職場での障害を理解する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- いろいろな障害について説明する。
- 障害のある人々が応募しやすい環境を作り出すために会社ができる 3 つのことを挙げる。
- 多様性戦略の一環として障害インクルージョンを保証することがビジネス上のメリットをもたらす理由を説明する。
はじめに
あなたが最後に転職したときのことを思い出してみてください。新しい仕事のことを考えてワクワクしましたよね。でも一方では、不安な気持ちに襲われたり、自分なんて何の取り柄もないのかも知れないと心配になったりするかも知れません。
もしあなたが、採用マネージャーとコミュニケーションが取れない状態で面接に臨んだとしたらどうなっていたでしょうか。あるいは、チームとの顔合わせにオフィスに行く手段がなかったとしたら。これらは、障害のある人々が転職する際に常に抱えている悩みなのです。たとえば、字幕機能がないビデオ会議サービスを使用して面接が実施されたり、オフィスビルが車椅子に対応していなかったりといった状況です。
いろいろな障害を知る
採用環境をよりインクルーシブにする方法を考える前に、まず、障害にはどのような種類があるのかを見てみましょう。これらは単に説明を理解しやすくするための一般的な分類であり、他の人とまったく同じ障害を持つ人はいないということを理解することが重要です。
どの障害もいくつかの種類に分類することができますが、それぞれの人の体験や選択は大きく異なります。たとえば、同じ聴覚障害のある人であっても、相手の唇を読むことを選ぶ人や、補聴器の使用を選ぶ人や、手話を選ぶ人がいます。障害のある人々と関わるときには、相手が好む方法やそれぞれの障害の状況に応じた方法でコミュニケーションを取るようにすることが重要です。
一般に、障害は次のように分類できます (もちろんこれだけではありません)。
- 視聴覚障害 (盲目、難聴など)
- 言語障害 (吃音、失語症など)
- 移動障害および肢体不自由 (歩行困難、微細運動障害など)
- 認知障害 (難読症、注意欠如多動症 (ADHD) など)
- 発作性障害 (光過敏性発作など)
- 心理的および精神的障害 (鬱病、不安障害など (見た目では分からないこともあります))
これらの障害のある人々を受け入れるように採用プラクティスを見直すことで、採用プロセス全体において求人応募者が自分を素直に表せるようになり、会社にもメリットをもたらす結果となります。
より応募しやすい環境を作り出す
インクルージョンに留意して採用プロセスを最初から設計することで、面接で最高の自分をアピールできるようにすべての人に同じ機会が与えられるようになります。
まずは肩の力を抜いて、どの応募者に対してもそうするように、相手の人柄と専門性を知りましょう。ここに来たのは互いによい関係を築くためですから、相手の話や経験に心からの関心を寄せることが大切です。
次に、どんな質問でも恐れないようにしましょう。ついやってしまいがちな最悪の行為の 1 つは、障害を持っているように見えるというだけで、その人が補助を必要としていると勝手に思い込んでしまうことです。そうではなく、面接をスケジュールするときには、「何か必要なことがありますか?」や「何か補助や配慮が必要ですか?」と言った広義の質問をしましょう。
いろいろな障害のある人々と関わるときに留意すべきことは以下のとおりです。
身体不自由な人
- 運動補助具には触れないようにしましょう。
- 痛み、平衡感覚障害、または外傷後ストレス障害を抱えている場合は、身体的な接触に注意しましょう。
- 補助者、介助者、同伴者ではなく、本人と会話しましょう。
- 不自然ではない限り、相手と目の高さが合うように椅子の高さを調整しましょう。
全盲または弱視の人
- 可能な限り、言葉で自分の身分を明かし、会話を中断したり離席したりするときには一声かけましょう。
- 同行援護を行う場合は、腕を掴んだり背中を押したりするのではなく、腕や肩を貸しましょう。周囲の状況を説明しましょう。
- 介助犬などの動物には触れたり話し掛けたりしてはいけません。動物と触れ合いたい場合は、相手の許可を取りましょう。
- 状況に応じて情報を読み上げるかどうかを尋ねましょう。
聾または難聴の人
- 話し掛ける前に、相手の注意を引きましょう。たとえば、手による合図か、または腕に軽く触れます。
- 可能な限り、手話通訳者 (同席している場合) ではなく本人に話し掛けましょう。相手が話し掛けて来ているときには、相手をきちんと見ましょう。
- 可能な限りアイコンタクトを続けて、通常の口調で話しましょう。(大声を出しても無意味であるどころか、相手が唇を読みづらくなることさえあります。)
言語障害の人
- 相手の言ったことを理解できなかった場合は、もう一度話すようにお願いしましょう。
- 相手を助けようとして相手の言葉を補ったり、相手の代わりに話したりしたくなっても、その衝動を抑えましょう。
- どうしても相手が何を言っているか理解できない場合は、会話が成立していないことを説明して、筆談など、他のコミュニケーション方法を提案しましょう。
外見ではわからない障害のある人
会話で何か違和感がある場合は、精神的な障害、認知障害や学習障害、自閉スペクトラム症、経度の聴力低下、ADD/ADHD、外傷後ストレス障害など、見た目には分からない障害の可能性もあります。このような場合は、静かな場所に移る、会話の内容を言い換える、会話のペースを変えるといった工夫をしましょう。また、相手のニーズに応えられるように、希望するコミュニケーションの方法について尋ねるのもよいでしょう。
ビジネス上のメリット
多様性戦略の一環として障害インクルージョンを含めることは、ビジネス上にもメリットがあります。障害者のコミュニティは大規模で多様性に富み、すでに応募者のプールの一部となっているため、対応する準備を事前に整えておく必要があります。また、インクルーシブな採用プロセスを準備することは、米国障害者法 (ADA)に準拠することになります。(繰り返しますが、これは米国限定の話ですので、米国外の方は、自分の国での障害者雇用に関する法律に準拠してください。)
Salesforce では、すべての人に優しい職場作りが、万人の平等を推進するという私たちの至高の目的を達成するための重要なステップであると考えています。障害インクルージョンは、この信念に不可欠です。そのため、特に多くの人がリモートで働くようになった今、障害のある応募者を完全に受け入れるインクルーシブな採用プラクティスを作り出す方法をすべての人が理解することが重要なのです。
次の単元では、採用プロセスでインクルージョンの障壁を特定して除去する方法を学習します。
リソース
- 外部サイト: Disability Etiquette (障害者に対するエチケット)
- 外部サイト: Why Companies Should Hire More People with Disabilities (障害のある人々を企業がもっと雇用すべき理由)
- 外部サイト: Americans with Disabilities Association
- Salesforce: Closing the Disability Gap (障害のギャップを埋める)
- YouTube: Workplace Accommodations (職場での配慮)
- 外部 Web サイト: Americans with Disabilities Act (米国障害者法)