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デジタルトランスフォーメーションについて

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • デジタルトランスフォーメーションプロジェクトに共通する要素を特定する。
  • デジタルトランスフォーメーションの実例について説明する。

第 4 次産業革命

私たちは、テクノロジー、業界、日常生活の大きな変化の真っただ中にいます。この変化のスピード、広さと深さ、体制への影響が非常に変革的であることから、この時代は第 4 次産業革命と呼ばれています。おそらく皆さんも自身の生活の中で、これらの変革を直接経験したことがあるでしょう。スマートフォンの写真アプリで、写真に写っている人が認識されて分類されるようになったことにお気づきかもしれません。または、電気をつけたり、食料品を注文したり、今日の天気を教えてくれたりするデジタルアシスタントデバイスを自宅にお持ちかもしれません。 

変化の速度と規模は、私たちの世界に大きな影響を及ぼしつつあります。モバイルテクノロジーのイノベーション、モノのインターネット (IoT)、ロボット工学によって、消費者の行動とビジネストレンドが変化しています。それらは、人々の仕事と社会的な関係に影響を及ぼしています。将来を見据えた組織は、このことを認識し、それに適応することで、時流に乗り続け、成長を促進しようとしています。 

デジタルトランスフォーメーションとは?

ロボット工学、人工知能、IoT の進歩は、良いことを成し遂げるチャンスを組織にもたらします。デジタルトランスフォーメーションとは、そのチャンスを活かすことです。 

ほぼすべてのデジタルトランスフォーメーションプロジェクトに共通する 3 つの主要な特徴があります。 

デザインファースト

テレビのリモコンは、スマートフォンと同じぐらい簡単で直観的に使用できる必要があると思いませんか? 多くの会社はそう考えているため、その観点で人々が喜ぶような商品やソリューションを設計しています。このアプローチはデザイン思考と呼ばれ、商品やサービスのエンドユーザーに対する共感が優先されます。 

迅速な実験と反復が、この継続的なプロセスのループを構成します。従来は、リーダーがビジネスの将来について考え、戦略を作成するときに、業界のトレンドを分析したり、競合分析を実行したりしていました。ただし、トレンドや競合に目を向けていると、何ができるかについての議論が制限されてしまいます。多くの企業がテクノロジーの破壊的イノベーションを予見できなかった理由はそこにあります。 

デザインファーストな企業は、ユーザーを第一に考え、競合他社について思い悩むことはあまりありません。デザイン思考によってビジネスの問題を解決する場合は、単純な答えのない、あいまいな問題を解決するための強力なツールセットを手に入れることになります。この人間中心のアプローチに移行すれば、ユーザーのエクスペリエンスを改善することが理想的な基本原則であることが明らかになります。広告から医療まで、各顧客にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できれば、標準化されたものを提供する場合に比べて、より良い成果が得られます。 

デジタルトランスフォーメーションの探索を始めたばかりであれば、まず、顧客、従業員、パートナーの行動とニーズについてのより良いインサイトがあれば意思決定プロセスをどのように改善できるかについて考えます。その人たちが、あなたの会社とビジネスを行うときに不満を感じていることは何ですか? どうすれば、より役に立つ商品やサービスを提供できますか? 

ユーザーエクスペリエンスについて、共感的な考え方に基づき、よりカスタマイズ可能なソリューションを実装することに前向きな企業が、第 4 次産業革命で成功する企業です。有名なスポーツブランドが現在これを行っています。Web サイトだけでなく複数のチャネルで顧客とつながることで、このブランドの E コマースの売上は 66% 増大しました。 

文化

人々がデジタルトランスフォーメーションについて考えるとき、新しいテクノロジーに投資さえすれば、仕事はそれで終わりだと決めつけがちです。ただし、これらの大規模な変革的プロジェクトに携わったことがある人なら誰でも知っていることですが、変更管理の側面に対応しなければ、確実に失敗します。Tony Colon は『Forbes』のこちらの記事で的確に述べています。

私が最大の問題だと思うことの 1 つが、「それ用のアプリケーションがある」という思い込みです。それによって今日の役員は簡単な解決策があると考えがちです。そして、多くの場合、ビジネスの特定の問題を解決するためのアプリケーションは存在しますが、この問題はもっと深いところにあります。明らかに、テクノロジーは重要なビジネス戦略の実行を容易にします。ただし、テクノロジーはデジタルトランスフォーメーションの主要な構成要素ですが、唯一の構成要素ではありません。テクノロジーを実装するだけでは、ビジネスの問題を解決できません。

人々の仕事や行動の方法を変更しなければ、テクノロジーはうまくいきません。つまり、顧客中心性、応答性、ビジネスと IT の間に従来から存在するサイロの解消などのデジタル文化の特性を積極的に促進しなければ、デジタルトランスフォーメーションの取り組みは苦しいものになります。開発と提供だけでは問題が解決されないのには理由があります。従業員がテクノロジーを利用して、その戦略的な意図を支持しなければ、プロジェクトは早々に失敗します。

そのため、変化を受け入れ、変更を実施する人や提供を受けるユーザーのエクスペリエンスに正面から取り組む文化を推進しましょう。

スピードと俊敏性

第 4 次産業革命と以前の 3 つの産業革命を区別するものが 1 つあるとすれば、それは変化とイノベーションの速度です。蒸気動力による革命によって農場中心の社会が工場中心の社会へと変革するのには 100 年以上かかりました。携帯電話の影響とそれによる社会の変革について考えてみると、それはたった十年余りで起きました。世界最大級で最も価値の高い企業のいくつかは 25 年前には存在してもいませんでした。 

このような変化のペースが普通だと感じられ、誰もが、技術的なイノベーションの速さに慣れてきています。それによって、変革しようとしている組織にとって課題と機会の両方が発生します。 

Salesforce がデジタルトランスフォーメーションに関心を持っている企業と連携するときには、ほとんどの場合、それらの企業は俊敏性と革新する能力を高めることに関心を持っています。Salesforce は世界で最も革新的な企業の 1 つとして広く認知されていますが、それは俊敏な構造、手法、慣習を持っていることに加えて、従業員が俊敏な考え方を持てるようにしているためです。Salesforce の文化では、すべての関係者から率直なフィードバックを奨励しています。そのフィードバックにすばやく対応できることによってより良い商品を提供し、より強い企業となることができます。Salesforce が連携する多くの企業がまだ気づいていない重要な点は、俊敏であるということは商品を頻繁にリリースするだけのことではないということです。関係者のニーズによりすばやく反応できるように、業務構造を見直すことも重要です。

デジタルトランスフォーメーションの実例

ここまでは、デジタルトランスフォーメーションの全般的な概念について抽象的に説明してきましたが、  デザイン思考やイノベーションの速度上昇は、実際にはどのようなものなのでしょうか? 2 つの実例を簡単に見ていきましょう。

トヨタファイナンシャルサービス

トヨタファイナンシャルサービスは、自動車関連の金融を取り扱う Trailblazer で、借り手の視点からプロセス全体の見直しを行っています。トヨタは、コールセンターエージェント向けに複数のシステムを 1 つのアプリケーションに統合したことで、カスタマーエクスペリエンスが大きく改善され、顧客とエージェントの満足度が大幅に向上しました。

テキサス大学

テキサス大学は、より学生重視になるように取り組んでおり、従来の大学および大学院の学位課程よりも柔軟な各種の学習オプションを提供しています。同大学は、オンライン履歴書の見直しを行い、学生が自分の成績を将来の雇用主と共有できる新しい方法を考案しています。それによって、同大学は、職場の人々をつなぐ全く新しい市場を創り出しています。

リソース

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