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デジタルバンキングのトレンドを理解する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 「顧客の時代」が銀行にどう影響を与えるかを説明する。
  • 銀行が顧客ロイヤルティを獲得するためにできることを説明する。
  • 自行のデジタルトランスフォーメーションを開始または促進する。

Salesforce は 18 年間、あらゆる規模の銀行のパートナーとして活動しています。その中で、顧客が銀行に何を期待しているのかについて、いくつかのことを学びました。ここでは、銀行がどのように進化すれば今日の顧客ニーズを満たすことができるのか、Salesforce の考えを共有します。

まず、今日の銀行業界に影響を与えている主要なトレンドのいくつか確認しましょう。

「顧客の時代」の到来

新世代の消費者が出現しています。こうした消費者は、必要なときに必要な場所で商品やサービスが提供されることを期待しています。comScore の 2016 US Mobile App Report (2016 年米国モバイルアプリケーションレポート) によると、現代の消費者は 1 か月あたり平均 74 時間をモバイルアプリケーションに割いています。また、そのほとんどの時間を、Google や Facebook など洗練されたユーザーエクスペリエンスを提供する企業のわずか数個のサービスを使用して過ごします。

「顧客の時代」と Salesforce の銀行向けサービス (統合デジタルバンキング、アクション可能な分析、スマートサービス、コネクテッドバンキングプロセス、ニーズベースの営業、オムニチャネルサービス、ネクストベストアクション、バンキングコミュニティ) を示すグラフィック

この新しい環境では、銀行はもう互いに競争するだけではありません。競争相手は、業種を問わず、顧客にシームレスなエクスペリエンスを提供する企業です。調査会社 Scratch による Millennial Disruption Index (ミレニアル破壊指標) 調査では、ミレニアルズ (1981 年~ 2000 年に生まれた世代) の 73% は、自分が利用している銀行よりも Google、Amazon、Apple、PayPal、Square が提供する金融サービスの新しい提案に期待しています。利便性がロイヤルティの新しい条件になり、銀行は顧客が期待するレベルのスピード、インテリジェンス、シームレス性を提供する必要があります。

銀行はロイヤルティの危機に直面

顧客の期待が進化するのと同時に、従来の銀行はロイヤルティの危機に直面しています。その原因の 1 つが、競合する金融テクノロジー (fintech) 企業 (新しいテクノロジーを使用して金融サービスの顧客エンゲージメントを拡張する企業) の登場です。こうした企業は、支払、融資、投資管理、バンキングサービスに新しいシームレスな環境を提供しています。また、従来の銀行が維持している物理的な支店の大規模ネットワークを顧客がほとんど必要としなくなったことも一因です。

Salesforce の 2017 Connected Banking Customer Report (2017 年コネクテッドバンキング顧客レポート) では、消費者の 46% が、日常的な銀行取引 (預入、送金、請求支払) の主要な手段はモバイルアプリケーションまたは Web サイトであると回答しています。今日のコンシューマーバンキング環境において、支店ネットワークの重要性は低下し、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することがますます重要になっています。このため、fintech が消費者の金融取引において果たす役割が大きくなり、銀行の従来の立場をおびやかすような方法で金融サービスを「分離」するようになったのです。

fintech (芽を出し始めた複数の小さな木) がどのように登場して従来の銀行 (1 本の大きな木) をおびやかす存在になるかを示す画像

したがって、Bain & Company のレポートで、1/3 の消費者が金融商品をメインバンクの競合先から購入していると回答したことも意外ではありません。こうした顧客は基本的によその銀行に魅力を感じているのです。ただし、顧客を責めることはできません。Salesforce の調査では、消費者の 49% は銀行が自分たちのニーズを理解しようとしていないと回答しています。

顧客中心の営業プラクティスへの移行

顧客ニーズの理解が重要性を増す原動力となっているのは、競争の激化と顧客の期待の変化だけではありません。規制による圧力もあります。

クロスセルは禁句になり、どの銀行も営業プラクティスを構築し直して顧客のニーズを前面に押し出しています。銀行は、営業において、取引指向や商品指向の観点ではなく、顧客の金融サービスニーズのきっかけとなるライフイベントや財務目標を重視するリレーション管理アプローチを採用することに取り組んでいます。

これには、銀行がどのように営業担当にインセンティブを提供し、顧客の同意を認めるかも関わってきます。銀行は、顧客あたりの特定商品販売数 (たとえば、クレジットカード、保険、ローンなど) で営業担当に報奨を与えるのではなく、メトリクスに基づいたより全体的な評価システムへと移行しています。こうしたメトリクスには、口座利用状況、顧客満足度、顧客維持率などがあります。このシステムによって、銀行は、いついかなるときも顧客のニーズを考慮し、適切なタイミングで適切な商品を顧客に提案するようになります。さらに銀行は、複数の事業部門にわたる複数の商品やサービスを利用する顧客からの同意を文書化するプロセスも見直しています。

デジタルトランスフォーメーションへの移行

銀行業界のトレンドに適応するのは難題に思えるかもしれませんが、心配は要りません。銀行のデジタルトランスフォーメーションを開始または促進するためにできることの 1 つは、戦略の概要をまとめることです。

まず、デジタルトランスフォーメーションについて全体的に検討を始めます。一部の特定顧客向けの、または特定チャネルを通じたパーソナライズされたエクスペリエンスを提供するだけではもう十分ではありません。金融機関は、リテール、消費者金融、ローン、保険、プレミアバンキング、さらには商業貸付も含め、複数事業部門にまたがって顧客の一元的なビューを実現する必要があります。

同様に重要なのは、デジタルバンキングとは個々のチャネルの範囲を超えたカスタマーエクスペリエンスについて考えることだと理解することです。バンキングコメンテーターである Chris Skinner 氏の言葉を言い換えれば、私たちはチャネルではなく顧客について話し合う必要があるのです。

どこから始めべきか優先順位を付けるためには、銀行の顧客や従業員と話すとよいでしょう。彼らの習慣を調査できます。また、デジタルトランスフォーメーションイニシアチブを容易に拡大できるようにテクノロジープロバイダーと提携する機会を見つけるとよいでしょう。そこで Salesforce の出番です。次の単元では、テクノロジーの主要な進化がどのように銀行のデジタルトランスフォーメーションの火付け役となるか、Salesforce がどのように役立つかについて説明します。

リソース

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