Agentforce に Data 360 を実装する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Agentforce のデータの準備方法について説明する。
- Data 360 で一元化されたデータや変換されたデータを基盤にエージェントを作成する方法を説明する。
データ要件を理解する
Data 360 を実装する前に、各自のプロジェクトのデータ要件を理解する必要があります。データを準備する手順と検討すべき事項を確認しておくと役立ちます。
データの準備手順 | 検討すべき事項 |
|---|---|
|
|
|
|
|
|
この表はすべてを網羅しているわけではありません。詳細は、「AI + データ: プロジェクト計画を作成する」モジュールの「データを準備する」単元を参照してください。
次のセクションでは、NTO が Agentforce プロジェクトのデータを特定して接続し、処理するところを見ていきます。
エージェントに Data 360 を設定する
NTO は、商品の問題に関する質問に応答するエージェントを構築したいと考えています。そのために、高度な Data 360 RAG を使用してプロンプトをグラウンディングするつもりです。NTO のエンタープライズアーキテクトである Pia が Data 360 を設定し、エージェントを構築するところを見ていきましょう。まず、データの準備をします。Pia は最初に次の手順を実行します。
- 組織で Data 360 を有効にしてプロビジョニングします。
- Data 360 ユーザーを設定します。
- お客様のケースに関するデータを検索して、そのソースを特定します。
NTO は Service Cloud にお客様のケースデータを保存しています。以下は、お客様のケースの数例です。
- ケース 1: スタイル 1068 のパンツが短すぎる
- ケース 2: スタイル 2000 のパンツが長すぎる
- ケース 3: フィットネスウォッチの充電に時間がかかる
- ここで、Service Cloud のケースデータを Data 360 に取り込むデータストリームを作成します。ケースデータはケースデータレイクオブジェクト (DLO) に保存されています。
- Pia は一括処理データ変換を使用して、名前や形式の不一致といったデータの問題を解決します。変換されたデータは、クリーンアップ済みケース DLO に保存されます。
- 次に、クリーンアップ済みケース (DLO) とケースデータモデルオブジェクト (DMO) 間のマッピングを追加します。
- ここで、ケースをお客様の統合プロファイルにリンクするために、ID 解決ルールセットを作成して実行します。
これで Pia が各ケースの詳しいコンテキストを把握できるようになりました。たとえば、パンツが短すぎるというケース 1 が、Rachel Rodriguez から寄せられていたことがわかりました。Rachel の統合プロファイルには、身長 170 cm と記されています。他方、ズボンが長すぎるというケース 2 は、身長 165 cm のお客様から寄せられていました。エージェントが適切かつ効果的な回答をするうえで、こうしたコンテキストが役立ちます。
データの取り込み、変換、一元化が済んだら、Pia は RAG の設定に進みます。
- ケース DMO から検索インデックスを作成し、統合個人 DMO からも検索インデックスを作成します。
この 2 つのインデックスは、エージェントの RAG に活用します。Data 360 で自動的に各インデックスのレトリーバーが作成されます。このレトリーバーは、検索インデックスとプロンプトテンプレート間のブリッジとして機能します。
必要に応じて、Pia がアンサンブルレトリーバーを作成することもできます。詳細は、「Create an Ensemble Retriever (アンサンブルレトリーバーの作成)」を参照してください。
- ここで Pia は、アンサンブルレトリーバー、または個別の両方のレトリーバーをコールするプロンプトテンプレートを作成します。
レトリーバーによって最も関連性の高い情報がプロンプトに入力されます。Pia のプロンプトテンプレートがお客様の質問を分析し、知識ベース (既存のケースデータと統合プロファイル) を使用して回答を組み立てます。
いよいよ、エージェントでプロンプトテンプレートを使用します。Pia は次の手順を実行します。
- Agentforce サービスエージェントテンプレートを基に新しいエージェントを作成します。
- プロンプトビルダー、ケース DMO、統合個人 DMO に対するアクセス権を設定した権限セットを作成します。続いて、この権限セットをエージェントユーザーに割り当てます。
- このプロンプトテンプレートを使用する「Answer Questions with Case (ケースを使用して質問に回答)」というエージェントアクションを作成します。
- エージェントユーザーにトピックを追加します。
- [Answer Questions with Case (ケースを使用して質問に回答)] アクションをトピックに追加します。
- エージェントを有効にしてテストします。
たとえば、Pia がエージェントに「私は足が長く、身長は 170 cm です。私におすすめのパンツのスタイルと、私には適していないスタイルはどれですか?」と質問します。エージェントは、「同じぐらいの身長のお客様から、スタイル 1068 は短すぎるという報告が届いています。また、数人のお客様がスタイル 2000 のほうが長いと報告しています。ですから、スタイル 2000 をお勧めします。スタイル 1068 はお勧めしません」と回答します。
プロンプトのテストと調整をさらに数回繰り返した Pia とチームは、そのパフォーマンスに満足します。NTO はエージェントを導入するために顧客チャネルに追加して、運用を開始します。導入後、チームは継続的に監視して改良していきます。エージェントを使い始めたら、次のベストプラクティスに従います。
- 監査履歴を監視して、エージェントに関するフィードバックを行う。
- 重要なフィードバックを参考にプロンプトを編集する。
- Agentforce Analytics ダッシュボードでパフォーマンスを監視する。
- エージェントのデータソースを最新の状態に保つために、RAG 実装を更新する。
まとめ
このモジュールでは、Data 360 が Agentforce の機能をどのようにサポートするかと、Data 360 を有効にした場合と実装した場合の違いを学習しました。Data 360 を有効にすると、Einstein Trust Layer や、Agentforce データライブラリを使用した RAG など一部の機能を利用できるようになります。ただし、実装に伴う多大なメリットを考えれば、Data 360 を実装することが極めて重要な次のステップになります。
Data 360 を実装すると、エージェントが一元的なデータ基盤を利用できるようになり、その知識が Salesforce 全体および外部に拡大されます。また、Data 360 を基盤に構築された RAG ソリューションは、統合プロファイルからコンテキストを取得し、前処理されたデータや変換されたデータを使用し、多種多様なデータやソースをサポートします。Data 360 が実装されている場合は、エージェントがリアルタイム機能を利用でき、外部のゼロコピーデータへのアクセスが可能になるため、その潜在性がさらに広がります。
NTO がデータを準備して、Agentforce に Data 360 を実装し、統合プロファイルを使用して効果的な応答を示すサービスエージェントを構築するところを見てきました。次は、あなた自身のビジネスでも Agentforce に Data 360 を実装してみてください。
リソース
- Salesforce ヘルプ: 検索インデックスの管理
- Salesforce ヘルプ: 一括処理データ変換
- Salesforce ヘルプ: Create an Agent from an Agentforce Service Agent Template (Agentforce サービスエージェントテンプレートからのエージェントの作成)
- Salesforce ヘルプ: Best Practices for Agent User Permissions (エージェントユーザー権限のベストプラクティス)
- Salesforce ヘルプ: Deploy Your Agent to Channels (チャネルへのエージェントのリリース)
- Trailhead: Data 360: データを基にアクションを実行する