注文分解について知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 注文分解を定義する。
- Dynamic Revenue Orchestrator の分解リレーションについて説明する。
分解が重要な理由
お客様は注文を行う際、商品の選択から配送までシームレスなエクスペリエンスを期待しています。ビジネスはバックグラウンドで注文を構造化された履行タスクに分解する必要があります。
InfinitraBytes では、お客様がラップトップ、事前インストールされているウイルス対策のライセンス、拡張保証で構成されるパッケージなど、商品バンドルを購入することがよくあります。お客様にとっては 1 つの商品ですが、この注文の履行では、複数のシステムで次のような複数のステップを実行する必要があります。
- 在庫のラップトップを発送する。
- ウイルス対策ソフトウェアライセンスのアクティベーションを行う。
- 保証を登録する。
この複雑な処理に対処するために、Dynamic Revenue Orchestrator (DRO) では注文分解のプロセスで注文を構造化された履行要求に分解します。
注文分解の定義
注文分解とは、注文を複数の要素に分解して、実行や追跡を容易にするプロセスです。このプロセスを理解するうえで重要な点は、コマーシャルプロダクトとテクニカルプロダクトを区別することです。

コマーシャルプロダクトは、お客様が商品カタログで見つけることができる商品です。たとえば、ラップトップバンドルはコマーシャルプロダクトに該当します。テクニカルプロダクトも商品カタログで確認できますが、通常はお客様に表示されません。ただし、テクニカルプロダクトは注文履行で重要な役割を果たします。このプロダクトは、請求、履行、物流のほか、履行プロセスに関わるその他のシステムなど、下流システムの要件を考慮して定義されます。テクニカルプロダクトの例として、ライセンスのアクティベーションやラップトップの組み立てなどが挙げられます。つまり、コマーシャルプロダクトはお客様が目にするもので、テクニカルプロダクトはお客様の目に触れないものです。
分解ではコマーシャル注文から、ラップトップの組み立てや商品ライセンスのアクティベーションといったテクニカルタスクを分割します。テクニカルプロダクトは基本的に、注文が履行される前に完了する必要があるタスクです。ですから、DRO は分解の完了時に、こうしたタスクを履行要求として、次のフェーズであるオーケストレーションに送信します。前述のとおり、この処理はバックグラウンドで行われるため、お客様は何も考える必要がありません。

注文分解により、注文履行に必要なテクニカル情報がコマーシャル注文に追加されます。続いて、お客様のニーズに基づいて、注文分解で一連の履行要求、つまりサブ注文が生成されます。この履行要求が下流の履行システムに送られます。
単純な注文なのに、随分手間がかかると思いませんか? コンピューターモニター 1 台でも、このような分解プロセスを経なければならないのかと疑問に思うかもしれません。実際のところ、その必要はありません。単純な注文であれば、分解せずにオーケストレーションできます。分解が必要になるのは、商品カタログに多数の商品が掲載され、ビジネスがフロントオフィスとバックオフィスのプロセスを分離したい場合です。
注文分解のメリット
注文分解では、テクニカルな詳細がお客様やほかのビジネスユーザーの目に触れないようにします。たとえば、ラップトップバンドルを購入するお客様が、各自のニーズに基づいて商品を注文するとします。お客様が、ラップトップに事前インストールされているソフトウェアライセンスのアクティベーションについて知る必要はありません。お客様にとって大切なのは、商品がきちんと機能することだけです。
Revenue Cloud のコンポーネントは、一元的な商品カタログを共有します。カタログをきちんと整理していなければ、すぐに膨れ上がり、複雑になる可能性があります。カタログが複雑になればコストがかかり、管理しづらくなります。たとえば、InfinitraBytes はスマートフォンの多様なモデルを販売し、どのモデルにもよく似た履行プロセスを使用しています。InfinitraBytes がカタログを整理していなければ、スマートフォンのモデルごとに履行プランが必要になります。他方、適切に整理していれば、1 つの履行プランですべてのモデルに対応できるため、カタログのメンテナンスが軽減します。
分解ルールについて知る
商品履行分解ルールは、商品または商品分類がどのようにテクニカルプロダクトに分解されるかを定めます。
商品履行分解ルールを定義するときは、ソース商品または商品分類と対象商品を設定します。続いて、ソース商品と対象商品のよく似た項目や属性を対応付けます。DRO はこの対応付けを使用して、注文データを履行システムに送信します。

この例では、小売 POS という商品の商品属性が、「アクティベーションサービス」というテクニカルプロダクトの対象属性に対応付けられています。
さらに、商品履行分解ルールを使用して、注文の送信時に実行されるルールや条件を設定し、履行注文と履行品目を生成することも可能です。つまり、履行デザイナーが注文分解を使用すれば、コマーシャルプロダクトの複雑さをテクニカルプロダクトと切り離すことができます。
これまでに、DRO の分解を使用して複雑な注文を簡素化する方法を学びました。次の単元では、ソリューションが注文を適切な時点に適切な順序で実行する方法について学習します。