Salesforce で予測を設定する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Einstein 予測サービスを使用するための前提条件について説明する。
- Einstein Discovery モデルを作成してリリースする手順を説明する。
はじめに
予測と改善を取得するには、まず予測モデルが必要です。この単元では、Einstein Discovery と CRM Analytics Studio を使用して Salesforce でモデルを作成してリリースする方法を学習します。このモデルの目標は、架空の小売大型店舗の顧客あたりの売上を最大化することです。
Einstein Discovery では、簡単にコードではなくクリックによるツールを使用して短時間でモデルの稼働を開始できます。Einstein Discovery では、統計、機械学習、AI を使用してデータの包括的な分析が実行されます。他の人が作成したモデルを使用する場合でも、作成するために何を行うかを理解しておくと役立ちます。
Developer Edition 組織で Einstein Discovery を試す
この Trailhead モジュールでは、既存の Developer Edition 組織を使用できません。代わりに、無料の CRM Analytics Developer Edition 組織にサインアップします。この組織には、次のものが含まれています。
- Einstein Discovery に必要な CRM Analytics Plus ライセンスのプロビジョニング。
- Einstein Discovery 機能にアクセスするために必要な CRM Analytics Plus 権限セット。この権限セットには、REST クライアント要求を認証するための接続アプリケーションの作成に必要な「接続アプリケーションの管理」権限も含まれます。
- この組織は、学習中のスキルを練習できる安全な環境です。
メモ: CRM Analytics Developer Edition 組織をすでに持っている場合でも、ここで新しい組織にサインアップしてください。CRM Analytics Developer Edition 組織が古い場合は、最近リリースされた機能が備わっていません。新しい組織にサインアップすれば、最新かつ最高の機能を使用できます。
サインアップする手順は、次のとおりです。
- developer.salesforce.com/promotions/orgs/analytics-de に移動します。
- 有効なメールアドレスを使用して、フォームに入力します。
- フォームに入力したら [Sign me up (サインアップ)] をクリックします。
- アクティベーションメールを受信したら、そのメールを開いてリンクをクリックします。
- 登録を完了し、パスワードと確認用の質問を設定します。
- [保存] をクリックします。CRM Analytics Developer Edition 組織にログインした状態になり、[設定] ページにリダイレクトされます。
これで準備完了です。Salesforce 組織ができました。それでは始めましょう。
メモ: このモジュールの後半でログイン情報が必要になります。安全な場所に保存して、後で簡単に取り出せるようにしておいてください。
予測設定のワークフロー
Analytics Studio を使用して次の操作を実行します。
# | Step (ステップ) | Activity (活動) |
---|---|---|
1 |
データを準備する |
CRM Analytics データセットを準備し、トレーニングデータを入力します。 |
2 |
モデルを作成する |
トレーニングデータを使用して Einstein Discovery モデルを作成します。 |
3 |
モデルをリリースする |
モデルを Salesforce にリリースすることでモデルを運用化します。リリースされると、ユーザーはモデルにアクセスしてデータに対する予測を取得できます。 |
ステップ 1: データを準備する
まず、トレーニングデータを CRM Analytics データセットに読み込みます。このデータを使用してモデルをトレーニングします。
サンプルトレーニングデータをダウンロードする
大型店舗の現在の注文のサンプルトレーニングデータを含むファイルが準備されています。superstore-orders.csv という CSV ファイルをダウンロードしてコンピューターに保存します。
サンプルトレーニングデータに関する考慮事項
このサンプルトレーニングデータは Einstein 予測サービスを使用して予測を取得する方法を学習するために簡略化されています。このサンプルデータを使用するときには、次の点に留意してください。
- このサンプル CSV ファイルはわずか数列で構成されています。実際のユースケースでは、トレーニングデータが多数の列からなる場合があります。
- このサンプル CSV ファイルには約 10,000 行のデータが含まれています。一般に、分析するデータ行が多いほど結果の精度が高まります。結果値がある 400 行以上のトレーニングデータが必要です。モデルのトレーニングでは、結果値がない行は無視されます。AI と機械学習を搭載した Einstein Discovery では最大 2000 万行のデータを分析できます。
- このサンプルデータは完全に外部で、どの Salesforce オブジェクトにも関連付けられていません。実際のユースケースでは、Salesforce オブジェクトのデータ、Salesforce の外部のデータ、またはその組み合わせ (補足データセットを使用) を使用する場合があります。
- このサンプルデータから作成されるモデルはトレーニングを目的とするものです。短時間で稼働開始し、REST API コールを使用した予測の取得を開始できるように設計されています。ただし、このサンプルデータで作成されるモデルは精度が高いものではなく、実際のユースケースのために作成する高品質なモデルの模範とはなりません。モデルのパフォーマンスはトレーニングデータセットの品質に左右されます。詳細は、Salesforce ヘルプの「分析用のデータの準備」を参照してください。
CRM Analytics データセットを作成して自動入力する
次のステップは、データを CSV ファイルから CRM Analytics データセットに取り込むことです。
- 先ほどサインアップした Developer Edition 組織にまだログインしていない場合は、ログインします。
- アプリケーションランチャー () で、[Analytics Studio] を見つけて選択します。
- Analytics Studio のホームタブで、[作成] | [データセット] をクリックし、[CSV ファイル] を選択します。
- 開いたファイル選択ウィンドウで、ダウンロードした CSV ファイル (superstore-orders.csv) を見つけて選択し、[次へ] をクリックします。
- [データセット名] 項目で、必要に応じてデフォルト名 (superstore-orders) を変更します。デフォルトでは、ファイル名がデータセット名として使用されます。名前の最大文字数は 80 文字です。
- データセットを作成するアプリケーションを選択します。デフォルトでは、[私の非公開アプリケーション] が選択されます。
-
[Next (次へ)] をクリックします。[項目属性を編集] 画面が表示されます。ここで、データをプレビューし、各項目の属性を表示または編集できます。
- ここでは、デフォルトを受け入れて、[Upload File (ファイルをアップロード)] をクリックします。Analytics Studio はデータをアップロードし、データセットを準備および作成して、進行状況を都度表示します。
ステップ 2: モデルを作成する
CRM Analytics データセットが作成できたところで、モデルを作成することによってデータを分析しましょう。
モデルでは、Einstein Discovery がインサイトを生成するために使用するデータと分析設定を定義します。モデル設定には、結果変数 (予測するデータ)、結果変数を最大化するか最小化するか、CRM Analytics データセット内で分析するデータ、その他の設定が含まれます。モデル設定では、分析の実施方法と結果の伝達方法を Einstein Discovery に指示します。
- [データセット] タブで [モデルを作成] をクリックします。Einstein Discovery のモデル設定ウィザードの手順に従ってデータセットからモデルを作成します。
- [Einstein Discovery モデルを開始] 画面で、モデルの目標を指定します。具体的には予測する結果を定義し、結果を最大化するか最小化するかを指定します。[次を予測したい] で [Sales per Customer (顧客あたりの売上)] を選択し、デフォルトである [最大化] を受け入れます。他はすべてデフォルト設定を受け入れ、[Next (次へ)] をクリックします。
- [Configure Model Columns (モデル列を設定)] 画面で、デフォルト ([Automated (自動)]) を受け入れ、[Create Model (モデルを作成)] をクリックします。
統計分析、機械学習アルゴリズム、AI を利用したデータ分析が開始されます。完了すると、分析によって明らかになったインサイトが表示されます。
メモ: このモジュールではインサイトの調査は省略します (インサイトの調査については Trailhead の「Einstein Discovery の基本」モジュールを参照してください)。このまま、Einstein が作成したモデルの評価とリリースに進みましょう。
- このモデルの R2 (R 二乗) 値が表示されます。R2 は、数値のユースケース用のモデル品質基準です。このモデルの R2 値は 0.475 です。R2 値は 1 に近いのが理想ですが、学習用としてはこのモデルで十分です。
-
[Prediction Examination (予測検査)] をクリックします。右のパネルには、トレーニングデータの選択された行に対する予測結果と実際の結果の比較と、予測結果に寄与した上位の要因が表示されます。
メモ: Einstein Discovery ではデータのランダムサンプリングが使用されるため、画面に表示されるデータはこのスクリーンショットとは異なります。 - 任意の行をクリックするとこのパネルが更新されます。
ステップ 3: モデルをリリースする
Salesforce にこのモデルをリリースしましょう。
-
[Overview (概要)] をクリックして、「Ready for Launch? (立ち上げる準備はできていますか?)」というメッセージが表示されたら [Deploy Model (モデルをリリース)] を選択します。
- Einstein Discovery リリースウィザードの手順に従ってこのモデルをリリースします。[Ready to Deploy (リリースの準備はよろしいですか?)] モーダルが表示されたら、[Get Started (使用を開始する)] をクリックします。
- モデルの詳細について、顧客あたりの予測売上の予測定義名などのデフォルトを受け入れて、[Next (次へ)] をクリックします。
- オブジェクトへの接続について、[Salesforce オブジェクトに接続しないでリリース] を選択し、[次へ] をクリックします。この選択ができるのは、サンプルデータが完全に Salesforce の外部にあり、Salesforce オブジェクトに関連付けられていないためです。
- 区分にはデフォルトの [Don't segment (区分しない)] を受け入れ、[Next (次へ)] をクリックします。
メモ: 複数のモデルを使用して予測定義を作成する場合は、ここでデータの区分条件を定義します。ここでは 1 つのモデルのみを使用して予測定義を作成していて、区分条件はないため、これをスキップできます。
- アクション可能な変数について、[Quantity (数量)] を選択して、[Next (次へ)] をクリックします。
- カスタマイズされた予測で、[Don't customize (カスタマイズしない)] を選択して、[Next (次へ)] をクリックします。
メモ: 改善案や上位の予測因子のテキストをユーザーが理解しやすいようにカスタマイズする場合は、ここで行います。 - リリースの設定を確認し、[Deploy (リリース)] をクリックします。
モデルを使用した予測定義が Salesforce にリリースされ、モデルマネージャーに表示されます。メモ: これは 1 つのモデルのみです。予測定義には複数のモデルを設定できます。 -
[Advanced (詳細)] サブタブをクリックします。
- 予測 ID (前の図に例を示します) をコピーし、後で参照できる場所に貼り付けます。この ID 文字列によって、使用する予測定義を正確に特定できます。自分が開発者であって Salesforce またはモデルマネージャーへのアクセス権がない場合は、Salesforce システム管理者にこの文字列を調べてもらうことができます。
予測定義とモデルがリリースされ、使用できる状態になりました。次の単元では Einstein 予測サービスを使用してモデルから予測を取得します。