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情報コンピテンシー入門

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Peter Drucker の著書に基づいて、知識ベースの社会への移行について説明する。
  • 情報コンピテンシーの主な特性を特定する。
  • 人と組織が情報コンピテンシー能力を開発する必要がある理由を説明する。
メモ

このモジュールは、Claremont Graduate University の Drucker School of Management と提携のもとに制作されています。

はじめに

一部の組織が他の組織よりも情報に精通しているように見えるのはなぜか、不思議に思ったことはないでしょうか? この疑問の答えを見つけられるように、知識時代における情報コンピテンシーの高まる重要性を詳しく見ていきます。その前に、ジャーニーを構成する実用的定義をいくつか規定しておきましょう。

このモジュールでは、情報とは、意味や目的を持たせるために処理、解釈、整理、構造化、または提示されたデータを指します。たとえば、レポート、システム仕様書、マーケティング計画、ダッシュボードなどが挙げられます。一方、データは、顧客名、電話番号など、構造化されるか否か、またはデータベースに保存されるか否かにかかわらず、未加工の事実や記号と考えることができます。知識とは、私たちが真実であると信じ、信じることが正当であり、私たちの行動を導く一連の信念と考えることができます。このような定義からわかるように、知識はデータと情報と関連していますが、データと情報はまったく異なるものです。

この定義に基づき、情報コンピテンシーとは、次のことを効果的に行う能力のことです。

  1. 必要な情報の性質と範囲を決定する。
  2. 必要な情報に効果的かつ効率的にアクセスする。
  3. 情報とそのソースを吟味し、選択した情報を自分の知識ベースに取り入れる。
  4. 情報を効果的に使用して、特定の目的を達成する。
  5. 情報の使用に関する経済的、法的、社会的な問題を理解し、倫理的かつ合法的に情報にアクセスして使用する。

皆さんは、驚くほど優れた情報コンピテンシースキルを持っている人を知っていると思います。また、少なくとも 1 人は苦手にしている人、自分は得意だと思っている人、考えることもしない人を知っているでしょう。組織内やオンラインで利用できる情報量が急速に増え、大量の情報が氾濫し、偏っていることを考えると、意思決定や組織の知識を向上させるような方法で情報を作成、検索、解釈することは困難です。幸い、いくつかのベストプラクティスを採用することで、組織の情報コンピテンシースキルを向上させることができます。

このモジュールでは、最初に情報コンピテンシーの重要性が高まっている理由を詳しく説明し、次に、多くの組織が苦戦している情報コンピテンシーの 2 つの重要な分野である、(1) 情報の評価と (2) 論拠や提案を構築するための情報の使用について深く掘り下げます。では、始めましょう。

知識ベースの視点を跳び回る

知識の形を表すさまざまなアイコンの上を飛び越えている、ブリーフケースを持った男性の漫画。「知識ベースの視点を跳び回る」というテキスト表示

私たちが生きている時代は、人類史上、他に類を見ない時代であり、知識ベースの能力が最も重要な時代です。Drucker がそう表現したように、社会は今や知識が重要な生産要素となるまでに進化しました。これは、土地、資本、労働力、企業といった経済学者が提唱する従来の生産要素を上回っています。これが意味するところは明らかです。つまり、競争力を維持するためには、個人や組織が知識を継続的に培い、革新的な商品やサービスを生み出すなど、より高い成果を上げるためにこの知識を活用することが、これまで以上に不可欠になっています。

眼鏡を手に持っている Peter Drucker の写真。
「この社会では、知識は個人にとっても経済全体にとっても主要なリソースである。」
Peter F. Drucker


このような知識ベースの能力は、主に戦略レベルの意思決定に携わる経営陣の責任であると考える人もいるかもしれませんが、調査によると、イノベーションとパフォーマンスは職場内の個人やグループの知識ベースの能力とも関連しており、グループや組織レベルの知識は人と人との質の高い交流に依存していることが明らかになっています。つまり、多くの知識は個人の頭の中に保持され、情報という形で人から人へと伝達されるということです。多くの組織がこのような知見を受け入れ、ワークスペースやシステムを設計し、質の高い情報交換を伴う人と人との交流を促進することで、組織の知識を構築しようと積極的に取り組んでいます。

たとえば、世界有数の海上保険会社である Gard は、コミュニケーションとコラボレーションを改善することで、組織全体の知識を築き上げるために行動を起こした多くの組織の 1 つです。これを実現するために、Gard は Chatter をエンタープライズソーシャルネットワークとして採用し、従業員が地理的場所や担当する業界を越えて協力し、お互いの市場について学び、社内の信頼を築けるようにしました。このような知識の共有により、リスク評価が改善され、おそらく最も重要な点である、メンバーやクライアントにより適切なリスクソリューションを提供するためのコラボレーションが可能になりました。

多くの組織が知識の共有やコラボレーションツールをパフォーマンスにとって重要な要素として活用するにつれ、その共有やコラボレーションを行う人の情報コンピテンシースキルはより一層不可欠となっていくでしょう。優れた情報コンピテンシースキルは、知識の構築と共有に役立ち、より良い結果につながります。とはいえ、情報を生み出して管理する能力はかつてないほど高度になっている一方で、多くの人や組織が情報から価値のある知識を得ることに苦労し続けているのは、当然のことかもしれません。

たとえば、ある巨大企業の地域マネージャーが、ダッシュボードやスプレッドシートレポート、さまざまなシステムに含まれる信じられないほど大量のパフォーマンス情報に目を通すのにとてつもなく多くの時間を費やしていました。労働時間をますます増やし、カフェイン入りの飲料をどんどん飲むことで、常に計画以上の地域のパフォーマンスを達成していました。他のマネージャーも同様でしたが、組織全体のパフォーマンスは徐々に低下していきました。これは 2 年以上にわたり続きました。同社が気付いていなかったのは、パフォーマンス評価指標が顧客の成果ではなく、業務効率を過度に重視していたことです。そのため、パフォーマンスダッシュボードのデータはそれなりに良く見えていたものの、他のより革新的な企業に顧客 (最も重要なもの) が徐々に奪われていきました。顧客をもっと重視する必要があったのは明らかだと思われるかもしれませんが、マネージャーたちは、業務効率に常に焦点を置けば、より顧客の役に立つことができると思い込んでいました。今日に至るまで、衰退のサイクルは続いています。

上記の例を見ると、この会社には利用可能な情報が大量にありました。マネージャーたちは顧客離れに関する情報を持っていましたが、業務パフォーマンスの重要業績評価指標 (KPI) を過度に重視しすぎていたのです。

まとめ

この単元では、知識ベースの社会への移行に伴い、人や組織がどのように情報コンピテンシー能力を開発する必要があるかを詳しく説明しました。Chatter のようなエンタープライズソーシャルネットワークツールによって、グループや組織レベルの知識を伝達および構築するために必要な情報交換をどのように改善できるか、その一例を確認しました。また、組織環境における情報コンピテンシーの課題の例も確認しました。次の単元では、情報コンピテンシーのスキルを身につけるための優れたベストプラクティスをいくつか見ていきましょう。

リソース

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