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データ管理の習慣を理解する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Salesforce のデータ品質の重要性を説明する。
  • データがクリーンであれば、ユーザーの信頼、採用、Agentforce のような AI 駆動型ツールの有用性が高まることを理解する。
  • Salesforce データやメタデータの効果的なバックアップ対策や復旧対策を特定して実装する。
  • データクレンジングのベストプラクティスを考案して適用する。
  • ベストプラクティスとして Sandbox を作成して管理する。
  • 包括的なデータディクショナリを作成して管理する。

データ管理のベストプラクティスを学ぶ

データの質が高ければ、その価値が高まります。レコードが不完全あるいは古ければ、ユーザーのやる気が削がれ、ほかの手段を模索するようになり、Salesforce 組織に対する信頼が損なわれることになりかねません。適切なデータ管理が大切なのはそのためです。この単元では、データ管理のベストプラクティスについて説明します。

AI とエマージングテクノロジー

AI と Agentforce の時代に望ましい結果を得るためには、データがクリーンであることが極めて重要です。Salesforce の AI 搭載アシスタントである Agentforce が、タスクを効果的に自動化し、貴重なインサイトに基づく応答を示すためには、正確で信頼性の高いデータが欠かせません。Agentforce はカスタムアクションを使用して Salesforce データを操作し、ユーザーが自然言語でタスクを遂行できるようにします。

情報が重複している、不正確である、不完全である、古い、増え続けるなど、データが不良の場合は、Agentforce のパフォーマンスが大幅に低下し、不正確な結果が示されるおそれがあります。たとえば、Agentforce が要約しようとしている顧客レコードに不一致や未入力の項目が多数あれば、生成される出力が信頼性に欠けるものになり、不適切な判断につながり、ユーザーが不満を抱くことになります。Agentforce の潜在性を最大限に引き出し、Salesforce 内で AI を活用したイニシアティブを成功させるためには、クリーンなデータを維持することが不可欠です。

バックアップを確認して管理する

実際のところ、絶対確実なテクノロジーというものは存在せず、Salesforce のような堅牢なプラットフォームでも、信頼性の高いバックアップソリューションを必要とします。次のような要因により、データ損失が生じる可能性を免れることはできません。

  • ユーザーエラー: データ損失が生じる可能性が最も高い原因で、一括インポート時のミス、不正確な自動化またはインテグレーションのリリース、ユーザーまたはシステム管理者の上書きや削除の誤操作に起因するものと思われます。
  • Sandbox の更新: 本来 Sandbox を更新すると、本番組織のコピーが作成され、Sandbox 環境で行った数週間分、時には数か月分の作業が上書きされることがあります。
  • ごく稀な Salesforce のダウンタイム: Salesforce サーバーは極めてセキュアですが、予想外のダウンタイムインシデントが生じたときに、わずかながらデータが失われる可能性があります。

こうしたリスクを緩和するために、堅牢なバックアップ対策を講じることが極めて重要です。Salesforce ではネイティブのバックアップソリューションを用意しており、データバックアップ用のデータエクスポートサービス、データローダー、レポートエクスポートと、メタデータバックアップ用の変更セット、Sandbox 更新、DevOps Center などが付属します。ただし、上記のツールは主としてデータのエクスポートを実行するもので、データを自動的に復旧することはありません。

Salesforce には有料のバックアップや復旧のツールがありますが、AppExchange で次のようなバックアッププロバイダーのサードパーティツールを見つけることもできます。

  • OwnBackup: 大手のプロバイダーで、データのバックアップ、セキュリティの機能強化、Sandbox のシーディング、データのアーカイブに対応する包括的な製品スイートを提供しています。
  • Gearset: Salesforce 向けの卓越した DevOps プラットフォームで、データとメタデータをバックアップする包括的なソリューションも提供しています。
  • AutoRABIT: もう 1 つの主要な Salesforce DevOps プラットフォームで、金融サービスなど規制の厳しい業界向けの製品の構築に特化した Vault という製品が搭載されています。
  • Oda: データのバックアップ、データのプライバシー、コンプライアンスのツールを網羅し、エンタープライズで実証された Salesforce データ管理ソリューションを提供しています。

バックアップソリューションを選定するときは、次の点を検討します。

  • ビジネスと Salesforce の連携: 連携が強いほど、堅牢ですぐ利用できるバックアップソリューションの重要性が高まります。
  • データとメタデータの損失復元プロセス: 損失が生じた場合にデータとメタデータの復元に要する手順 (所要時間、業務への潜在的な影響など) を把握することが極めて重要です。
  • Salesforce のリリース頻度: リリースの頻度が高ければ、データやメタデータの損失リスクが高まり、リリーススケジュールに適したバックアップソリューションが必要になります。

定期的なデータのエクスポートをスケジュールすることは、健全なバックアップ対策の基本事項です。Salesforce に組み込まれているエクスポート機能で、週に 1 回または月に 1 回のバックアップをスケジュールできます。バックアップファイルをダウンロードしたら、SharePoint サーバーやその他のセキュアなストレージソリューションなど、安全な場所に確実に保存することが極めて大切です。さらに、ドキュメントや画像などのあらゆるデータをエクスポートに追加して、参照エラーを防ぎ、包括的なデータ復元が可能になるようにします。

データをクレンジングする

データがクリーンであるということは、重複が少なく、ユーザーエクスペリエンスが向上することを意味します。一致ルールと重複ルールを設定すれば、重複が減少し、レコードの一貫性が確保されます。たとえば「まとめてクリーンアップ」ダッシュボードなどといったカスタムレポートを作成すれば、取引先責任者情報の欠落など、データのギャップを追跡して解消できます。重複レポートを作成する場合は、対象オブジェクトと項目を定義します。こうすれば、どのデータのクリーンアップが必要なのかが明確になり、組織全体の一貫性が確保されます。データだけでなく、レポート、ダッシュボード、リストビュー、メールテンプレートのほか、ロール、プロファイル、権限などのメタデータも確認します。組織を定期的にクリーンアップして、プロセスを合理化し、効率性を高めます。

Sandbox を確認して更新する

Salesforce の実装を成功させるための重要なベストプラクティスは、Sandbox を常に最新の状態に維持することです。本番にリリースするたびに Sandbox を更新すれば、設定エラーのリスクが軽減し、各環境間の整合性を確保することができます。Sandbox は開発、テスト、トレーニングを行う独立した環境で、システム管理者や開発者が稼働中の本番組織に影響を及ぼすことなく設定やカスタマイズに取り組むことができるため、このベストプラクティスはとりわけ重要です。

設定エラーを最小限に抑える

変更が本番にリリースされると、本番環境の設定が進化します。このときに Sandbox を更新しなければ、古い設定が維持され、新しい開発やテストを実施したときに不整合や潜在的なエラーが生じる可能性があります。Sandbox を更新すると、最新の本番設定に更新され、上記の問題が生じるリスクが軽減します。

一貫した更新スケジュール

更新スケジュールが一貫していれば、チーム内のコラボレーションや予測可能性が向上します。システム管理者や開発者が Sandbox の更新時期を予測できるため、それに合わせて業務の予定を立て、作業の中断を最小限に抑えることができます。また、全員が最新の環境で作業することになるため、開発プロセスやテストプロセスの効率性が高まります。

Salesforce の Sandbox 種別と更新間隔

Salesforce には各種の Sandbox があり、それぞれ特定のニーズに対応し、更新間隔が異なります。

  • Developer Sandbox: 個々の開発やテストを念頭に設計されたこの Sandbox は毎日更新できるため、開発者が常に最新の環境で作業できます。
  • Developer Pro Sandbox: Developer Sandbox よりも大規模なデータセットに対応し、複雑な開発やテストに適しています。数日おきに更新できます。
  • Partial Copy Sandbox: 本番データのサブセットが取り込まれるため、ユーザー受け入れテストやインテグレーションテストに適しています。通常、更新間隔は数日から 1 週間おきです。
  • Full Sandbox: データや設定を含め、本番環境全体が複製されるため、パフォーマンステストやステージングに適しています。サイズが大きいため、通常、更新間隔は月に 1 回です。

Sandbox の所有権と連携

更新前のスムーズな連携を可能にするには、各 Sandbox の所有者を指定する必要があります。このベストプラクティスによってコミュニケーションチャネルと Sandbox の管理に対する責任が明確になり、進行中の作業が保持され、更新する前に潜在的な競合に対処することができます。Sandbox の所有者がユーザーに次回の更新を通知すれば、リリースの準備が整っていない重要なデータや設定をユーザーがバックアップできます。

整合とリリースの準備状況

Sandbox を定期的に確認して更新すれば、設定が常に本番と整合した状態になり、進行中の作業を中断することなく、開発済みの機能やカスタマイズをリリースできるようになります。このベストプラクティスにより、スムーズで信頼性の高いリリースプロセスが促進されます。

ただし、相当のカスタマイズや大量のデータを処理する場合は特に、Sandbox の更新は必ずしも容易なプロセスではありません。Sandbox の複雑な更新手順に関する具体的なガイダンスについては、Salesforce ドキュメントを参照してください。また、エキスパートの助けが必要な場合は、Salesforce サポートにお問い合わせください。

データディクショナリを管理して向上させる

データディクショナリは、特に IT やインテグレーションを扱う場合に、Salesforce 環境内の効果的なコラボレーションや管理に不可欠なツールです。データディクショナリを継続的に管理していれば、誤解やエラー、やり直しを最小限に抑える一方で、コラボレーションを促進できます。

データディクショナリ: 包括的なブループリント

データディクショナリが適切に管理されていれば、Salesforce 組織のデータ構造に関する情報の中央リポジトリとして機能します。このブループリントには、オブジェクト (データベースのテーブルに相当) とその項目 (属性) の詳細が記述され、次のような重要な情報をキャプチャします。

  • データ型: 各項目に保存されるデータの種類 (テキスト、数値、日付、選択リスト)。この情報は、システム内のデータの整合性と一貫性の確保に役立ちます。
  • 結果のサンプル: 各項目のデータ値のわかりやすい例で、ユーザーや開発者に結果が明確になり、理解しやすくなります。こうしたサンプルがデータの検証やテストに役立ちます。
  • インテグレーションの詳細: 各項目が外部のシステムやアプリケーションとどのようにやり取りするかを記録します。この点は、インテグレーションを効果的に管理するうえで特に重要です。
  • 項目の利用状況: 特定の項目がどこで (ページレイアウト、Apex クラス、Visualforce ページ、ワークフローなど)、どのように使用されるかを詳述します。この情報は、未使用の項目を特定し、変更の潜在的な影響を評価する際に役立ちます。
  • データソース: 各項目のデータの取得元で、手作業で入力されたか、自動化から取得されたか、インテグレーションで自動入力されたかを示します。システム内のデータフローや連動関係を理解するためにはこの情報が欠かせません。
  • セキュリティとアクセスレベル: 項目レベルセキュリティ設定を記録し、各項目のデータに対する参照、編集、変更アクセス権があるユーザーを指定します。この情報は、データのプライバシーとセキュリティのコンプライアンスを確保するうえで極めて重要です。
  • 履歴管理: 履歴管理が有効になっている項目を特定し、データの経時的な変更を監査して分析します。データ関連の問題のトラブルシューティングやデータの整合性の確保に特にこの情報が役立ちます。
  • ページレイアウトと項目の配置: 各項目を表示するページレイアウトとレイアウト内の位置を指定します。冗長な項目や未使用の項目を特定し、ユーザーエクスペリエンスに合わせてページレイアウトを最適化するうえで役立ちます。
  • 質問とメモ: 特定の項目に関する質問や所見を記録するためのスペースで、チームメンバー間の明確化やコミュニケーションが促進されます。このため、データ管理に対する協力的なアプローチが育まれます。

データディクショナリのメリット

  • コラボレーションの促進: データディクショナリは、システム管理者、開発者、ビジネスアナリスト、IT プロフェッショナルなど、すべての関係者の信頼できる一元的な情報源になります。データ構造に対する共通理解が進み、効果的なコミュニケーションが促され、誤解が減り、情報に基づく判断が促進されます。
  • エラーややり直しの軽減: データディクショナリにデータの明確な定義とガイドラインが示されているため、データの入力エラー、不整合、誤解の防止に役立ちます。このため、将来的にデータのクリーンアップ、やり直し、コストのかかる修正が必要になる可能性が低減します。
  • インテグレーションの合理化: 適切に文書化されたデータディクショナリは、インテグレーションの効果的な管理に不可欠です。データ構造、リレーション、インテグレーションポイントを明確に理解することで、インテグレーションプロセスが簡潔になり、エラーが最小限に抑えられ、システム間のシームレスなデータフローが促進されます。
  • データ品質の向上: データ型、入力規則、データソースの基準を定めるデータディクショナリにより、データの一貫性と正確性が維持されます。その結果、レポート、ダッシュボード、分析インサイトの信頼性が向上します。
  • データ監査の促進: データディクショナリは、データ監査を実施する際のフレームワークとなり、重複レコード、データの不一致、不完全なレコード、データの破損といったデータ品質の問題の特定に役立ちます。このため、プロアクティブなデータのクレンジングや改善の取り組みが可能になります。

データディクショナリを管理する

どのシステム管理者にとっても、データディクショナリを最新の状態に保つことは重要です。頻繁に変更を行う組織は週 1 回の更新スケジュールが適しているかもしれませんが、最適な頻度は組織の特定のニーズや開発のペースによって異なります。ここで大切な点は、データ構造、項目、インテグレーションに対する変更が、データディクショナリにすぐ反映されるようにすることです。

上記のインサイトを取り入れれば、データディクショナリを、Salesforce 環境内のコラボレーション、データ管理、インテグレーションの強力なツールとして活用できます。

リソース

データのエクスポート

重複データの管理

データの最適化と Sandbox

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