を追跡するためのアプリをダウンロードできます。」
顧客に改めてメッセージを送って来た理由を説明しましょう。強固な信頼の基盤は、ブランドロイヤルティを高め、クチコミによって既存の顧客や潜在的な顧客のネットワークを拡大します。
リアルタイム条件
Salesforce のミッションは「まったく新しい方法で顧客とつながるためのお手伝いをする」ことです。顧客は忙しいので、買い物は効率よく便利に行いたいと思っています。そして自分のことをちゃんと見て、そして理解してほしいのです。「時は金なり」そして「情報は力なり」です。ウェルカムディスカウントを受け取るまでの時間が長いほど、他のショップで買ってしまう可能性が高くなります。
データが一括処理されるのを待っていると、入手した時点ではすでに古くなっている可能性もあります。それよりも、顧客の行動に関するリアルタイムデータを活用すれば、上手く機能していることをすぐに確認でき、上手く機能していないことをすぐに修復できます。顧客とのクロスチャネルエンゲージメントが当たり前になった今では、すべてのタッチポイントでリアルタイムのデータを取得して対応する必要があります。消費者の行動にすみやかに対応することで、駐車場受け取りや Buy Online Pick-up In Store (BOPIS) のような人気急上昇中のハイブリッドサービスが可能になりました。
責任を持って顧客にサービスを提供する
パーソナライズされたタイムリーなリマインダーは、顧客が忘れていた決断を促したり、顧客にメリットをもたらす機会を教えたりするのに役立ちます。一方では、不適切に使用されたり、消費者の期待に添わなかったりすれば、ブランドの信頼を急速に損なってしまう可能性もあります。
結論: 顧客の好みを尊重すること。関心ベースのメッセージングを心がけ、最も関連性が高く、有益なコミュニケーションを優先しましょう。これらはすべて、信頼とブランドロイヤルティを高めつつ、より倫理的な行動メッセージングの使用を保証してくれます。
まとめ
社会が多様化し、相互の結びつきが強まるに従って、ブランドを表すメッセージ、画像、音声、価値について企業が思慮深くなることがかつてないほど重要になっています。ロイヤルティと信頼を構築し、消費者のエンゲージメントを高めて、全体的な顧客維持を実現するために、倫理を基礎としたパーソナライズ戦略を策定してください。
リソース
- Salesforce ブログ: 4 Principles for Putting Responsible Marketing Into Practice (責任あるマーケティングを実践するための 4 つの原則)
- Salesforce ヘルプ: Triggered Campaigns (トリガーされたキャンペーン)
- Salesforce: Marketing Cloud Personalization
- Forbes 記事: Businesses Lose $75 Billion Due to Poor Customer Service (お粗末なカスタマーサービスによる企業損失は 750 億ドルにも達する)
- Smile.io ブログ: The 5 Types of Online Shoppers and How to Get Them to Buy (5 つのタイプに分類されるオンライン買い物客を買う気にさせる方法)