顧客主導型組織と市場主導型組織とは?
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- お客様とビジネスに関する Drucker の基本的な考え方を説明する。
- 顧客主導型組織であるということが何を意味するのか説明する。
- 市場主導型組織であるということが何を意味するのか説明する。
- 会社の顧客主導パフォーマンスと市場主導パフォーマンスを評価、強化するツールや手法を利用する。
はじめに
このモジュールでは、まず組織にとって顧客主導、市場主導であることがなぜ重要であるかについて考え、それを実現するために管理チームが重点を置く 3 つの基本活動を確認します。その後に、システム管理者と Salesforce がどのように力になれるかを見ていきます。さっそく始めましょう。
顧客主導であることについて話さない組織はほとんどありません。企業がこの考え方を強調するときに組織に伝えようとしているのは、お客様の声にしっかりと耳を傾け、その情報を企業内で広く共有し、放っておいても売れるようなソリューションを実現するということです。顧客主導型として知られている企業としてすぐに思い浮かぶのは Amazon、Zappos、Nordstrom といった企業です。
問題は組織が顧客主導であるべきかどうかではありません。当然そうあるべきです。問題は、何がベストプラクティスであり、何が利点であるかです。つまり、顧客手動型になりたいという目標をどのようにアクションに変えるのでしょうか?
顧客主導であることはなぜ重要か?
故 Peter Drucker は世界に向けて、この質問に対するシンプルな答えを提供しました。
つまり、何に価値があり、対価に値するかを決めるのは企業ではなくお客様なのです。お客様の成功に役立つソリューションを提供することはビジネス成果につながります (図 1 参照)。このシンプルな原則は企業の成功に欠かせません。
図 1.顧客主導型組織
これが日常生活でどのように機能しているかを簡単に見てみましょう。わかりやすい例はファストフード業界です。かなり前に姿を消した KFC の「ナチョボックス」を例に取ります。マーケティング画像では美味しそうに見えましたが、お客様が受け取ったものはまったく別物でした。不満を感じたお客様は、他のお客様とオンラインで不平を共有しました。「1 週間前のごみと手術の残り物を混ぜたみたいに見える!」苦情が増えたところで、この料理はメニューから姿を消しました。危ないところでしたね。
もっと深刻な例は、United Airlines と Continental Airlines の合併です。お客様への影響を考慮せずに 2 社を強引に統合した結果、広範囲でサービスの中断が発生し、乗客が立ち往生することになりました。気分を害したお客様は離れていきました。それが United の最終収益に表れたとき、United の CEO はお客様への次のような文を公開しました。「端的に言うと、私たちはお客様の期待に応えず、あの日の約束と可能性を果たしませんでした。これからはそれを変えていきます。私たちはお客様の信頼を取り戻せるように努力することをお約束します。」結局のところ、お客様は大企業さえも謙虚にすることができるのです。
ここ数年でお客様の力は急激に大きくなりました。これは、主にソーシャルメディアツールによるものです。ソーシャルメディアでは、これまでにはない規模で、エクスペリエンスを簡単に楽しく共有し、他の人に影響を与えることができます。お客様が生成したコンテンツの増加は多くの業種に大きな影響を及ぼしました。
あなたが最後にレビューを見ずに大きな買い物をしたのはいつですか? あるいはあなたは TripAdvisor がホストしている旅行先について 3 億件もの消費者レビューのうちの 1 つを投稿したかもしれません。ソーシャルメディアによってお客様の反応はすぐに見える効果的なものになりました。
オンライン評価とビジネスパフォーマンスのつながりはかなり確実です。たとえば、Cornell University が行った接客サービス業界に関する最近の調査では、ホテルのオンライン評価が 1% 向上するたびに RevPAR (販売可能な客室 1 室あたりの収益) が 1.4% 向上することがわかりました。これは逆向きにも作用します。否定的なレビューは大きな打撃になることがあります。TripAdvisor のあるユーザーがホテルでの宿泊についてのレビューに次のように書きました。「こんな衛生状態では、湿疹が出るか病気にかかるに違いないと思います。」このような低評価のレビューがさらにいくつかあれば、ホテルは問題を抱えることになります。
そのため、顧客主導になって、すばやく対応することが不可欠です。組織は自身の製品やサービスをお客様に好きになってもらい、ずっと好きでい続けてもらう必要があります。
市場主導であることはなぜ重要か?
顧客主導であることは不可欠ですが、実際にはそれだけでは不十分です。組織はさらに幅広い市場にも注目しておく必要があります。いくつもの企業が市場動向の変化を見逃したことで倒産してきました。このような変化は自社の顧客ベースだけに注目して予測することは難しく、組織の外に目を向ける必要があります。
Nokia を覚えていますか? 少し前には、世界最大級の携帯電話会社として好業績を収め、世界のモバイル市場の 40% 以上を占めていました。機能やニーズについては既存のお客様の声をしっかりと聞き、美しい携帯電話を設計、製造していました。
Nokia にとって不幸なことに、市場は大きく変化し、Nokia は回復することがありませんでした。何が起きたのでしょうか? 市場がスマートフォン志向 (タッチスクリーンなど) に移行したことや競合他社が構築したエコシステム (開発者コミュニティなど) の影響を把握していなかったのです。その結果、Google と Apple が活躍している間に時間を失うことになりました。Nokia の元 CEO である Stephen Elop は Nokia の従業員に向けて有名なメッセージを書きました。その中で彼は、市場状況の変化を燃え盛る石油プラットフォームにたとえました。Nokia の携帯電話事業は回復することなく、最終的には Microsoft に売却されました。もしこの会社がもっと市場重視であればチャンスはあったかもしれません。なんといっても、40% もの世界市場シェアを持っていたのですから。
重要なのは、市場主導型企業は外部に注目しているということです。競合他社や新興テクノロジー、社会の変化、規制政策を監視しています。市場インテリジェンスを生成し、このインテリジェンスを分析して広め、それに応じて行動しています。その結果、変化にすばやく対応でき、スキルの習得と実践によって市場動向を予測したり、市場動向の形成に寄与したりすることもできます。
顧客主導と市場主導の両方であることに価値はあるか?
はい! 顧客主導と市場主導の両方であることに重点を置く企業は、より成功する傾向にあります。一般に次のような利点があります。
- お客様の満足度が高い。
- 業績が良い。
- 従業員の満足度や忠誠度が高い (そうでない場合もある)。
Netflix は顧客主導と市場主導の両方であったことが成功の大きな要因となっている会社です。初期には、既存のお客様のニーズ (低価格の DVD やオンラインビデオ) に重点を置き、Blockbuster のような実店舗によるレンタル店の衰退を正しく予測しました。現在はサブスクリプションビデオオンデマンド (SVOD) を促進し、「Orange is the New Black」や「House of Cards」などの画期的な番組で独自のコンテンツも開発しています。さらに、業界で最上級の従業員に優しいポリシーを持っており、父母両方に対する産休ポリシーは革新的です。
まとめ
要するに、企業は顧客主導または市場主導のどちらかに重点を置くことで短期的に成功できますが、通常、長期的には両方に重点を置いた場合により大きく成功できると認識することが重要です (図 2)。右上の領域が目指す場所です。
図 2.顧客主導、市場主導の組織の業績が高い傾向がある
リソース