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IP アドレスのウォーミングを行う

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 共有 IP から専用 IP に移行するタイミングを特定する。
  • IP ウォーミングの推奨事項に従う。

IP に関して知っておく必要のあるすべて

配信到達性に関するコースでは、IP と IP ウォーミングを取り上げずにはいられません。Marketing Cloud Engagement を初めて使用するユーザーでも、ベテランのプロフェッショナルでも、IP が配信到達性にどのように影響するかを確認することをお勧めします。 

共有 IP と専用 IP

まずは、共有 IP アドレスではなく、専用 IP アドレスの使用を検討すべき場合について理解することから始めましょう。共有 IP から専用 IP への移行には、2 つのシナリオがあります。

  1. 送信量が多い: 専用 IP アドレスをサポートするには、1 か月に 10 万件以上のメッセージを送信する必要があります。そうしないと、主要な ISP で IP レピュテーションを確立するのが困難な場合があります。1 か月に 25 万件以上のメッセージを送信する場合は、必ず専用 IP を使用する必要があります。1 日あたり 200 万件を超えるメッセージを送信する場合は、複数の IP アドレスが必要です。(1 つの IP から 200 万件を超えるメッセージを送信すると主要な ISP による遅延が発生する可能性があります。)
  2. 配信到達性に問題がある: 共有 IP を使用する別の送信者によって、レピュテーションに否定的な影響が及んでいます。共有プールで 1 社のレピュテーションが低くなると、その同じプール内の他のすべての送信者に影響が及ぶ可能性があります。

 専用 IP アドレスでは、独自の送信レピュテーションを管理できます。 

メモ

SAP は 1 アカウントに 1 つしか使用できませんが、IP は 1 アカウントに複数使用することができます。マーケティングメールのパフォーマンスが Transactional メールに影響を及ぼさないように、1 つの IP を Transactional 送信に使用し、もう 1 つを Commercial 送信に使用することをお勧めします。送信量とユースケースを評価して、アカウントに必要な IP 数を決定してください。

新しい IP アドレスの使用を開始する

Marketing Cloud Engagement を初めて使用する場合、または既存のアカウントに新しい IP を追加する場合、購入した IP アドレスはメール送信履歴や送信者レピュテーションがない未使用のものであることを理解しておく必要があります。つまり、事前にウォーミングされた IP というようなものは存在しません。スパム送信者は新しい IP アドレスを使用することが多いため、ISP は、送信者レピュテーションのない IP から受け入れるメールの量を制限しています。そのため、コールド IP アドレスから送信されるメールは懸念材料となり、異常なアクティビティや大量のアクティビティがないか慎重に観察されます。では、どうすればよいのでしょうか?

IP ウォーミング

IP ウォーミングとは、新しい IP アドレスから送信されるメールの量を徐々に増やしていくプロセスです。目標は、少なくとも 30 日間の望ましい送信履歴を築き、ISP がその新しい IP アドレスからどのような種類のメールが送信されているかを理解できるようにすることです。基本的には、望ましい見込み客としてのレピュテーションを確立するチャンスとなります。ランプアップ期間は送信者により変わり、30 日間よりも長い場合も短い場合もあります。全体的なリストサイズ、リストの質、送信頻度、購読者エンゲージメントなどの要素が、IP アドレスのランプアップが完了するのに要する時間に影響します。 

計画の推奨事項

ランプアップでは、IP ごとに 1 日あたり限られた数のメッセージを送信するため、このプロセスの一環として現在の送信方法を調整する必要がある場合があります。IP ウォームアップ計画を作成には、1) キャンペーンを特定し、2) 購読者を特定するという 2 つのステップがあります。

キャンペーンを選択する際の推奨事項は次のとおりです。 

  • ビジネスクリティカルなメッセージに影響を与えずに何日かに分割して調整できるため、時間的制約がないキャンペーン (購読者アンケートなど) を選択または作成して、ランプアップに使用する。
  • 新しい Marketing Cloud Engagement の IP アドレスと現在の (従来の) メールシステム間で簡単に分割できるキャンペーンを特定する。
  • 大きなマーケティングプログラムの前に少量のトリガーによるキャンペーンを Marketing Cloud Engagement に移行する。

次に、以下を基準にして購読者を整理します。 

  • 送信ドメイン (ビジネス、Gmail, Yahoo など)。自社の上位 10 個のドメインを特定します。
  • エンゲージメント。ISP が送信者レピュテーションを判断する初期基準となるこの重要な期間には、最も活動的にエンゲージしている購読者に送信することに重点を置きます。

ランプアップのガイドライン

キャンペーンを選択し、購読者をドメインとエンゲージメントで分類したところで、次はボリュームを確認して、計画を立てます。 

新しい IP アドレスのウォームアップには、リストのサイズに応じて 4 週間以上かかることがあります。以下は、北米の ISP の一般的なガイドです。これは、購読者が 20,000 人を超えるドメインに対して実行します。ドメインごとに対象者全体に到達するまで、提案されているボリュームを上位 10 個のドメインに送信してください。 

ISPS とドメイン 1 ~ 3 日目 4 ~ 5 日目 6 ~ 7 日目 8 ~ 14 日目 15 ~ 21 日目 22 ~ 28 日目 29 日目以降

Gmail

5,000

10,000

20,000

40,000

80,000

160,000

320,000

その他全般 (AOL や Yahoo など)

20,000

20,000

20,000

40,000

80,000

160,000

320,000

メモ

最初の 30 日間の送信を終えたら、対象者全体に単一送信できるようになるまで、1 週間ごとに送信量を倍増していきます。

シンプルな手法

ドメインごとにセグメント化できない場合もあるため、ボリュームのみに基づいた簡易バージョンのウォームアップ計画を紹介します。この方法では、プロセスはより時間をかけて実行されますが、送信者によっては、より簡単に実行できる場合があります。

1 日の最大量

1 ~ 7

50,000

8 ~ 14

100,000

15 ~ 21

200,000

22 ~ 28

400,000

29 ~ 35

800,000

36 以降

1,600,000

全体として、ウォームアップのプロセスの目標は、安定した一定のメール量を送信することです。 

不十分なウォーミングと、良好な送信レピュテーションを維持するために、メール量をゆっくり着実に増やしていく適切なウォームアップを比較したグラフ。

このプロセスを省略すると、メールの遅延、迷惑メールフォルダーへの振り分け、潜在的なメールのブロックにつながる可能性があります。このプロセスは面倒ですが、否定的なレピュテーションから回復しようとする作業よりも、優れたレピュテーションを確立するための作業には前もって労力を費やす価値があります。 

とはいえ、IP ウォーミングの推奨事項に従っても、ランプアップ期間中に配信到達性の問題が発生する可能性はあります。問題が発生したときには、メール量をもう一度減らして、エンゲージが多い受信者に対象を絞ることをためらわないでください。頻繁に送信している限り、主要な ISP でのレピュテーションは確立されていきます。残念ながら、すべてのリスクを排除することはできませんが、このようなガイドラインに従うことで、送信レピュテーションに肯定的に影響します。

次は、本コースの最後のトピックである「継続的なメンテナンス」に進みましょう。 

リソース

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