ガバナンスフレームワークを作成する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ガバナンスフレームワークを作成する。
- 効果的なフレームワークを維持するためのベストプラクティスを挙げる。
点をつなぐ
マーケターが最高の計画を立て、最善の意図をもってしても、理想的なカスタマーエクスペリエンスを妨げる障害に直面します。パーソナライズされたコンテンツをリアルタイムで作成しようとしたときに、現実的な課題に直面することがあります。たとえば、データの分断、カスタマーライフサイクルのフェーズの分断、チャネルの分断、社内のポリシー、セキュリティ上の懸念などが挙げられます。このキーワードとなるのが「分断」です。
分散した各点をつなげるにはどうすればよいのでしょうか? ガバナンスフレームワークを導入します。ガバナンスフレームワーク (センターオブエクセレンスということもある) は、最新テクノロジーのレビュー、職場の多様性のようなトピックの調査、そしてこのモジュールのカスタマーエクスペリエンスの向上など、特定の目標に重点的に取り組む多分野チームによって確立されます。
ただの委員会ではない
マーケターによるカスタマージャーニーの管理には限界があるため、優れたデジタルマーケティング計画ではマーケティング部門のサイロ以外もその対象とします。ガバナンスフレームワークを確立すれば、イノベーション、リソースの最適化、ポリシーへのコンプライアンスに対する全社的な取り組みという形で、マーケターが管理職のサポートを受けることができます。企業全体でデジタルマーケティングトランスフォーメーションを実現するためには、エグゼクティブクラスの関係者や社内の他の分野から協力を取り付け、ビジネスのあらゆる分野との連携や賛同を確保することが極めて重要になってきます。
目標に焦点を定める
ガバナンスフレームワークチームは、定義した目的や目標に関連する特定の領域 (人材、プロセス、テクノロジー) に重点的に取り組みます。では、詳しく見ていきましょう。
人材
計画の実践に必要な人材を特定し、トレーニングを実施します。
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分野を超えたリソースを特定する。ガバナンスフレームワークのチームには、目標に関連するすべての事業の所有者をメンバーとして含める必要があります。カスタマーエクスペリエンスを取り上げたこのモジュールの使用事例では、マーケティングだけでなく、カスタマーサービス、営業、プロジェクト管理、テクノロジー、調査研究のメンバーでチームが構成されるものと思われます。
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継続的な調査を特定して実施する。当初のユーザーエクスペリエンスについて調査し、カスタマーエクスペリエンスの継続的な評価を確立します。
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他の地域のチームと協力してグローバルな視点を培う。世界各地にチームがある場合、地域ごとに独立して事業運営していることが少なくありません。地域が連携し、インサイトを共有して一貫性のあるグローバルエクスペリエンスを実現すれば、お客様にメリットがもたらされます。
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既存のロール、職務、スキルを確認する。お客様のメリットを念頭に、必要に応じて調整を行います。
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新規と既存の従業員が適切なトレーニングを受けられるようにする。従業員が標準、ポリシー、変更管理ツールを認識し、適切に使用できるようにします。
プロセス
トランスフォーメーションを後押しするプロセスを特定して優先し、その実行を推進します。
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計画を立てる。カスタマーエクスペリエンスに関する組織の目標や手段を特定します。(デジタルマーケティングのロードマップがこの計画の主な要素になりますが、マーケティング以外の目標が追加されることもあります。)
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柔軟な標準やポリシーを作成する。企業の規模を問わず、標準やポリシーはその構造を支えるものですが、標準には、カスタマーエクスペリエンスを向上させる新しいアプローチを試すことを可能とする柔軟性をもたせる必要があります。
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変更管理プロセスを確認する。企業 (や個人) が変化に戸惑うことが多々ありますが、変更管理計画が認識されていれば、変化が受け入れられやすくなり、採用が促進されます。
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ペルソナを特定して確認する。従業員のペルソナを見極めたら、各人がペルソナをどのように活用して採用を促進するのかを判断します。
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ブランドやコンテンツのガイドラインを特定する。ブランド設定、語調、コンテンツのガイドラインに関する情報を備えた、従業員向けのコンテンツツールキットを作成します。
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全社的なベストプラクティスを特定して文書化する。ベストプラクティスの採用方法や監視方法を特定します。
テクノロジー
成功に向けた適切なツールやテクノロジーを用意します。
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データモデルの一貫性と適切なデータの健全性を確保する。この点は、デジタルマーケターがガバナンスフレームワークによってもたらされる価値を実感できる最も重要な領域の 1 つです。
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最新テクノロジーを試験的に運用して、イノベーションを促進する。新しいテクノロジーの全社的な導入は複雑なプロジェクトです。綿密な使用事例とパイロットテストの確固たる計画に基づいて、テクノロジーの導入を調査して実装します。
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テスト計画を作成する。進化は新たな試行を伴うため、コンテンツやオーディエンスのテストを優先的に実施します。
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ツールを特定して合理化する。
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コンテンツ作成の標準的なアプローチがあることを確認する。
成功する方法
しなければならないことがたくさんあります! 概して、効率的に成功を収めるチームには次のような共通点があります。
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エグゼクティブの賛同を得ている。計画や実装について管理職の賛同を取り付けています。
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分野を超えた多様なチームメンバーで構成されている。各分野の専門知識を尊重し、相互理解に努めます。
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一貫性を保ち、ガバナンス計画に従う。ミーティングで人々の時間を無駄にせず、体系的なアジェンダに沿った有意義なものにします。ミーティングを終える前に、各種の責務のグループ内の担当者を決めておきます。
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リソースを共有する。テンプレート、ツール、カレンダー、作業基準からアクセス可能な共有リソースのシステムを整えます。こうしたツールの使用を監視し、報奨を付与する方法を取り決めます。
このモジュールでは、主要業績評価指標を特定し、現行の計画を評価して、戦略的ロードマップを作成しました。さらに、ロードマップに対する全社的な賛同を得るためのフレームワークを作成した場合のメリットを理解することができました。これで、目標を達成し、デジタルトランスフォーメーションを実現するために必要なものがすべて揃ったことになります。
リソース
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Salesforce: The Marketing Leader’s Guide to Developing a Center of Excellence (センターオブエクセレンスを確立するためのマーケティングリーダー向けガイド) (ダウンロード)
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Salesforce ブログ: Overcoming the Curse of the Center of Excellence (センターオブエクセレンスの呪いを克服する)
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Salesforce ブログ: How to Use CRM as the Foundation for Customer-Centric Digital Experiences (顧客中心のデジタルエクスペリエンスの基盤として CRM を使用する方法)
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Trailhead: ドラッカースクール — 組織改革のリーダーシップ
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Salesforce ブログ: 5 Tips to Building an Effective Customer Success Organization (効率的なカスタマーサクセス組織を構築するための 5 つのヒント)