Dynamic Revenue Orchestrator の概要
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 注文オーケストレーションプロセスの課題について説明する。
- Dynamic Revenue Orchestrator のコンポーネントについて説明する。
- Dynamic Revenue Orchestrator を使用するユーザーを特定する。
始める前に
このモジュールを受講する前に、以下のコンテンツを修了していることを確認してください。ここでの作業は、そのコンテンツの概念や作業に基づいて行います。
お客様に注文を届けることの重要性
収益創出ライフサイクルとは、見込み客やリードからビジネス収益を生み出すエンドツーエンドのプロセスです。このライフサイクルには、営業、オペレーション、財務が部門を超えて連携する複数のフェーズがあります。組織はお客様のニーズを満たすことで収益を得ますが、収益が発生するのは注文が履行された時点です。注文の履行において誤りは許されません。ミスや遅延が生じれば、お客様が落胆し、収益に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
お客様に適切な商品を確実に届けるためには、ビジネスが商品を調達して梱包し、正確な場所に配送する確固たる計画が必要です。このプロセス全体を注文オーケストレーションといいますが、極めて複雑になることがあります。
注文オーケストレーションの課題
お客様の注文の履行には、大きな課題を伴います。注文を完遂するためには、多数の人々、プロセス、システムが連携して処理する必要があります。具体的には、在庫管理、履行と物流、支払処理、配送などがそれぞれの役割を果たします。では、組織が注文オーケストレーションで直面する一般的な課題を見ていきましょう。
受注から入金までの複雑なプロセス
受注から入金までのプロセスには複雑な要素が絡み合っています。お客様は異なる処理を要する商品をまとめて注文することが多く、その場合は請求と配送が複数の拠点で行われます。場合によっては、品目を異なる日に配送してもらいたいということもあります。このようにさまざまな変動要素がある場合、プロセスが綿密に管理されていなければ、ミスが生じやすくなります。
相互依存性が高いタスク
受注から入金までのプロセスの各ステップは密接に関連しています。たとえば、注文が配送され、お客様が受領するまで請求できず、支払が入金されるまで履行チームが担当業務を完了できないということがよくあります。つまり、注文が完了して初めて収益が実現します。そのため、関係者全員が連携して取り組み、どの時点でも注文の状況を把握している必要があります。
分断されたシステム
お客様が注文を行ったときに複数のシステムが連携して動作する必要がありますが、実際にはシステムが分断されていることが少なくありません。そのため、遅延、請求エラー、SLA の見落としが生じ、このすべてが顧客満足度に影響します。ビジネスは、関与するチームのほか、連携しているシステム全体を可視化し、信頼できる一元的な情報源を確立する必要があります。
ここで登場するのが Dynamic Revenue Orchestrator です。
注文管理の新しいパートナー
電子機器の大手プロバイダーである InfinitraBytes のお客様がラップトップバンドルを注文しました。単純なことのように思えますよね? 実際には、このワンクリック操作による注文の裏で、ラップトップの発送、ウイルス対策ソフトウェアのアクティベーション、保証の登録など、複雑に入り組んだプロセスが開始されます。
Dynamic Revenue Orchestrator (DRO) は、収益創出ライフサイクル全体でエンドツーエンドの注文処理を進めるエンジンです。ビジネスは DRO を使用して、履行や請求から、収益認識、義務管理、報酬まで、あらゆる処理を管理できます。InfinitraBytes がこのソリューションを導入すれば、次のことが可能になります。
- 複雑な注文を管理しやすい単位に分割する。
- 任意の商品に合わせてカスタムの履行プランを設計する。
- 複数のシステムにまたがるワークフローを自動化する。
- 注文を正確かつ簡便に処理する。
上記のすべてが実現すれば、業務がスムーズに遂行され、お客様の満足度が高まります。
履行デザイナーの立場で考える
ここで、あなたが InfinitraBytes の履行デザイナーだと想像してみてください。注文が正確かつ迅速に処理されるようにバックグラウンドで支えるエキスパートです。カタログに商品やサービスを構築し、履行ルールとフローを設定して、テストや QA といった実行時のタスクをサポートしています。InfinitraBytes はあなたの取り組みにより、「適切な商品を適切な時点で適切なお客様に届ける」という約束を果たすことができます。
デジタルトランスフォーメーションの要となる DRO
InfinitraBytes はこのところ多忙を極めています。Salesforce Revenue Cloud を活用して、ビジネスのデジタルトランスフォーメーションを進めているためです。Revenue Cloud は、オムニチャネルでの売買の商品から入金までをサポートする一元的なスイートです。DRO があれば、フロントオフィスのお客様の要望とバックオフィスのシステム間のデータ交換が可能になり、各ステップがスケジュールどおり正確に実行されるようになります。

DRO の特に優れた点は何だと思いますか? 厄介なカスタマイズやコーディングなしで使用できることです。ドラッグアンドドロップ操作のシンプルなインターフェースを備えた DRO では、商品のニーズに基づいて履行を自動化したり、特異な状況に適用する例外ルールを構築したり、エンドツーエンドの注文フローを設定したりすることができます。DRO は柔軟性が高く、極めて複雑な商品や業界にも対応する拡張性を備えています。
コンポーネントと主な役割
DRO には、注文の送信から履行までを管理する 2 つの主要なコンポーネントがあります。
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分解: 注文を個々のテクニカルプロダクトとサービスに分解します。たとえば、ラップトップ、ウイルス対策ソフトウェア、保証からなるバンドルは、遅滞なく正確に配送されるように個々の品目に分割されます。
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オーケストレーション: 注文の履行に必要なステップを対応付け、システム全体でこれらのコンポーネントを管理します。タスクの順序を定義して、連動関係を処理し、チーム間を調整してプロセスを順調に進めます。オーケストレーションは、事前定義されたルールを使用して、失敗したステップを特定して処理するフォールアウト管理も備えています。
DRO で複数のシステムが連携することがわかりました。ところで、どのような人々がこのシステムを使用するのでしょうか? その主なロールは、DRO 管理者、履行デザイナー、履行オペレーターです。もちろん、オンラインショップやセルフサービスポータルで注文を行うお客様がいなければ始まりません。
以下に、各ロールとその責務がまとめられています。
Role (ロール) |
責務 |
|---|---|
DRO 管理者 |
|
履行デザイナー |
|
履行オペレーター |
|
Dynamic Revenue Orchestrator を使用して注文オーケストレーションを刷新する
InfinitraBytes のチーム全体が Dynamic Revenue Orchestrator の使用に前向きで、業務が順調に進んでいます。InfinitraBytes が新商品をいち早く市場に投入し、価値実現時間が短縮されていることに誰もが満足しています。
履行デザイナーであるあなたは、商品デザイナーやカタログ管理者と協力して、商品カタログの設定、コマーシャルプロダクトやテクニカルプロダクトの設定、分解リレーションの定義に多大な時間を費やしてきました。この結果、サイロ化された旧式の履行システムやデータベースが廃止され、エラーや手作業による解決プロセスが減少しています。さらに、注文履行に不備が生じていたためセールス目的の電話がサポートにエスカレーションされることや、注文のフォールアウトを管理する手間が減ったため、チームはコストの削減にも手応えを感じています。このため、収益が増大しただけでなく、顧客満足度 (CSAT) の評価も向上し、InfinitraBytes とそのお客様の双方にメリットがもたらされています。
注文の履行に DRO がどのように役立つのかがわかったところで、次は DRO が複雑な注文をどのように処理するのか見ていきましょう。次の単元では、テクニカルな部分を簡素化し、注文をスムーズに進める手段である注文分解について学習します。