はじめての Einstein 生成 AI

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

生成 AI のコア機能について説明する。
生成 AI が Einstein にどのように取り込まれているかを説明する。

注目を集める AI

ここ 10 年で、人工知能 (AI) が着実に進化し、かつては人間にしかできないと思われていたことを AI がこなしているのを私たちは目の当たりにしています。そして、AI がもたらす未来を想像してみるものの、それはまだ何年も先の話、と思っていました。2023 年初めに ChatGPT が突然出現し、未来がすでに到来していることを世界に知らしめました。突如として AI が複雑な質問に、まるで人間が書いたかのような複雑な答えを返すようになったのです。ChatGPT は一般公開されたため、AI が自然な受け答えができることを人々は身をもって体験しました。そして、驚き、喜び、ブレークスルーの常として、想像力を掻き立てられました。他方、未来の仕事にとって GPT がどのような意味を持つのかという疑問も浮上しています。

このクイックルックバッジでは、GPT の概要と、生成 AI という包括的な概念における GPT の位置づけについて学習します。その後、世界初の CRM 向け生成 AI である Einstein をご紹介します。

GPT の予測力

GPT とは Generative Pre-Trained Transformer の略で、事前学習済みの文章生成型変換機能を意味します。ただし、この用語は AI 研究者でもない限り、それほど重要ではありません。ここでは GPT と呼ぶことにして、その機能に着目します。

簡単に言うと、GPT とは人間のごとく文章を書くように訓練された AI ツールです。人間が質問や依頼をしたり、文の最初の部分を示したりするなどのきっかけを与えれば、後は GPT がその文脈に沿って、実際の人間が書くものと同じような文章を綴っていきます。ChatGPT は GPT の一種で、人間の指示からその意図を汲み取り、それに応じた対応をするよう緻密に調整されています。詩やプログラミング言語などの特定の文体や、海賊風といった特定の語調で書くように指示することも可能です。たとえば、「月面着陸を海賊風に要約して」と指示するとどうなるか見てみましょう。

「おーぃ! よっ、相棒! なんでも宇宙っつう大海原を冒険したらしいぜ!

その昔の 1969 年、アメリカってとこの勇敢な船乗りが月を目指して出帆したってよ。船に乗ったのは Neil Armstrong、Buzz Aldrin、Michael Collins で、NASA から打ち上げられた船で月面に降り立って星条旗を立てたんだと。」

と、こうしたくだけた口調で最後まで話し続けます。

リアリティのあるこうした文章はどのようにして生成されるのでしょうか? GPT を開発した OpenAI は、途轍もないコンピューティング機能を駆使して GPT をトレーニングしました。何百万もの Web ページを読み込み、どの単語が近接して使用され、どのように組み合わされているかを学習させました。GPT が文脈を捉え、次にくる単語の予測に長けているのはこのためです。たとえば、「パートナーと私は会話中、相手が何を _______ としているかがわかる」という文の空欄を埋めるように指示されたとします。あなたはおそらく「言おう」を入れると思いますが、GPT も同じです。では、文脈を少し変えて「パートナーと私はレストランで注文時、相手が何を _______ としているかがわかる」ではどうでしょうか。あなたはおそらく「頼もう」を入れるのではないでしょうか。GPT も同じです。

GPT は文に新しい単語が出現するたびに、知識や経験を基に推測し、文脈に沿った文を記述していきます。スマートフォンの予測入力を使って文を書いているときに場違いな言葉が挿入され、ネットの笑い話になったりしますが、GPT はそれよりはるかに優れています。

一貫性のある文章を編み出す GPT の機能は、AI の生成 AI というカテゴリに分類されます。画像や音声などを作り出すことができる AI ツールもこれに該当します。コンピューティングの性能が向上して研究が進めば、生成 AI がさらに進化し、人間が作ったとしか思えないものを創り出すようになるでしょう。生成 AI が日常生活の一部になる日もそう遠くないかもしれません。

生成 AI のある未来

即戦力となる生成 AI の登場により、未来の仕事についてさまざまな疑問が投げ掛けられています。人々は、いずれ AI に取って代わられるのではないかと感じています。まさに人間を模倣するツールの倫理的な用途について懸念しています。生成 AI で生成される内容の質についても懐疑的です。AI の取り扱いに注意が必要なのは明らかです。

Salesforce では、AI テクノロジーの倫理的な使用に関する原則を確立することの重要性を認識しています。そのため、AI 倫理グループがこうした原則の策定に 6 年間を費やしてきました。そして、新しい AI テクノロジーをリリースする際は、お客様がこの新たな分野に果敢に挑戦し、その企業の本分をスマートかつ公正なやり方で遂行できるようにサポートします。詳細は、「リソース」セクションを参照してください。

Salesforce の最新 AI テクノロジーは、生成 AI の驚異的な性能を Einstein と Salesforce Platform にもたらします。

Einstein は Salesforce に直接組み込まれているため、お客様独自のデータを使用して、生成される内容を各自のビジネスに応じたものに調整できます。また、Einstein は Customer 360 全体で利用できるため、どのページでもカスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。

Salesforce では、生成 AI の世界が ChatGPT に留まらないことを認識しています。そのため、Einstein は、Anthropic の Claude など、他の言語モデルとも接続できるように設計されています。API および生成 AI パートナーのオープンエコシステムにより、お客様は自社のモデルで AI を活用できます。

Einstein の登場によって、お客様は自社のデータやモデルを使って自社のエクスペリエンスを創出する画期的な生成 AI 機能でビジネスを強化することができます。