課題を調査し、目標に優先順位を付ける
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- カスタマーエクスペリエンスの改善領域に優先順位を付ける。
- お客様の課題を明らかにできるスペシャリストに協力を求める。
- タスクの自動化やシステムのインテグレーションによって、お客様やお客様に対応する従業員のエクスペリエンスを向上させる方法を説明する。
Trailcast
このモジュールの音声録音をお聞きになりたい場合は、下記のプレーヤーを使用してください。この録音を聞き終わったら、必ず各単元に戻り、リソースを確認して関連付けられている評価を完了してください。
カスタマージャーニーを使用してデータアーキテクチャを進展させる
前の単元で、Northern Trail Outfitters (NTO) のテクニカルアーキテクトである Pia Larson はカスタマージャーニーをマッピングする意義を認識しました。特に、NTO ブランドとのカスタマーエクスペリエンスの包括的なストーリーを把握できることを学びました。
Pia は主な関係者の協力を得て、特定のお客様のエクスペリエンスをマッピングすることで、NTO のすべてのお客様が直面する可能性のある障害について改めて認識することができました。Pia はこうした障害を念頭にデータ戦略を進展させることができます。ここで、ジャーニーのどの部分、つまりどの障害に最初に対処すべきか検討します。
ジャーニーの出発点から始める必要はない
カスタマージャーニーを使用してデータアーキテクチャを計画する場合の大きなメリットの 1 つは、好きなところから始められることです。Pia とその関係者が作成したジャーニーをもう一度見てみましょう。
アーキテクチャ戦略を再考する場合、カスタマージャーニーの出発点から始めなくてもよいことを Pia は認識しています。そのため、Pia と Felix、Ruthanne、E.J. は改善領域を評価して優先順位を付けることができます。
よく話し合った結果、コールセンターを優先することにしました。NTO のコールセンターに関するお客様のフィードバックや満足度はジャーニーの他のタッチポイントより低く、通話時間が業界基準を上回っています。Pia らはコールセンターの効率性を改善すれば、NTO とそのお客様に大きなメリットがもたらされるのではないかと考えます。
調査を活用する
プロジェクトのターゲットを定めた Pia と関係者は調査を行いますが、これは IT の実装上のニーズに関する調査ではありません。お客様中心という観点から、まずコールセンターにおける現行のエクスペリエンスを評価することにします。次の目的で、サービスエージェントを対象とする観察や面談を実施します。
- ケースの解決プロセスを理解する。
- タスクの遂行における非効率性を特定する。
- データやインフラストラクチャの欠落を記録する。
Pia とその関係者はサービスエージェントの協力を得て、ごく一般的なサービスシナリオと解決プロセスを理解します。エージェントから、困難な電話とはどのようなものか、そして通話中にデータを見つけたり、テクノロジーに対処したりする際にどのような苦労があるかも聞き取ります。
チームはこの調査時に、エージェントが特に顧客情報や注文情報を検索するときに、反復的な作業を行っていることに気が付きました。エージェントは、ケース管理システムと E コマースシステムを切り替えながら、お客様のレコードを探し、お客様の質問に答えるために必要なデータにアクセスし、お客様の問題を解決しています。
コールセンターの実態を観察した後で、Pia とそのチームはデータについてさらに調査します。IT 部門と協力して、サービスシステムのデータと顧客プロファイルの監査を実施します。
Pia の調査から課題が明らかになり、こうした問題が相まって平均通話時間が長くなり、サービスキューの待ち時間に直接的な影響を及ぼしていることが判明しました。Carla が長い間待たされた理由がわかりました。
次のような課題を解決すればすぐに大きな効果が得られるため、まずはこの課題に取り組むことにします。
- レコードの重複
- 各アプリケーションのコンテキストの切り替え
- NTO の E コマースシステムとサービスセンターシステム間のデータの質のばらつき
Pia の調査やサービスエージェントのフィードバックから、NTO のビジネス上、そしてカスタマーサービス上の問題の全体像が浮かび上がってきました。Pia はこうした具体的な情報に基づいて、NTO のアーキテクチャの点からこうした問題を解決する正しい方向に進んでいることを確信します。これで Pia は、NTO のデータを評価し、サービスエージェントの反復的なタスクのいくつかを自動化して、通話の待機時間を短縮することができます。
プロジェクトを完遂させる
これまで見てきたとおり、組織がまずカスタマーエクスペリエンスに目を向ければ、IT プロジェクトに包括的に取り組むことができます。カスタマージャーニーを作成あるいは使用して、IT ソリューションを要する問題を特定し、そうした問題に優先順位を付けることができます。
調査を実施すれば、チームが問題の内容の背後にある理由を理解できます。たとえば、次のような理由です。
- 通話時間が長いのはなぜか?
- データの質の欠如が、お客様や従業員にどのような影響を及ぼしているか?
こうした質問に対する答えを把握すれば、プロジェクトにどのようにアプローチするかを戦略的に判断することができます。
計画時にお客様中心のアプローチをとることは、データアーキテクチャの改善領域を見極める優れた方法です。この方法では、お客様にとっての大きなメリットを優先することになります。また、会社とお客様の関係の向上につながらない取り組みに労力を浪費する可能性も低下します。
リソース