Data Cloud のしくみを学習する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Salesforce Data Cloud の主要な機能を説明する。
- Einstein 1 製品でデータがどのように使用されるかを理解する。
Salesforce Data Cloud とは何か
Data Cloud は、Salesforce Platform のパワーと、ほぼリアルタイムでデータを処理できるインフラストラクチャの拡張性を組み合わせたデータプラットフォームです。さまざまな組織、Marketing Cloud、Web エンゲージメント、各種ウェアハウスやレイクハウスごとに分割されたデータを、Salesforce Data Cloud がそれらをつなぐ懸け橋となって、AI、分析、自動化に活用できるようにします。また、非常に大規模なスケールにも対応できます。Data Cloud は、数兆件のレコード、数ペタバイトのデータを処理でき、顧客あたり毎秒数千件の要求に対応できます。ちなみに 1 ペタバイトは 1,000 テラバイト、1 テラバイトは 1,000 ギガバイトです。自分が最初に使ったコンピューターのハードディスク容量は何ギガバイトあったか覚えていますか?
Data Cloud は、開発者が使いやすい Salesforce Platform の機能を利用し、拡張性の高いインフラストラクチャを追加することで、Salesforce の能力を拡張します。Data Cloud は Customer Data Platform が進化した製品で、もともとはマーケティング担当者向けに設計されましたが、異まではマーケティング以外にも幅広いユースケースに対応しています。
このバッジでは、製品エキスパートの視点から Salesforce Data Cloud について解説します。このモジュールは動画を中心としており、データクラウドの機能を理解していただけるように、ソフトウェアエンジニアリング担当 EVP の Muralidhar Krishnaprasad がお手伝いします。
しくみ
では、Data Cloud のしくみを見ていきましょう。
- すべてのデータソースを一括で、またはストリーミングリアルタイムデータとして接続します。
- 変換機能やデータガバナンス機能でデータを準備します。
- 標準データモデルにデータをハーモナイズします。
- ID 解決ルールセットでデータを統合します。
- インサイトを使用してデータを照会して分析します。
- AI を使用して行動を予測します。
- あらゆるチャネルでデータを分析、拡張し、データに基づいたアクションを実行します。
- オーディエンスをセグメント化して、パーソナライズされたエクスペリエンスを作成します。
- 複数のソースにデータを出力し、ビジネスニーズに応じてデータに基づいたアクションを実行します。
- データを継続的にレビュー、測定、最適化します。
データの接続と取り込み
最初は Data Cloud へのデータの取り込みから開始します。
Data Cloud は、次のようなさまざまな Salesforce や外部のデータソースに接続します。
- Sales Cloud、Service Cloud、Commerce Cloud、および Marketing Cloud Engagement コネクタ
- Amazon S3 および Google Cloud Storage コネクタ
- 取得 API および Salesforce Interaction SDK
- Web およびモバイルコネクタ
- Mulesoft コネクタ
- Snowflake
- その他多数
Data Cloud を利用すれば、ストリーミングでも一括処理でも、あらゆるデータを Salesforce アプリケーションに簡単に取り込むことができます。
データの変換とモデリング
フォーム項目に名前を間違えて記入した経験があれば、データの変換が必要な理由を理解できると思います。Data Cloud では、データを使用する前の準備としてクレンジングおよび変換できます。データは多様であり、商品の注文、Sales Cloud の連絡先、匿名の Web ブラウザーなど、ソースごとに見た目も異なります。Data Cloud なら、これらの異なるソースからのデータを標準データモデルである Customer 360 データモデルにハーモナイズできます。
データの統合、強化、分析
Data Cloud にデータを取り込んだら、顧客データを 1 つのプロファイルに統合したり、インサイトや AI によってデータを強化したり、セグメントを作成したり、Tableau などのツールで分析したりできます。
データの統合
データに含まれる個人の身元を特定するためには、レコードを照合して調整する必要があります。Data Cloud では、すべての個人関連情報 (電話番号や deviceID など) が Customer 360 データモデルの個人 DMO にマッピングされます。データのマッピングが完了すると、ID 解決 (IR) 機能により、一致するレコードを見つける方法を決めるためのルールセットが作成されます。たとえば、メールアドレスと名前が同じであれば、それらの個人レコードをすべて 1 つのプロファイルに統合するといったルールです。Data Cloud では、それぞれの顧客の統合プロファイルで使用する情報を選択して調整できます。
インサイトと AI によるデータの強化
統一され、正規化され、ハーモナイズされた顧客情報のビューでは、計算済みインサイト (CI) でデータを強化できます。一括データまたはストリーミングデータに基づいて、強力なメトリクスと重要業績評価指標 (KPI) を作成します。一括データに基づいた計算済みインサイトであれば、「総顧客価値」や「500 ドルを超える商品」といったメトリクスを作成します。ストリーミングインサイトは、ローリング時間枠に基づいて作成されます。たとえば、あるオンラインストアフロントで過去 30 分間におけるすべての商品のクリックスルー率を特定できます。また、カスタム機械学習 (ML) モデルを Data Cloud に接続することで、データを探索およびトレーニングして、予測とパーソナライズされたインサイトの質を高めることもできます。
データのセグメント化と分析
インサイトによって強力なメトリクスを作成できるだけでなく、データをセグメント化して、さまざまな分析ツールで分析することもできます。Data Cloud には Tableau が統合されているため、すべての標準データモデルオブジェクトとリレーションを Tableau で表示できます。ダイレクトクエリ機能を使用すると、1 クリックの操作でインサイトや他のデータを CRM Analytics で分析できます。
データに基づいた行動
Data Cloud の魅力は、顧客を喜ばせるエクスペリエンスを作成できる能力にあります。Data Cloud は、ユーザーがデータに基づいた行動を実践するための多くの手段を提供します。
マーケティング担当者は、Data Cloud を使用して、Journey Builder のパーソナライズされたマーケティングキャンペーンで使用する視聴者セグメントを作成します。Data Cloud で作成したセグメントは、Facebook (Meta) や Google といった充実した広告パートナーエコシステムでも利用できます。
Data Cloud のデータは、マーケティングだけでなく Sales Cloud、Service Cloud、Commerce Cloud、Marketing Cloud Personalization などでエクスペリエンスを作成するためにも利用できます。Data Cloud のストリーミングイベントは、さまざまな場所や対象でのアクションを推進します。そして、これらのデータアクションは、イベント、ストリーミングインサイト、あるいはデータの変更によってフローをトリガーします。たとえば、自動車販売会社であれば、顧客の車の走行距離が 75,000 マイルを超えた時点でデータアクションによってアラートをトリガーすることで、サービスコールを自動的に発生させることができます。
次の単元では、ユースケースとデモを紹介します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Data Cloud
- Salesforce ヘルプ: Bring Your Own Model
- Trailhead: Data Cloud の取得とモデリング
- Trailhead: Data Cloud の Customer 360 データモデル
- Trailhead: Data Cloud のデータと ID
- Trailhead: Data Cloud インサイト
- Trailhead: セグメンテーションと有効化
- Salesforce ヘルプ: Glossary of Terms for Data Cloud (Data Cloud 用語集)
- Trailhead: Get Started with Data Cloud (Data Cloud の使用開始) (Trailmix)