Einstein ボットでできること
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Einstein ボットの汎用のユースケースについて話し合う。
- Einstein ボットの業種固有のユースケースを識別する。
Einstein ボットの一般的なユースケース
ミネソタ州ブルーミントンにある Bloomington Caregivers は、高齢者を対象に幅広いケアを提供する在宅医療機関で、Harryette Randall はそのオフィスマネージャー兼 Salesforce システム管理者です。Bloomington Caregivers によるミネアポリス/セントポール全域への事業拡大に伴い、Harryette は効率的にカスタマーサービスを提供するために同社の高い基準の維持を自分の使命とします。
彼女は Dreamforce カンファレンスで、カスタマーサービスを効率的に処理するために設計された Einstein ボットという Salesforce のチャットボット製品について知りました。さまざまなビジネスでチャットボットの導入が増えていることはよく耳にしていますが、他の多くのシステム管理者と同じように、Harryette にはもう少しガイダンスと情報が必要です。Einstein ボットを使用することで具体的に会社にどのようなメリットがあるのかを知りたいと考えています。
Harryette は、ボットを会話形式でビジネスを自動化する便利なアシスタントと考えることができると知りました。会社のコストを削減し、収益を増加しながら、顧客満足度を向上させるのに役立ちます。
- ボットがお客様とやりとりして単純な問題を解決し、すぐに解決できない問題を評価して転送することでコストが節減されます。ボットは必要に応じて問題をサポートエージェントにエスカレーションできます。お客様の問題に対する 1 次対応としてボットを使用することで、サポートチームはより複雑な問題に対処する時間を確保し、全体的により多くのサポートケースを処理できます。
- 問題の迅速な解決または適切な人へのエスカレーションというボットの的確な対応によって快適なカスタマーエクスペリエンスが創出されます。
- Einstein ボットは単なる問題解決ツールではありません。適切に実装すれば、さまざまなプロセスを自動化したり、ブランドの魅力を示したり、マーケティングやリード生成を通じて収益を増加させたりすることができます。
たくさんありますので、わかりやすいように Einstein ボットの一般的なユースケースを次の表にまとめました。
ユースケース |
説明 (ボットができること) |
例 |
FAQ への回答 |
特定の質問にすぐに回答することで、顧客の待ち時間を短縮し、サポートエージェントが解決しなければならないケース数を減らす。 |
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問題の報告 |
簡単なケースに回答できるため、エージェントは創造性やチームワークが必要になる複雑な問題により多くの時間を充てることができる。 |
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情報管理 |
既存の Salesforce レコードから情報を取得、作成、更新する。 |
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スケジュール |
エージェントの助けを借りずに顧客の予定をスケジュールする。 |
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評価、トリアージ、ルーティング |
顧客の問題を要約して、エージェントが質問を繰り返すのではなく問題解決を優先できるようにする。 |
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顧客の識別と認証 |
ボットと会話しているユーザーを識別し、ユーザーの権限の範囲内でタスクを実行する。 |
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マーケティングとリード生成 |
24 時間いつでもチャット内で商品の価値を売り込み、フォローアップの質問を通じて質の高いリードを生成する。 |
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業種に合わせてボットを調整する
すでにおわかりかと思いますが、Einstein ボットは高度にカスタマイズ可能です。会社の特定のニーズに合わせて調整し、業界標準に合わせて作成することができます。各業種のクライアントで採用されているカスタムユースケースを一部ご紹介します。
ヘルスケアおよびライフサイエンス |
金融サービス |
通信およびメディア |
小売および消費財 |
エネルギーおよび公益事業 |
公共セクター |
給付の登録と管理 アカウントと請求の管理 請求処理 予定のスケジュールとチェックイン 薬の再処方 プログラム/給付対象資格 提供者検索 |
請求とアカウントの管理/遅延支払の収集 請求管理 ポリシー管理 保険見積 リードとオファーの管理 クレジットカードの再発行 支店/ATM 検索 |
アカウントの認証と検証 契約の更新とアップセル サービスパッケージと対応可能状況 サービス停止の報告 トラブルシューティング テクニカルサポートのアドバイス |
注文の管理と更新 非接触および駐車場受け取り 予定のスケジュール パーソナライズされたおすすめ 返品の管理 注文管理 |
次善オファー コンタクトセンターからフィールドサービスへのシームレスなエンゲージメント サービスの有効化 サービスの停止 請求の更新と支払 |
評価と受入の処理 対象資格と要求の管理 ライセンスと許可の管理 連絡先管理 情報のルーティング 非緊急支援とアラート |
ビジネス目標に合うボットを検討する
Einstein ボットの汎用のユースケースと特定のユースケースを確認した Harryette は、Bloomington Caregivers のカスタマーサービス戦略にボットを統合する方法をつなぎ合わせ始めます。
彼女は、Bloomington Caregivers の顧客ベースが急速に拡大しており、見込み客の流入を処理する方法が必要であることを理解しています。そこで役立つのがボットです。ボットは営業時間外でも 24 時間対応可能であるため、既存のクライアントから入る頻繁な緊急サポートリクエストの他に新規クライアントからの問い合わせまで、電話回線を常に監視しきれないサポートスタッフの負担をボットで軽減できます。
Bloomington Caregivers はコンプライアンスの高い業種であるヘルスケアで事業を展開しているため、Harryette はボットの導入を計画するときに業種のベストプラクティスも考慮する必要があります。
Bloomington Caregivers の患者データはすでに Salesforce Health Cloud に保存されているため、Harryette は関連する顧客情報をボットの知識ベースに簡単に入力できます。
次に、ボットをリリースするために使用するメディアを検討し、候補を SMS、Facebook メッセンジャー、Web サイトに組み込むチャットボットに絞り込みます。この決定で重要な考慮事項は、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律 (HIPAA) です。これは、Bloomington Caregivers のような企業に、患者の健康情報の取り扱い時に特別な注意事項に従うことを義務付けています。
幸い、Einstein ボットはネイティブのチャットサービス内で HIPAA 準拠として設定できます。これが決め手となります。Bloomington Caregivers は、機密性の高い患者情報を取り扱うために、サイトに直接ネイティブのボットを実装することにしました。将来的には、他に利用可能なサードパーティチャネルを使用して、機密性の低いユースケース用に新しいボットを作成するかもしれません。
次に Harryette は、医療上の緊急事態など、クライアントの緊急の問題を処理するためにボットを使用することについてチームと相談します。このような事態をボットの手に委ねるのはリスクが高すぎることにすぐに気づき、そうしたケースは人間のエージェントに任せることにしました。そのために、適切な情報を含む短いリダイレクトメッセージを実装します。
「I’m not equipped to handle life-threatening emergencies. Please reach out to our emergency support staff in the event of a medical emergency, or call 911 if the issue is life-threatening. Emergency support line: 123-456-7890」(私は生命に関わる緊急事態には対処できません。医療上の緊急事態が発生した場合は緊急サポートスタッフに連絡するか、生命に関わる問題である場合は 911 に電話してください。緊急サポートライン: 123-456-7890)
新しいボットが新規患者の相談に対処したり、クライアントの単純な問題を解決したりできれば、Bloomington Caregivers のサポートエージェントは、クライアントの緊急事態など複雑で連携が必要な問題に集中することができます。