Einstein Discovery のご紹介
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Einstein Discovery の幅広い機能について説明する。
- Einstein Discovery の主な概念 (モデル評価指標、インサイト、予測、改善など) について説明する。
Einstein Discovery とは?
Salesforce Einstein Discovery は、コード不要の迅速な反復環境で、統計モデリングや教師あり機械学習を使用してビジネスインテリジェンスを増強するものです。
Einstein Discovery を使用すると次のことが可能になります。
- ビジネスデータに対するインサイトを特定して表示し、視覚化する。
- ワークフローで将来の結果を予測し、予測される結果を改善する方法を提案する。
メモ: Einstein Discovery には、CRM Analytics Plus ライセンスと Einstein Predictions ライセンスのいずれかが必要です。いずれも有料オプションとして購入いただけます。
改善したいビジネス上の成果を絞り込む
まず、解決したいと思うビジネス上の課題を選ぶところから始めます。通常は、主要業績評価指標 (KPI) が参考になります。Einstein Discovery に基づくソリューションは、次のようなユースケースに最適です。
- 回帰: 通貨、件数、その他の数量など定量的なデータ (測定値) として表される数値結果。
- バイナリ分類: 2 つの結果のみを含むテキスト結果。通常は、離脱したか否か、商談が成立したか否か、従業員が定着しているか否かなど、ビジネス用語を用いた質問に「はい」か「いいえ」で回答します。
- マルチクラス分類: 3 ~ 10 個の結果を含むテキスト結果。たとえば、メーカーは顧客属性に基づいて 5 つのサービス契約のうち顧客が選択する可能性が最も高いものはどれかを予測できます。
分析するデータを集める
ビジネス結果を念頭に、インサイトの分析とモデルのトレーニングに Einstein Discovery が使用するデータを揃えます。Einstein Discovery では、多数の列に及ぶ数百万行のデータを分析できます。また、改善したい結果との関連性が最も高い列を選択するうえでも Einstein Discovery が役立ちます。CRM Analytics のデータインテグレーション機能を使用して、1 つ以上のデータソースのデータを CRM Analytics に読み込んで CRM Analytics データセットに変換します。データは Salesforce や外部ソースから取得します。データの整理や収集タスクには、サードパーティの補完的なツールやユーティリティを使用します。データを効率的に準備すれば、Einstein Discovery ソリューションの効果が向上します。
データに基づいて予測モデルを作成する
Einstein Discovery モデルは、パフォーマンス評価指標、設定、予測、データインサイトのコレクションです。Einstein Discovery に、改善したい結果 (各自のモデルの目標) と、その目的に向けて (CRM Analytics データセットで) 収集したデータに基づいてモデルを作成する手順が表示されます。コーディングや機械学習の知識は要りません!
パフォーマンス評価指標を使用して、モデルが将来の結果をどの程度正確に予測しているかを評価します。評価指標はモデルの結果変数のモデル種別 (バイナリ分類、回帰、マルチクラス分類など) に基づいています。
データに対するインサイトを取得する
Einstein Discovery ではモデル設定を使用してデータを分析し、インサイトを生成します。[Data Insights (データインサイト)] では、データで見つかった統計的に有意な発見がリッチな視覚効果として、理解しやすい自然言語の説明と共に表示されます。
インサイトは、データのトレンド、パターン、相関関係を調査する出発点になります。インサイトから、どのようなことが起きたのか (説明的インサイト)、なぜ起きたのか (診断的インサイト)、変数によってどのように異なるのか (比較インサイト) を知ることができます。それにより、モデルを使用して、どのようなことが起きる可能性があり (予測)、予測される結果をどのような方法で改善するか (改善) に関するインタラクティブな仮定シナリオをシミュレーションできます。
予測と改善を生成する
モデルとは、Einstein Discovery が設定とデータに基づいて作成するカスタムの高度な数学的構成体です。モデルは、過去の結果に対する包括的かつ統計的な理解に基づき、将来の結果を予測したり、改善を提案したりするために使用されます。Einstein Discovery では、モデルの迅速な開発、リリース、自動メンテナンスがサポートされています。
モデルの予測を仮定シナリオとして調べることができます。変数 (または変数の組み合わせ) を選択して結果を予測します。アクション可能な変数を選択して、予測された結果を改善するための方法を確認します。
予測は、モデルから導出された値で、将来起こりうる結果を表します。予測因子は予測結果に寄与する変数です。上位の予測因子は寄与度が最も大きい因子です。
改善とは、予測結果を向上させるために実行が推奨されるアクションです。改善はユーザーが対処できると考えられるアクション可能な変数 (発送方法、登録者のメンバーシップレベルなど) に関連付けられます。
データアラートを使用してインサイトやモデルを向上させる
Salesforce では、データの問題 (異常値、欠損値、優勢な値など) が検出されたときにユーザーに通知します。
バイアスの検出は、倫理的で説明責任を果たすインサイトやモデルの生成に役立ちます。バイアスの検出を有効にすると、人種、性別、宗教、出身国、性的指向、障害、年齢など、慎重に対処すべき変数に対する不公平な対処に関連している可能性があるデータにフラグが設定されます。Einstein Discovery では、慎重に対処すべき変数と高度に相関している異種影響とプロキシ変数が検出されます。
モデルを Salesforce で運用する
Einstein Discovery はモデルを使用して結果を予測し、改善を提案します。Einstein Discovery でモデルを作成することも、外部で作成したモデルをアップロードすることもできます。モデルの質を最高レベルにするには、品質のメトリクスやアラートを確認し、必要に応じて調整します。準備が整うと Einstein Discovery に、モデルを Salesforce にリリースする手順が示されます。
どこからでも予測や改善を取得する
Einstein Discovery モデルをリリースすると、次の場所で予測結果と改善案をコードではなくクリック操作で取得できます。
- Lightning レコードページ
- Experience Cloud サイトページ
- CRM Analytics データプレップのレシピとデータフロー
- プロセス自動化数式の PREDICT 関数
- Salesforce フロー (Flow Builder を使用)
- Tableau のフロー、ダッシュボード、計算済み項目
Einstein 予測サービスとインサイト API を併用すれば、REST または Apex API コールを使用して、Einstein Discovery を利用したインサイト、モデル、予測をプログラムで操作できます。
Einstein Discovery の予測と改善で Tableau を増強する
Einstein Discovery in Tableau は、コード不要の迅速な反復環境で、Tableau データから信頼性の高いリアルタイムの予測や改善を引き出します。
予測や改善を直接 Tableau ダッシュボード、計算済み項目、Tableau フローに挿入します。詳細は、「Tableau での予測の取得」を参照してください。
モデルテンプレートを使用してソリューションをすぐに使い始める
Einstein Discovery モデルテンプレートには、すぐに開始できるソリューションキットが標準装備され、各自のソリューション要件に合わせてカスタマイズできます。モデルテンプレートを使用すると、一般的なビジネスユースケースをエンドツーエンドで実装できます。
Einstein Discovery によって、初期トレーニングデータセットを構築し、Einstein Discovery モデルを生成し、Salesforce にモデルをリリースしてデータに対する予測を取得するといった面倒な作業が処理されます。Salesforce データとシームレスに統合するように設計されたモデルテンプレートは、業界のベストプラクティスを考慮して構築されています。
レポートのインサイトを明らかにする
レポート用 Einstein Discovery は、人工知能と包括的な統計分析を使用して、レポートデータをすばやく徹底的にスキャンします。
レポート用 Einstein Discovery では、レポートデータを詳しく調査して、基本パターンを検証し、インサイトを明らかにして、わかりやすい相関関係やグラフ、説明を示します。詳細は、「レポート用 Einstein Discovery: クイックルック」を参照してください。
次のステップ
Einstein Discovery に搭載されているすべての機能を学習しました。さらに以下のリソースを参考にして、Einstein Discovery を駆使したインサイト、予測、改善に関する学習ジャーニーをぜひ継続してください。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Einstein Discovery での説明、予測、アクション
- Trailhead: Einstein Discovery を使用してインサイトを取得し、結果を改善する
- Trailhead: Einstein Discovery を使用した倫理的なモデル開発: クイックルック
- Trailhead: 人工知能の責任ある作成
- Quip: 一般的な学習リソース
- テクニカルペーパー: Understanding the Differentiating Capabilities and Unique Features of Salesforce Einstein Discovery in the Machine Learning Space (機械学習領域での Salesforce Einstein Discovery の分化機能と独自機能について)