デモデータセットの作成
学習の目的
- データでアプリケーションのストーリーを伝える。
- アプリケーションにデモデータセットを加えるメリットを挙げる。
アプリケーションはそれだけで成り立つ存在ではありません。データのないアプリケーションは空っぽで使いづらく理解するのが困難です。
ここでは「CumulusCI を使用したコミュニティプロジェクト開発」モジュールからストーリーを引き継ぎ、コラボレーティブなコミュニティチームが数千もの食料安全保障団体にメリットをもたらす可能性があるオープンソースアプリケーションを開発していきます。新しい Food Bank アプリケーションの主支援者である Tasha は、新しいユーザーやプロジェクトに取り組むチームメンバーが、アプリケーションとその目的を正しく理解するのに必要な情報を得られるようにする必要があります。そのために、スクラッチ組織に現実的なデータを読み込んでアプリケーションのストーリーを伝えやすくし、新しいユーザーに作成中のツールの使用に必要なコンテキストを提供することにしました。
示唆に富むデモデータセットの作成
データはエンドユーザーにだけメリットをもたらすわけではありません。アプリケーションのストーリーに関わる全員が、新機能の最終的な使用者を理解し共感することでメリットを得られます。開発者とシステム管理者はユーザーのモチベーションと使用事例を理解する必要があります。テスターは自分が評価する機能がどう使用されるかを理解する必要があります。
示唆に富んだデータセットを作成してスクラッチ組織に読み込むことで、Tasha と同僚は開発からリリースまでライフサイクル全体を通してアプリケーションのストーリーを伝えることができます。しかもこれは、開発経験はなくても日々顧客と対応することで得たインサイトと見識を提供できるコラボレーターを引き込むチャンスです。 Tasha のアプリケーション開発プロジェクトの同僚である Maddie はコラボレーターのよい例です。自分の団体 Hunger Northeast とそのクライアントについて深い知識を提供しています。デモデータがあれば Maddie はツールのしくみを理解しやすくなり、改善点を提案できます。
デモデータを追加することで具体性が増し、記憶に残るものになります。
開発時のデータの役割
アプリケーション開発時、ストーリーを伝えるデータがあれば、Tasha と同僚は作成する機能のユーザーエクスペリエンスをじっくり検討できます。この機能でいずれ時間を節約するであろう世界中のフードバンクのユーザーとのつながりを考えるようになり、いつもユーザー中心のディスカッションを行うことができます。
テスト時と品質保証時のデータの役割
空のアプリケーションをテストするのは至難の業です! 何もないところから始めるとユーザーや使用事例、ワークフローを思い描くことが難しくなります。アプリケーションをテストしようとするユーザーは、テスト組織に情報を入力してアプリケーションの動作を確認するのに凄く時間がかかると感じるかもしれません。
うまい具合に別の方法があります! ストーリーを伝えるデータをはじめから組織に入力しておくのです。このアプローチでは現実的なワークフローでテスターをガイドし、結果がすぐに明らかになるため、テストの時間を短縮し効果を高めることができます。
データを使用したソリューションのデモ
関連性のあるデータが十分に入力された組織をすぐに作成できれば、Tasha ははるかに容易にアプリケーションを他のフードバンクの従業員に推奨できるようになります。組織の設定やデモで参照するサンプルデータの追加に何時間もかける必要はありません。
作成するすべての組織にデータが自動的に入力され、Tasha がアプリケーションのストーリーをよく理解していて各機能とオブジェクトを現実的なデータで示せば、いつでも説得力のあるユーザー中心のデモを行うことができます。
次のステップ
信頼できるデモデータセットができました。次は、カスタマイズ方法を検討します。
Tasha はスクラッチ組織でアプリケーションのメタデータを難なく作成できるようになっています。ただし、デモデータの追加は同じではありません。CumulusCI コマンドの list_changes
と retrieve_change
はメタデータの変更をするためだけに設計されており、データレコードを取得しません。
しかし CumulusCI にはスクラッチ組織にまたがったデータの取得、保存、読み込みに役立つツールが付属していて、プロジェクトで使用できます。詳しく見る前に、Tasha は CumulusCI がスクラッチ組織を作成する方法のカスタマイズに慣れておく必要があります。これを次の単元で取り上げます。
次の単元に進む前に非営利団体と教育機関のデータ管理のベストプラクティスを復習する場合は、下記の「リソース」セクションを参照してください。