お客様との関係を構築する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 調査で知り得た内容をお客様に伝える。
- お客様の課題を整理する。
関係を築く
お客様がどのような課題に直面しているかがわかったところで、次はあなたが知り得た内容を共有します。
顧客起点のディスカバリーのステップ 3 である「お客様との関係を構築する」では、お客様とのミーティングの準備をし、お客様に関するインサイトを再確認して明確にし、ホワイトボードに書き出しながら内容を整理して視覚化します。
関係構築の準備
お客様に会う日取りを決める前に、これまでに知り得た内容を見直します。
- 「お客様を知る」ステップで知り得た、お客様、そのビジネスや業界に関する詳細に立ち戻ります。
- 「お客様になる」ステップで収集したインサイトを見直し、ビジネスやその顧客に関して学んだことを検討します。
- その過程で気付いた課題に対するソリューション案のリストを作成します。
ミーティングの日取りを決めるためにお客様に連絡するときに、インサイトの概要も伝えます。あなたが調査を実施済みで、何らかの興味深い情報があることを先方に知らせるためです。
思慮に富んだ方法でインサイトを伝えて関係を構築する
お客様に会ったら、次の点を念頭にインサイトを伝えます。
- 誠実である。相手のビジネスであなたが体験したことを真摯かつ楽観的な方法で伝えます。肯定的な点や改善の余地のある点を説明します。
- 共感を示す台詞でインサイトを補足する。「これまでにも見たことがありますが...」や、「担当している他のお客様は、同じ問題に ... で対処していました」などと述べます。こうした発言からあなたに経験があることがわかります。
- 自由回答形式の質問をして、お客様の考えを聞き出す。お客様のモバイルアプリケーションのユーザーエクスペリエンスに何らかの課題を見つけた場合は、「モバイル開発の現在の計画はどのようなものですか? その戦略がどのくらい機能していると思いますか?」と質問します。
- 注意すべき点を伝えるときは、お客様が以前に述べた言葉を引用する。お客様が改善点に関心を抱いている場合は特に、本人が述べた言葉を繰り返すことで説得力が増すことがあります。
上記を実践すれば、お客様の自覚を促すことができます。あなたがお客様の発言に注意を払っていることや、お客様のビジネス上のニーズを重視していること、また、お客様のビジネスの詳細を知るために時間を割いてきたことがお客様に伝わります。
的確な質問をして細部を結び付ける
ミーティングでインサイトを再確認したら、現在の課題がビジネス上の現実な問題であることをお客様に示します。そうした課題を、3 つのレベルの問題 (3L) と呼ばれるものに整理します。
- レベル 1: 戦術的または技術的な問題 (システムエラー、お客様の電話を受け損ねることなど)。
- レベル 2: ビジネス全般への影響 (業界標準への対応の遅れなど)。
- レベル 3: お客様の顧客や従業員など個人への影響 (顧客離れが多い、離職率が高いなど)。
続いて、お客様に次の点を質問して各課題を分析します。
- Who - この問題の最大の影響を受けるのは誰か?
- What - この問題からどのような結果がもたらされるか?
- Where - この問題はどこで生じるか?
- When - この問題はいつ生じるか?
- Why - この問題はなぜ生じるのか?
- How - どのような状況でこの問題が引き起こされるのか?
このプロセスによって、ソリューションが明確になることや、新たな課題が見つかることも少なくありません。
ホワイトボードですべてを結び付ける
お客様のビジネス上の課題を検証したら、知り得た内容を記録します。
- 自身のアイデアをホワイトボードに書き出す。
- ブレインストーミングをしてできるだけ多くのアイデアを付箋に書き、それをあちこちに移動します。
- 図を描く。
- アイデアを重要度別に整理する。
お客様も誘い込み、各人のアイデアを追加したり、図を描いたり、付箋を動かしてもらいます。ホワイトボードに書き出すことで、課題が現実の問題であることを再確認し、ビジネスに関するお客様の考えや懸念を明確にすることができます。
ホワイトボードに書き出すだけでなく、ブレインストーミングの仕方も工夫するとよいでしょう。
- ブレインストーミングやマインドマッピングのツールを使用する (お客様と直接会わずに話し合う場合に特に役立ちます)。
- ロールプレー — 課題が現実味を帯びてきます。
ミーティングで何を行うにしろ、必ず要点を記録しておきます。ホワイトボードの写真を撮るか、スクリーンショットを保存します。