ジャーニーのケースの理解
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Marketing Cloud Engagement ジャーニーとは何かを説明する。
- ジャーニーがどのようにしてビジネスユーザーと顧客とのつながりをサポートするのか説明する。
- Distributed Marketing 経由で他のクラウドで使用するメッセージとジャーニーを、Marketing Cloud Engagement で準備するプロセスを説明する。
- Distributed Marketing のロールアウトの準備をする。
はじめに
「分散型組織のブランド統一」では、分散型組織の概要と、ブランドの一貫性維持の重要性を学習しました。また、Distributed Marketing の概要とその機能についても多少学びました。このモジュールでは、Distributed Marketing の仕組みについて詳しく扱い、組織向けに設定してロールアウトするすべてのステップを紹介します。
始める前に...
このトレイルの内容は、受講者が Salesforce アプリケーションに関する一定の基本概念をすでに理解していることを前提としています。事前に次の Trailhead バッジを取得することをお勧めします。
- キャンペーンの基本
- Lightning Experience の取引先と取引先責任者
- Lightning Experience のリードと商談
- Journey Builder を使用したキャンペーンの管理
- Content Builder を使用した魅力的なコンテンツの作成
ジャーニーとは
ジャーニーと言うと、おそらく 1 つの場所から別の場所への旅を思い浮かべるでしょう。砂浜に行くエキゾチックな休暇を思い浮かべる人もいるかもしれません。あるいは、内なるジャーニーとして、子どもから大人への成長を思い浮かべるでしょうか?
Marketing Cloud Engagement でジャーニーという場合は、見込み客がブランドにエンゲージし、得意客になるまでの道のりを意味します。ジャーニーは、あなたが設計するカスタマーコミュニケーション計画です。この独自のパスを設計するために使用するツールが Journey Builder です。
Journey Builder は、Marketing Cloud Engagement のキャンペーン計画ツールです。ブランドのジャーニーを通じて顧客を誘導するキャンペーンを設計し、自動化するために使用します。空白のキャンバス (またはテンプレート) から開始して、Journey Builder にジャーニーに追加された顧客とどのようなコミュニケーションを取るか指示するアクティビティを設定します。設定すると、Journey Builder は反応型キャンペーンを自動的に実行し、取引先責任者を継続的に評価して、次のアクティビティに移行するタイミングを判断します。
カスタマージャーニーの例を次にいくつか示します。
- 人々をイベントに招待する。
- アカウント作成で新しいユーザーを誘導する。
- 新規メンバーを歓迎する。
- 顧客に購入を感謝する。
- 放棄されたショッピングカートがあることを買い物客に知らせる。
- 季節のキャンペーンを宣伝する。
カスタマージャーニーを導入したマーケティング担当者を対象にした Salesforce の「State of Marketing Report (マーケティングの現状レポート)」によると、3 分の 2 以上が、ビジネスにプラスの影響があったことに同意しています。カスタマージャーニー戦略は、離脱率の低下から収益増加の促進まで、すべてのマーケティング担当者の取り組みを後押しします。
Journey Builder + Distributed Marketing の力
「分散型組織のブランド統一」では、マーケティング担当者とビジネスユーザーの差について学習しました。Journey Builder と Distributed Marketing の機能を組み合わせて、その差を縮め、影響力のあるブランドの体験を顧客に提供します。
次の例を考えてみます。ある自動車メーカーではそのマーケティングチームが、従来のマーケティングアセットからナレッジ記事、リレーション管理メッセージに至るまで、ブランド戦略や対顧客のあらゆるコミュニケーション戦略を立てています。そして、世界各地のディーラーチームが顧客リストを作成し、売上を伸ばし、購入者を喜ばせようと尽力しています。ブランドの顔として顧客に対応するのはこうしたディーラーです。顧客のことをよく知っているのもディーラーです。マーケティングチームは、ディーラーの成功をサポートする有益なコミュニケーションを提供するための時間とスキル、専門知識を備えています。
Journey Builder と Distributed Marketing に話を進めます。
マーケティングチームは Marketing Cloud Engagement の Journey Builder を使用して、コミュニケーションのライフサイクルを作成します。たとえば、新規顧客にディーラーを紹介し、最近購入した商品について説明するメール、重要なイベント (在庫品の販売、推奨の点検時期など) を顧客に案内するメール、月次レポートを配信するメール、場合によっては誕生日のお祝いメールなどを設定します。
ディーラーが顧客に対応していないときは、Experience Cloud で作業しています。新規リードの情報を入力し、既存顧客の商談を追加し、取引先責任者レコードに各エンゲージメントのメモを残します。
マーケティングチームは Distributed Marketing を使用して、Experience Cloud キャンペーンを Marketing Cloud Engagement ジャーニーに結び付けます。マーケティング担当者は、簡潔なエンゲージメントやマルチタッチエクスペリエンスなどを使用するベストプラクティスを促進するコンテンツを共有します。そして、ディーラーが簡単に適切なタイミングで各自のリードや取引先責任者を適切なキャンペーンに追加し、メッセージをパーソナライズします。コミュニケーションが Journey Builder から自動的に流れてきます。マーケティングチームはまた、ディーラーがリードや取引先責任者にメッセージをそのリードレコードや取引先責任者レコード内から送信するためのメールテンプレートのライブラリを作成します。
Distributed Marketing があれば、ビジネスユーザーがその得意とするところ、つまり顧客との関係構築に専念できます。
Distributed Marketing と Journey Builder を合わせて使用するメリットはたくさんあります。そのほんの一部を紹介しましょう。
- Marketing Cloud Engagement で法令に準拠するブランド独自のコンテンツやジャーニーを作成してマーケティングの承認を受けるという方法で、ブランドの一貫性とコンプライアンスを確保する。
- ユーザーがよく使用するクラウド経由で、ジャーニーに顧客を簡単に追加する。
- メッセージをすばやく直感的にカスタマイズする。
- ビジネスユーザーに顧客との関係に集中してもらう。
- ジャーニーエンゲージメントを把握および測定し、実際の状況で最適化する。
Distributed Marketing の復習が必要な場合は、次の動画をご覧ください。
準備は成功の鍵
Distributed Marketing の機能と、他のクラウドのデータと共に Marketing Cloud Engagement ツールと組み合わせる方法を学習し始めました。開始する準備はできましたか? Distributed Marketing をインストールして設定する前にいくつかやるべきことがあります。
一度立ち止まって、企業でどのように Distributed Marketing を使用するか検討します。作業に取りかかる前に、次の推奨事項を参考にして特定のユースケースのプランを作成しておきます。
関係者を特定する。Distributed Marketing はコラボレーションを推進するもので、組織全体の関係者、参加者、インフルエンサーが集う場所です。Distributed Marketing のロールアウトを成功させるためには、マーケティング部門、ビジネスユーザー、Salesforce システム管理者の協力が不可欠です。では、詳しく見ていきましょう。
- マーケティング部門は、ブランドのマーケティング戦略を所有します。日常業務で Distributed Marketing に携わることはありませんが、ビジネスユーザーの要望を聞き入れて、グローバル戦略を考案し、Distributed Marketing のあらゆるコンテンツで従うべき標準を定める必要があります。マーケティング部門は主として Marketing Cloud Engagement で作業します。
- Distributed Marketing 管理者またはチャネルマーケティング担当者は、社内のマーケティング組織に属し、マーケティングイニシアチブとビジネスユーザーのニーズの橋渡し役となります。Salesforce CRM キャンペーンを Marketing Cloud Engagement ジャーニーと結び付け、テンプレートをユーザーに共有する役割を担います。また、Content Builder でのコラボレーションコンテンツの作成を担当することもあります。こうした人々は主に Marketing Cloud Engagement で作業しますが、他のクラウドを使用することもあります。
- Distributed Marketing ビジネスユーザーは、リード、取引先責任者、個人取引先を管理します。ビジネスユーザーは Distributed Marketing を使用して、メッセージの送信やパーソナライズを行います。標準ユーザー (ファイナンシャルアドバイザー、カーディーラー、フランチャイズのオーナーなど) と呼ばれることもあり、Sales Cloud、Service Cloud、Financial Services Cloud、Experience Cloud などで作業します。
- Salesforce システム管理者は、Salesforce 環境を設定して管理する責務を担います。組織が Distributed Marketing を確実に使用できるよう適切に設定します。また、Distributed Marketing 管理パッケージをインストールし、ビジネスユーザー用の共有や許可を管理します。
適切なツールがそろっていることを確認する。Distributed Marketing には、Journey Builder が有効な Marketing Cloud Engagement が必要です。また、Sales Cloud、Service Cloud、Financial Services Cloud (FSC)、Community Cloud のいずれかのクラウドが必要です(Experience Cloud で Distributed Marketing を使用する場合は、Partner Community ライセンスが必要です)。
Distributed Marketing の要件を確認する。サポート対象のクラウド、エディション、環境、および機能のリストを確認してください。
ユーザー権限を確認する。AppExchange パッケージのダウンロード、アプリケーションのカスタマイズ、すべてのデータの変更、認証プロバイダーの管理、権限セットの割り当て、設定・定義の参照の権限を、Salesforce 組織で持っていることを確認します。
Marketing Cloud Engagement での使用開始
ここから、マーケティングチームに参加して支援してもらいます。Distributed Marketing のインストールが済むまで Marketing Cloud Engagement ジャーニーの構成を行わないことも考えられますが、先に実行しても構いません。マーケティングチームは次の推奨事項を参考に、Distributed Marketing のロールアウトの準備を進めることができます。
- カスタマーコミュニケーションジャーニーを計画する。
- 顧客属性 (メールアドレス、地理的な場所など) に応じてメッセージをどのようにパーソナライズするか検討する。
- Distributed Marketing コンテンツブロックを Marketing Cloud Engagement アカウントにインストールする(この手順は、モジュールの後半で説明します)。
- Content Builder や Distributed Marketing コンテンツブロックで利用できる優れたツールを使用して、Marketing Cloud Engagement でメッセージを考案して作成する。
- Journey Builder で、標準の Distributed Marketing ユーザーが作業しているクラウドから顧客データを取り込んだイベントを使用してジャーニーを構成する。
それでは始めましょう! 次は、権限と Distributed Marketing のインストールについて見ていきます。