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優れた質問をするという技能を追求する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 洞察力のある質問をすることで、意思決定プロセスや問題解決がどのように促進されるか説明する。
  • さまざまな質問方法を使用して、適切な情報やインサイトを引き出す。

データドリブンの意思決定の要は優れた質問をするスキルで、大きな違いをもたらします。効果的な質問を組み立てる能力は、単なる技能ではなく、データと AI 分析から得るインサイトの品質や綿密度に多大な影響を及ぼすサイエンスです。この単元では、効果的な質問をして、情報を見い出し、新たな視点を明らかにして、AI を使用した意思決定の倫理的な複雑性に対処する方法を検証します。

「問題を解決するのに 1 時間あったなら、問題の検討に 55 分を費やし、残りの 5 分で解決策について考える。」— アルバート・アインシュタイン

効果的な質問の威力

効果的な質問は、クリティカルシンキングの要です。質問は、問題、課題、機会を深く掘り下げる最も貴重なツールです。データドリブンの意思決定を行う状況では、効果的な質問が極めて重要になります。質問することで表面的な情報だけでなく、データセットに潜む貴重な真相に近づくことができます。

効果的な質問には、最新のインサイトを引き出し、思い込みに挑み、画期的な思考を刺激する威力があります。質問が促進剤の役目を果たし、複雑な問題をさまざまな角度から検討して、最終的に十分な情報に基づく判断を下せるようになります。

効果的な質問の重要な役割の 1 つが、すぐにはわからない情報を浮き上がらせることです。データ分析において、この点は特に重要です。適切な質問をすれば、データの相関関係、トレンド、パターンを明らかにして、戦略的な意思決定に導くことができます。

効果的な質問の種類

すべての質問が同じように構成されるわけではありません。効果的な質問には数種類あり、それらを使い分けてクリティカルシンキングやデータ分析のスキルを高めることができます。

たとえば、よく考えたうえで詳細な回答を促す自由形式の質問、通常は簡単な一語で回答できる選択回答形式の質問、明確な説明や追加の詳細を求める絞り込み形式の質問、回答者の視点にさりげなく影響を及ぼす誘導形式の質問などがあります。

下表に、各種の質問の長所や短所と、それぞれを使用する状況がまとめられています。

性質

説明

自由回答形式の質問

よく考えたうえで詳しく説明するよう促し、回答者が各自の見解を自分の言葉で述べることができます。概念を裏付ける詳細な説明が必要な場合に使用します。

選択回答形式の質問

通常は特定の数値か、「はい」/「いいえ」、「青」、「ロンドン大火」のような語句で回答できます。定量化が可能な特定のデータを収集する場合に役立ちます。多肢選択式のテストやアンケートで、特に回答をコンピューター処理する場合に多用されます。

絞り込み形式の質問

明確な説明や追加の詳細を求める質問で、トピックや問題を深く掘り下げる場合に役立ちます。通常は、トピックに対する大まかな見解を確認したうえで使用します。

誘導形式の質問

回答者の視点にさりげなく影響を及ぼす質問で、多くの場合は特定の回答や見解に導こうとします。

質問をどのように組み立てるかも同様に大切です。深い考察を促し、包括的な回答を引き出して、最終的に深層のインサイトが得られるような質問を考案するようにします。一見ありきたりな質問でも、効果的な構成にすれば、奥底に潜む情報を引き出す強力なツールになります。

データや AI 分析の質問を組み立てる

データや AI 分析を活用する場合、質問の技能が具体的かつ戦略的な役割を果たします。こうしたコンテキストでは、データの収集と分析の目標につながる質問を考案することが極めて重要です。つまり、調査やビジネスの目的を常に念頭に置いておくということです。質問と望ましい成果の間に明確なつながりがなければ、データ分析の目的が失われ、成果が得られなくなります。

データドリブンの現代社会では、データや AI 分析の質問を組み立てるスキルが極めて重要になっています。一例として、e コマースの分野では、データと AI が意思決定、特に顧客のオンラインショッピングの最適化で極めて重要な役割を果たします。

たとえば、あなたが有名な e コマースプラットフォームを担当するデータ分析チームの一員であるとします。会社は顧客エンゲージメントや売上を伸ばすために、商品のおすすめシステムを改善したいと考えています。現行のシステムは協調フィルタリングに頼っていますが、AI とデータ分析の機能を活用して、パーソナライズをレベルアップする方法を模索しています。

具体的には、顧客に気の利いたおすすめを提示するために、AI とデータ分析を活用して、顧客一人ひとりの好みや購買習慣に合わせて高度にカスタマイズされた商品を提案することを目指しています。カスタマイズされた提案を実現するためには、アナリストが特定の商品のニーズに関する適切な質問をし、メッセージに合わせてこうした質問を組み立てる必要があります。このような方法で強化されたおすすめシステムでは、顧客エンゲージメントが高まるだけでなく、顧客が本当に気に入った商品を見つけることができるため、売上の大幅増加も期待できます。

AI を使用した倫理的な意思決定

AI テクノロジーの普及に伴い、倫理面の影響への慎重な配慮という、意思決定の新たな側面の重要性が高まっています。ここで、意思決定プロセスに AI を採用する際に度々生じる複雑な倫理的ジレンマに、倫理的な質問で対処するにはどうすれば良いか見てみましょう。

倫理的な質問の手法を使って、選択や行動の道義的な側面を探ることができます。こうした質問をすることで、さまざまな判断の倫理的な帰結を総合的に検討できるため、道義的に責任のある意思決定を行えるようになります。倫理的に適切な質問をすれば、潜在的な危害を軽減し、プライバシーを保護し、公正と正義の原則を堅持することができます。

たとえば、ある病院が AI を導入して、稀にしか見られない複雑な健康問題を医師が診断できるようにするとします。この AI は、患者レコード、画像、臨床研究をはじめとする膨大な医療データを使って学習します。開発者は、AI システムが学習するデータに関する倫理的な質問のほか、公平でバイアスのない判断であることを保証するにはどうすれば良いか、ヘルスケアにおける現行の倫理規範や価値観と適合させるにはどうすれば良いかといった点を検討する必要があります。

このシナリオの病院では、AI が医師にその論拠を示すことで、医師が推奨事項を理解し、信頼できるようにしたいと考えています。その一方で、AI が意思決定をサポートする便利なツールではあるものの、医療従事者の知識や判断の代わりになるものではないことを認識します。

データドリブンの意思決定が促進される社会では、AI システムが選択に影響を及ぼし、選択を自動化することになるため、倫理的な質問が意図しない帰結や倫理違反の防止策になります。つまり、倫理的な質問をすることは、AI の決定が個人、社会、環境に及ぼす潜在的な影響を評価するための体系的な手段になります。

この単元では、優れた質問をする技能と、データドリブンの意思決定や AI の倫理的な使用において質問がいかに重要かを検討しました。次は、意思決定のフレームワーク、データドリブンの手法、AI モデルを見ていきます。

リソース

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