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マーケティングプログラムを分析する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 統計値と主要業績評価指標を特定する。
  • Marketing Cloud Engagement で統計値を追跡する。
  • プログラムの投資収益率を計算する。

左脳か右脳か?

1960 年代に、神経心理学者の Roger Sperry が左脳と右脳の研究を行い、人それぞれこのいずれかが優勢で、右脳型の人はより創造的、左脳型の人はより分析的であるという見解を示しました。けれども、最近の研究では、多くのタスクで両側の脳を働かせる必要があるため、この見解が必ずしも正しくないことが示されています。「パーソナライズされたメールマーケティング」モジュールで紹介した、マーケティング計画の次の 4 つの要素もその好例です。 

  • オーディエンスを把握する。
  • 優れたコンテンツを作成する。
  • 結果を分析する。
  • 計画を進展させる。

テクノロジー、チャネル、手法が常に進化する中で、マーケターがこの 4 つの要素を成し遂げるためには創造力と分析力の両方が求められます。このモジュールでは、マーケティング計画の分析と進展について詳しく説明します。まずは左脳を働かせ、各自のパフォーマンスを追跡する方法から見ていきましょう。

成功を測定する

行先を決めるには、まず自分の現在位置を確認する必要があります。主要業績評価指標 (KPI) を使用して、キャンペーンの成功度を測定することが大切なのはそのためです。こうした目標や統計値は、特定のキャンペーンや組織、業界に合わせて調整します。

では、靴の小売業者である Cloud Kicks でデジタルマーケターを務める Yasmin Ahmad が、一般的なメール KPI を確認するところを一緒に見ていきましょう。 

Yasmin の画像

まず知っておきたいと考えているのは、2 週間後の社内ミーティングで使用するマーケティングの概要と 6 か月のロードマップに記載すべき情報です。

開封数

メールに画像が表示されると、(透明のピクセルに基づいて) メールの開封が記録されます。すべての開封数はあらゆる受信者の開封を対象とし (同じ人が数回開封した場合は、全回数をカウント)、一意の開封数は一意の受信者の最初の開封のみを追跡します。

統計値と計算式

考慮事項

改善方法

一意の開封率 (一意の開封数 ÷ 配信されたメール数) × 100

  • メール開封数はパフォーマンスを監視する優れた方法であるが、受信者が画像をダウンロードしない場合は開封が検出されない。
  • 件名行とプリヘッダーをテストして、開封率を向上させます。

クリック数

受信者がメール内の URL をクリックすると、メールのクリック数が記録されます。開封数と同様、すべてのクリック数か、一意のクリック数のみを測定できます。

統計値と計算式

考慮事項

改善方法

一意のクリック率

(一意のクリック数 ÷ 配信されたメール数) × 100

  • 一意のクリック数のほうが、オーディエンスの全般的なエンゲージメントを的確に評価できる。
  • 情報提供を目的とするキャンペーンでは、この統計値が低くなることがある。
  • メール内のコンテンツと行動喚起をテストして、クリック数を増大させます。

クリックスルー率 (CTR)

(クリックされたメールの総数 ÷ 配信されたメール数) × 100

  • メール内に特定の CTA がある場合の追跡に役立つ。
  • 関連性の高いメッセージであることを確認し、エンゲージメントを促す明確な行動喚起を設定します。

クリック開封率 (CTOR)

(一意のクリック数 ÷ 一意の開封数) × 100

  • メールを開封してメッセージを確認した受信者のエンゲージメントを追跡するため、メールの有効性を最も的確に測定する統計値の 1 つである。
  • CTA が明確であることを確認します。(「今すぐ購入」「詳細はこちら」など)。
  • オファーの追加をテストします。

リストサイズ

メールプログラムの成功度を測定するもう 1 つの優れた方法が、リストの増加率を追跡することです。

統計値と計算式

考慮事項

改善方法

リストの増加率

{(新規購読者数 - 購読取り消し数) ÷ 送信するメールアドレスの総数} × 100

  • 購読取り消し数を差し引く必要がある。
  • 継続的なプロセスのため、一定数の購読取り消しが予想される。
  • 購読者を獲得する新しい方法 (Web-to-リードなど) を試します。
  • オファーやインセンティブを利用して既存の購読者にエンゲージします。

バウンス数、購読取り消し数、苦情数

望ましいアクティビティを追跡するメトリクスを見てきましたが、望ましくないアクティビティを追跡することも同様に重要です。バウンスとは対象とするアドレスに到達不能のメールで、永続的 (ハードバウンス) または一時的 (ソフト/ブロックバウンス) として示されます。購読取り消しは、メールの購読取り消しリンクをクリックしたユーザーです。最後の苦情は、ISP が特定したスパムの苦情数です。 

統計値と計算式

考慮事項

改善方法

バウンス率

(不達メール数 ÷ 送信されたメール数) × 100

  • ハードバウンス率は、インターネットサービスプロバイダー (ISP) が送信者の評判の判断材料にする重要な要素の 1 つである。
  • ハードバウンスはリストの健全性が不良で、無効なメールアドレスに送信されていることを示す。
  • リストから無効なメールアドレスを取り除き、データの健全性ポリシーを確認します。

購読取り消し率 (購読を取り消したユーザー数 ÷ 配信されたメール数) × 100

  • 2% 未満であれば、購読取り消し率が健全とされる。
  • この割合が増大している場合は、送信頻度またはメッセージのコンテンツを評価します。

苦情報告率

(苦情報告数 ÷ 配信されたメール数) × 100

  • 苦情報告率は 0.1% 未満にする必要がある。
  • この割合が高い場合は、コンテンツと取得プロセスを調べ、ユーザーが何にサインアップしているか理解していることを確認します。

パフォーマンスを追跡する

どの KPI を記載するか Yasmin が理解したところで、次はその KPI を Marketing Cloud Engagement 内で追跡する手段を見ていきます。 

ツール

説明

推奨の用途

ジョブ ID トラッキング

Email Studio で、メール送信のリアルタイムパフォーマンスを示すジョブレベルの情報を追跡します。

送信直後にメールが到達したかどうかを確認できる優れた手段です。

レポートカタログ

チャネル別に使用可能なすべての標準レポートを検索します。

週次のアカウント送信サマリーをスケジュールして、メトリクスを確認します。

トラッキング抽出

Automation Studio のトラッキング抽出は、クリック数、バウンス数、アンケートデータなど、メール送信ジョブに関連するデータをエクスポートします。

スパム苦情データ抽出は、メールを受信してスパムと報告したユーザーを追跡して調査する場合に役立ちます。

Journey Builder の分析

ジャーニーキャンバス内から、実行中のジャーニーのすべてのアクティビティに対するエンゲージメント追跡メトリクスを確認できます。

実行中のジャーニーのエンゲージメントデータに注意を払い、ジャーニーの新バージョンを作成して、パフォーマンスが不良の領域をテストします。

メモ

Google アナリティクスや他のデータツール (Marketing Cloud Intelligence など) の使用法についての詳細は、「マーケティングの影響を測定する」トレイルを参照してください。

ベースラインの重要性

これで、何をどのように測定すべきかを理解することができました。次は、KPI からどのようなことがわかるのかをきちんと理解するために、ベースラインを確立する必要があります。ベースラインは、成功度を判定し、改善点を見極めるうえで目安となるものです。エンゲージメント統計値を一貫した方法で経時的に追跡した場合には、ベースラインと比較して、計画の進展に役立つ貴重な情報を得ることができます。

メモ

業界標準のベースラインが存在し、多数のマーケターが eマーケターによるメールマーケティングのパフォーマンスのベンチマークを参考にしています。

投資収益率 (ROI)

投資収益率 (ROI) は、キャンペーンにとって極めて重要な費用対効果を測定します。つまり、キャンペーンにどのくらいのコストがかかり、どのくらいの収益を上げたかを表します。ROI は計算が厄介と感じるかもしれませんが、マーケティングによって企業にもたらされた価値を明確にする際に有力な判断材料となるものです。では、詳しく見ていきましょう。

ROI の計算方法

  1. キャンペーンに起因する売上の価値を算定します (業界によって異なりますが、たとえば新規取引先数、新規支援者数、あるいは達成しようとしていることの価値などです)。
  2. キャンペーンコスト (プラットフォーム、スーパーメッセージ、人件費、費やした時間など) を減算します。
  3. キャンペーンコストで除算します。
  4. 100 を乗算します。

Cloud Kicks が新しい商品メールジャーニーを実施した結果、12,000 ドルの新規売上があったとします。プラットフォーム費用、スーパーメッセージ、リソースの時間などに伴うキャンペーンコストは 3,250 ドルと見積もられています。Cloud Kicks はこのキャンペーンの ROI を次のとおり計算します。

($12,000 - $3,250) ÷ $3,250 = 2.69 (つまり ROI は 269%)。

実際のところ、メールマーケティングは、あらゆるマーケティング活動の中でも ROI が最も高い活動の 1 つに挙げられています。詳しい情報を知りたい方は、デジタルエクスペリエンス収益率 (ROX) の測定方法を参照してください。

メモ

Salesforce でキャンペーンに関連付けられている売上を追跡する方法についての詳細は、「キャンペーンの基本」モジュールを参照してください。

Yasmin は簡単な計算を行って、Cloud Kicks の ROI とメールメトリクスをプレゼンテーションに追記しました。さらに、チームから質問を受けることが予想されるため、デジタル界との比較における Cloud Kicks のキャンペーンの詳細を把握しておきたいと考えています。次の単元では、デジタル成熟度評価を使用した比較について見ていきます。  

リソース

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