統合プロファイルについて知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 統合プロファイルのメリットを説明する。
- 個人データモデルオブジェクトの種別を挙げる。
- 統合プロファイルとゴールデンレコードの違いを説明する。
Data Cloud
Data Cloud は、複数のシステムにまたがる顧客データを統合プロファイルにハーモナイズします。このモジュールでは、Data Cloud を最大限活用できるようにするデータ統合の重要な概念をご紹介します。具体的には、統合プロファイル、データモデリング、Customer 360 データモデル、ID 解決データマッピング要件について説明します。準備はよいですか?
データと ID
まず、データと ID の概要に関する動画をご覧ください。
統合プロファイル
Data Cloud の統合プロファイルは、ユーザーが設定したルールセット内の ID 解決ルールに基づいて、複数のソースからのデータを 1 つのプロファイルに結び付けます。ID 解決ルールは、データ間のリレーションを見つけて統合個人を作成する方法を Data Cloud に指示します。では、複数のプロファイルが 1 つの統合プロファイルにどのように結び付けられるのかを示す例を見てみましょう。
Rachel Rodriguez はアウトドア用品と衣料の小売企業である Northern Trail Outfitters (NTO) のお客様 (そして熱烈なファン) です。NTO では、Commerce Cloud と Marketing Cloud Engagement の顧客プロファイル、Service Cloud のカスタマーサポートのケース履歴など、複数のシステムに Rachel のデータを保持しています。ただし、各システムに存在する情報は異なっています (異なるメールアドレスなど)。このような一意のデータを連絡先 (電話番号、メールアドレス、住所) と呼びます。
Rachel のようなお客様はさまざまなシステムで複数の取引先責任者レコードとシステム固有のプロファイルによって表されます。これは、各クラウドや製品が独立して動作するために必要なことです。マーケティング担当者やサービス担当にとって、Rachel にマーケティングキャンペーンを送信するため、あるいはサポート履歴の単一ビューを見つけるために、各データを結び付けることが容易でないことがあります。
ここで役立つのが Data Cloud のデータマッピングと ID 解決です。まず、データを標準化された一連のオブジェクトと項目にマッピングします。次に、一致ルールと調整ルールを設定した ID 解決ルールセットを作成します。最後に、Data Cloud がこうしたルールに基づいてデータ間のリレーションを見つけ出します。同じデータが複数の場所に存在する場合は、プロファイルが結び付けられます。
ID 解決ルールを設定すると、NTO の Rachel Rodriguez に関するビューに、複数のソースから取り込んだデータをまとめた統合プロファイルが示されます。
統合プロファイルの情報は、プロファイルエクスプローラーで確認できます。新しいプロファイルと一致したり、既存のプロファイルが更新されたりすると、Rachel の統合プロファイルも更新されるため、保持しているデータに Rachel が極めて正確に反映されることになります。
個人データモデルオブジェクト (DMO) の種別
データモデルオブジェクト (DMO) は、Customer 360 データモデルのデータのグルーピングで、モノやアクションのインスタンスを説明します。どの DMO にも、その DMO を説明する標準化されたデータである属性が設定されています。
個人 DMO には次の 3 種類があります。それぞれソースプロファイルと統合プロファイルから異なるデータが取り込まれます。では、Rachel の例の各フェーズの DMO を見てみましょう。
最初に、Rachel のプロファイルが Data Cloud に取り込まれ、個人 DMO にマッピングされます。(データマッピングについては次の単元で詳述します。)
DMO |
説明 |
ソースデータの属性 |
統合個人の属性 |
---|---|---|---|
個人 DMO |
Data Cloud に取り込まれたソースデータが含まれます。たとえば、Data Cloud の Rachel のコマースプロファイルは、個人 DMO のインスタンスです。データがどのデータストリームから取り込まれたかはっきり認識できます。統合プロファイルに関する知識はありません。 |
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なし |
ID 解決が実行されます。一致ルールに基づいて Rachel のコマースプロファイルが統合プロファイルに結び付けられ、調整ルールに基づいて個々の属性が統合属性と組み合わせられます。
DMO |
説明 |
ソースデータの属性 |
統合個人の属性 |
---|---|---|---|
統合リンク個人 DMO |
ソースデータと統合個人との結合点です。データはソースデータへの上向きと、統合個人への下向きのどちらの方向にもトラバースできます。 |
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統合個人 DMO |
結び付けられたすべての個人の調整後のデータが含まれます。これは包括的なビューではなく、Rachel のプロファイルにあるサンプル値を一目で把握するための簡易表示です。 ソースプロファイルのデータは保持されないため、データ系統を追跡することはできません。 |
なし |
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統合個人自体は統合プロファイルではありません。統合プロファイルは、統合リンク個人 DMO と統合個人 DMO の両方で構成されます。統合プロファイルがあれば、ソースデータと調整後のデータの両方にアクセスできます。
統合プロファイルを更新する
統合プロファイルは変更可能です。つまり、変更を重ねるごとにプロファイルの正確性が向上します。ソースデータの変更、新しいデータソースの処理、ID 解決ルールの変更に伴って統合プロファイルが更新されます。統合プロファイルのプロファイルを追加または削除することも可能です。
たとえば、Rachel には Sales Cloud プロファイルがありますが、統合プロファイルに含まれていません。営業担当が名前のスペルを間違えたためです。
Rachel のセールスプロファイル
- 名: Rochelle
- 姓: Rodriguez
- メール: rrodriguez@example.com
以下は有効な一致ルールです。
- 名: あいまい一致
- 姓: 完全一致
- メールアドレス: 完全一致
Rachel の名はあいまい一致の条件を満たしていないため、プロファイルの ID 解決の処理時に、Rachel のセールスプロファイルはほかのプロファイルと一致しません。現在、Data Cloud に Rachel の 2 通りの統合プロファイルがありますが、これは望ましいことではありません。
Rachel は「Rochelle」という宛名のセールスメールが届くことにうんざりしていたため、営業担当に連絡して名前を訂正してもらいます。ID 解決が再度実行され、セールスプロファイルが統合プロファイルに結び付けられました。これで、すべてのデータが 1 つの統合プロファイルにまとめられます。
統合プロファイルとゴールデンレコードの比較
マスターデータ管理 (MDM) は、ほかのソースからのデータを一元的なハブにまとめる一般的なデータ管理スタイルです。MDM 計画の目標は概して、各お客様の「最適」な統合レコード、いわゆるゴールデンレコードを作成することです。一見すると、Data Cloud の統合プロファイルはゴールデンレコードと同じように思えるかもしれません。では、この 2 つの類似点と相違点を見てみましょう。
統合プロファイル |
両方 |
ゴールデンレコード |
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統合プロファイルはキーホルダーのようなものと考えることができます。その理由を見ていきましょう。
キーホルダーの役割を果たす統合プロファイル
キーホルダーには、自宅の鍵や車の鍵など、さまざまな鍵がつながっています。キーホルダーがすべての鍵を同じ鍵にしたり、「最適」な鍵を選んだりすることはなく、鍵を 1 つのオブジェクトにまとめて取り出しやすくします。鍵を自分のキーホルダーから簡単に取り外して、別の人のキーホルダーに移すこともできます。
統合プロファイルも同様に、Salesforce 全体の鍵、あるいは ID をつなげるキーホルダーのようなものです。つながった ID はどれも一意です。統合プロファイルがあれば、Salesforce 全体のデータにアクセスできます。
時として、1 つのシステムから統合プロファイルに複数の ID が取り込まれることがあります。たとえば、上記のキーホルダーにも、Marketing Engagement からの複数の登録者 ID がつながれています。Marketing Engagement では連絡先ごとに登録者の詳細を追跡しますが、そのデータモデルでは各連絡先に複数のメールアドレスや電話番号をサポートしていません。お客様が複数の連絡先を使ってやり取りすれば、複数の登録者 ID が存在することになります。Data Cloud ではこうした登録者 ID が 1 つの統合プロファイルに結び付けられるため、各登録者 ID のコンテキストデータにアクセスできるようになります。
次の単元では、統合プロファイルを作成する方法を学習します。