絞り込まれたセグメントを作成する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 絞り込みオプションを特定する。
- コンテナパスシナリオを評価する。
コンテナ、演算子、ロジック
データに精通するのと同時に、コンテナ、演算子、絞り込みロジックについても精通する必要があります。こういった要素は Data Cloud 内でのセグメントのビルディングブロックです。最初の単元でも触れましたが、ここでさらに詳しく見ていきましょう。前に使用した黄色のスカーフの例を覚えていますか? この検索条件を構成するコンポーネントを詳しく見てみましょう。
- 集計
- 演算子
- 値
- ロジック
集計
まず集計から始めましょう。新しいコンテナ属性の場合、演算子、値と共に、件数、合計、平均、最大、または最小に基づくオブジェクトの集計を選択する必要があります。これによって検索条件の基本が作成され、求めている結果 (特定の件数または計算に基づくものなど) の基準が設定されます。
種別 |
説明 |
例 |
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件数 |
条件が満たされた回数に基づいてセグメント化されます。 |
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合計 |
すべてのデータ値での選択された属性の合計に基づいてセグメント化されます。 |
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平均 |
すべてのデータ値での選択された属性の平均に基づいてセグメント化されます。 |
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最大 |
特定の属性の選択された最大値に基づいてセグメント化されます。 |
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最小 |
特定の属性の選択された最小値に基づいてセグメント化されます。 |
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演算子
次に演算子を選択する必要があります。検索条件内の演算子は、文の中の動詞のようなものです。演算子によって、入力された値に検索条件がどのように関係するかを指定します。Data Cloud では、演算子は日付、数値、テキスト、Boolean の 4 つの形式で検索条件に適用されます。演算子オプションを確認しましょう。
種別 |
オプション |
ユースケース |
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日付 |
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誕生日にプロファイルに送信する一括メールを設定するには、次の項目を使用します。 Attribute (属性): Birthdate (誕生日) Operator (演算子): Is Anniversary Of (次のアニバーサリーの日付) Value (値): Today’s Date (今日の日付) |
数値 |
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合計購入金額などの属性を使用してセグメントを作成します。このセグメントは、購入金額が $100 を超えるお客様に特別なメールオファーを送信するために使用できます。 Attribute (属性): Grand Total Amount (総計金額) Operator (演算子): Is Greater Than (次の値より大きい) Value (値): 100 |
テキスト |
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特定の都道府県に住むお客様にメールを送信します。 Attribute (属性): State (都道府県) Operator (演算子): Is In (次の値と一致する) (カンマ区切り値が許容される) Value (値): IN, Indiana |
Boolean (ブール) |
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アプリケーション内購入を行ったエンゲージメントの高い顧客を対象としたキャンペーンを作成します。 Attribute (属性): In-app purchases (アプリケーション内購入) Operator (演算子): Is True (True) |
値
値とは単に、検索条件で検索したいものです。便利なことに、値では大文字と小文字は区別されません。そのため、件名行テキストに「TENT SALES」、「tent SALES」、あるいは「TeNt SaLes」などと入力しても結果は同じになります。
ロジック
最後に、絞り込みロジックの AND と OR について復習しておきましょう。どちらを使用するか判断するには、自分が「いずれか」と「すべて」のどちらを求めているかを考えます。
いずれかの条件が true であればよい = OR
私はサンドイッチにはピーナッツバターとジャムのいずれか、または両方を入れたい。
すべての条件が true である必要がある = AND
私はサンドイッチにはピーナッツバターとジャムを入れたい。
コンテナパス
基本事項について理解できたところで、データソースに複数のオプションがある場合にどうなるかを説明します。たとえば、メールアドレス属性は多くの異なるデータセットにリンクされていることがあります。コンテナにセグメンテーション対象セグメント (セグメント対象) への複数のアクセスパスがある場合には、コンテナパスを選択する必要があります。1 つのコンテナパスを選択することで、Data Cloud はセグメントの作成方法を決定できます。
Northern Trail Outfitters (NTO) がコンテナパスを選択する必要があるシナリオを見てみましょう。NTO では 2 つの異なるデータストリームに商品購入に関するデータがあります。1 つは小売購入のデータストリームです。もう 1 つは Service Cloud からのケースデータです。商品ベースの属性をセグメントに追加するときには、マーケターがマーケティングキャンペーンの目標に基づいてセグメントにどちらのデータソースを使用するかを選択することが重要です。
お客様から商品についての苦情がありケースが作成されたために NTO がそのお客様にメールを送信したい場合は、マーケターは Service Cloud データから作成されたパスを使用する必要があります。マーケターが特定の商品を購入したお客様にメールを送信したい場合は、小売購入に関連付けられた属性を選択します。
コンテナパス内のオブジェクトリレーションでは、大文字と小文字が区別されます。Data Cloud では、大文字と小文字を区別してデータテーブルを結合する、設定不可能な方法を 1 つサポートしています。リンクされたレコードの値は完全に一致する必要があります。たとえば、SalesOrder.SoldToCustomer の値が c12d3 で、Individual.IndividualId の値が C12D3 の場合、レコードはリンクされません。c12d3 と C12D3 の 2 つの値が大文字と小文字で一致しないためです。
セグメントパフォーマンスを確保するためのベストプラクティス
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ビジネスケースに基づいて適切な [Segment On (セグメント対象)] 対象オブジェクトを選択する: さらに絞り込むことで、この対象オブジェクトのメンバーが明確になり、対象オーディエンスが形成されます。データがさまざまなソースから取得されている場合は、パフォーマンスが向上し、より正確な結果が得られる統合個人 DMO を使用します。
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適切な DMO 種別を使用する: 対象データセットに基づいて、[Profile (プロファイル)]、[Engagement (エンゲージメント)]、または [Other (その他)] を使用します。
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最短パスを選択し、循環パスは使用しない: 可能な場合は、2 つの DMO 間の最短パスを選択します。パスが長いほど、結合パスも長くなり、セグメンテーションエンジンの作業が増えます。循環パスでは、ある DMO から結合関係に沿って進み、最終的に同じ DMO に到達することになります。基本的には、a→b→c→a、または a→b→c→b となります。循環パスでは処理時間が長くなり、クエリが失敗する可能性があります。
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処理するデータ量を制限する: セグメンテーションエンジンで処理する必要があるデータ量を減らすと、セグメントの全体的なパフォーマンスが向上します。データスペースを使用して、セグメントで明示的な検索条件を定義します。
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可能な場合はコンテナをマージする: コンテナパスが同じである 2 つのコンテナが「Or」ロジックで結合されている場合、その 2 つのコンテナをマージします。また、関連属性を使用する際もコンテナをマージします。
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ネストされた演算子を使用する: 複雑なセグメンテーション要件に 1 つのコンテナで対処し、セグメントパフォーマンスを向上させます。
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ネストされたセグメントを使用する: セグメントメンバーシップモードでセグメントをネストすると、ネストされたセグメントの検索条件をセグメンテーションエンジンで再実行する必要がないため、セグメントパフォーマンスが向上します。
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複雑な操作に計算済みインサイトやデータ変換を使用する: 計算済みインサイトとデータ変換は、セグメンテーション計算の負担を減らすのに役立つ強力なツールです。
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歪んだエンゲージメントデータの使用を避ける: データが歪んでいると、1 つのパーティションに多くのデータが含まれる可能性があり、操作時間の増加につながります。
検索条件の例
絞り込みロジックを使用して多くのことを実行できますが、求めている結果を正確に得るには試行錯誤が必要になる場合もあります。始めるにあたって例を確認しておくと役立ちます。Northern Trail Outfitters (NTO) が Data Cloud で 3 つのセグメントを作成する方法を見ていきましょう。
検索条件例 1: NTO は「Tent Sales (テントセール)」という件名行のメールを 6 通以上開封したお客様にオファーを送信したいと考えています。
- コンテナ: メールエンゲージメント | 件数 | 以上 | 6
- エンゲージメントチャネルアクション | 次の値と等しい | 開封
- AND
- 件名行テキスト | 次の文字列を含む | Tent Sales (テントセール)
検索条件例 2: NTO はサンフランシスコまたはニューヨーク市在住で 8 月に購入金額が多かった (1 回の購入で $1,000 を超える) お客様にメールを送信したいと考えています。
- コンテナ: デバイスアプリケーションエンゲージメント | 件数 | 以上 | 1
- 市区郡名 | 次の値と一致する | New York, NYC, San Francisco, San Fran
- AND
- コンテナ: 販売注文 | 件数 | 以上 | 1
- 購入注文日 | 次の範囲内にある | 2020 年 8 月 1 日 ~ 2020 年 8 月 31 日
- AND
- 総計金額 | 次の値より大きい | 1000
検索条件例 3: NTO は自社のハイキングコンテストに関する最近の SMS キャンペーンにどの SMS 購読者がオプトインしたかを知りたいと考えています。
- コンテナ: SMS エンゲージメント | 件数 | 以上 | 1
- エンゲージメントチャネルアクション | 次の値と等しい | オプトイン
- AND
- エンゲージメント日時 | 最後の日数 | 30
- AND
- キーワードテキスト | 次の値と等しい | HikingContest
これで、Data Cloud でセグメントを作成、公開、有効化する方法について理解でき、マーケティングキャンペーンに着手する準備が整いました。最初が肝心です。まず有効化対象を設定することを忘れないでください。次に、コンテナと絞り込みのベストプラクティスに従って、顧客を理解、ターゲティング、分析するためにデータを分割するセグメントを作成します。最後に、有効化対象に対してセグメントを公開して有効化すれば完了です。この勢いのまま、「クイックスタート: Data Cloud セグメントを作成する」を完了してください。
リソース
- Salesforce ヘルプ: セグメンテーション
- Salesforce ヘルプ: Data Cloud でのセグメントの作成
- Salesforce ヘルプ: セグメント対象
- Salesforce ヘルプ: Segmentation Operators in Data Cloud (Data Cloud のセグメンテーション演算子)
- Salesforce ヘルプ: セグメントの編集
- Salesforce ヘルプ: セグメントキャンバスインターフェース
- Salesforce ヘルプ: セグメンテーション検索条件の例