カスタマイズ可能な Actionable Relationship Center をはじめる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- リテールバンキングを定義する。
- リテールバンカーが直面する課題について説明する。
- Actionable Relationship Center について説明する。
- リテールバンカーがクライアントとの関係を築くのに ARC がどのように役立つかを説明する。
始める前に
現在、Salesforce は 2 つのバージョンの Actionable Relationship Center (ARC) を提供しており、両者は互いに独立しています。古いバージョンは参照専用で、最新の ARC ソリューションはカスタマイズ可能です。このモジュールでは最新のカスタマイズ可能なバージョンの ARC について説明します。参照専用バージョンについての詳細は「Actionable Relationship Center in Financial Services Cloud (Financial Services Cloud の Actionable Relationship Center)」を参照してください。
リテールバンキングとリレーション
銀行業界の誰にとっても、成功するにはクライアントと強力な関係を築くことが重要です。クライアントは銀行が自分のお金を適切に管理してくれると知る必要があるため、信頼が鍵となります。一方、銀行員はクライアントの質問に答え、情報に基づいて金融に関する推奨を行うために適切なクライアントデータにアクセスする必要があります。
リテールバンキングは銀行業種の 1 つの区分で、金融サービスを大企業ではなく個人に直接提供するものです。リテールバンカーは、消費者が金融資産 (クレジットカード、金融口座、ローン、投資、小規模ビジネスなど) を管理する最適な方法を見つけることでパーソナライズされた金融戦略を作成するのをサポートします。
クライアント固有のバンキング要件を特定できるかどうかは、リテールバンカーとクライアントの間の強力な関係にかかっています。リテールバンカーは、クライアントのニーズと希望、現在の資金計画、資産の成長ビジョンなど、クライアントの全体像を求めています。このようなインサイトがあってこそ、銀行員はクライアントの適切な資金計画を作成できます。
Cumulus チームの紹介
ペンシルバニア州ピッツバーグに本社を置く Cumulus Cloud Corporation は、全国で多様な金融サービスを提供する大手企業です。「Financial Services Cloud で顧客ロイヤルティを促進」トレイルでバッジを獲得している場合は、この会社の重要なチームメンバーを覚えているのではないでしょうか。
Nora Clark は Cumulus のリテールバンカーです。彼女はクライアントの投資運用ゴールを理解するために尽力しています。Nora は日常業務として、クライアントベースを構築し、関係を強化し、クライアントポートフォリオを最新に保っています。
Matt O'Brien は Cumulus の Salesforce システム管理者として 3 年間の経歴があります。彼は銀行員がお客様に集中できるように、Salesforce 組織を円滑に稼働させます。彼は常にユーザーの業務を合理化する方法を求めています。
Nora は Buttercream Bakery という新しいクライアントを担当しています。Buttercream Bakery はケーキやペストリーを販売する家族経営会社です。Mark Smyth と Sarah Smyth がこの会社を所有、経営しており、最初のロケーションは 2005 年に開業しました。その後、Buttercream は 2 つ目のロケーションを追加し、スタッフが 20 人を超えるまでに成長しました。
Nora はこのベーカリーについて多くの情報を集めることができましたが、その情報を選り分け、関連付けて全体像を作り上げるのは大変な作業です。
Nora は Buttercream Bakery の戦略的資金計画を作成する前に、重要な情報をいくつか知る必要があります。所有している支店とその連絡窓口、進行中の商談、将来の債務借り換えや主な財務目標の有無などです。
テクノロジーと関係構築に関する課題
他の業種と同じように、リテールバンキングにも課題があります。Nora は長時間働き、予定されているミーティングの前に多くの時間を費やしてクライアントについて調査します。Salesforce でレコード間を移動するには時間がかかります。たとえば、Buttercream Bakery には 2 つのロケーションがあります。ただし、各ロケーションでの取引先責任者、金融口座、商談を詳しく見るには、複数のブラウザータブを開く必要があります。
異なるウィンドウ間でデータを比較するには時間がかかります。Nora はすべてのデータを同時に見てクライアントの全体像を把握することができません。
Mark と Sarah とのミーティングは来週です。これまでに彼らのビジネスについてわかったことは次のとおりです。
- 最近 3 つ目のロケーションを追加した。
- 新しい 2 人の従業員を採用した。
- 新しいロケーションに合わせて製菓機器をアップグレードしようとしている。
クライアントのビジネスとリレーションに関するデータは関係構築のために重要です。Nora は 1 つの統一されたビューでクライアントデータを見ることができる視覚表現があればいいのにと思います。そうすれば会話を始める段階になったときにも、すぐに対応できます。Matt はこの問題を解決する方法を知っています。それがリテールバンカー ARC グラフです。
ARC を利用して成功する
Actionable Relationship Center (ARC) を使用すれば、リテールバンカーはクライアントデータの整理されたビューを得ることができます。次の図は ARC リレーショングラフビルダーです。ここで、標準およびカスタム Salesforce オブジェクトを使用して ARC グラフノードをカスタマイズすることで、関連するクライアントリレーションデータをユーザーに表示します。
[Display (表示)] タブで、各ノードでユーザーに表示される項目を定義します。[Actions (アクション)] タブでは、オブジェクトとレコードのアクションをカスタマイズできます。ユーザーはこれに対応し、レコードを操作できます。ページレイアウトに ARC リレーショングラフコンポーネントを追加すると、ユーザーはクライアントとやり取りしながら簡単にレコードを参照、編集、削除、作成できます。
ARC を使用することで、ユーザーはより効率的に時間を使うことができます。複数の画面を行き来してクライアントリレーションデータをつなぎあわせるのではなく、重要な情報を 1 つのビューで参照できます。
次の図は ARC グラフの例です。各カードは Salesforce レコードを表しています。
オブジェクトに複数のリレーショングラフを作成し、そのグラフをページレイアウトに追加できます。ユーザーには各自の Salesforce プロファイルに基づいてグラフが表示されます。
ARC を使用すれば、Nora は Buttercream Bakery の支店、従業員、金融口座などの複数のリレーショングラフを簡単に表示できます。このようなインサイトを得たことで、彼女はオーナーの Mark と Sarah のための新しい資金計画を作成する準備ができました。明日の朝一番に、その作業に取り組みます。