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意思決定のフレームワークと AI モデルの詳細を知る

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 意思決定モデルを 3 つ挙げる。
  • データドリブンの決定フレームワークを実際の状況に適用する方法を説明する。
  • 3 つの基本的な AI モデルとその用途について説明する。
  • バイアスを認識し、データと AI モデルの公平性を確保する。

ここでは、意思決定モデル、データドリブンのフレームワーク、AI モデルに着目し、そのすべてにおいてバイアスと公平性に対処することが極めて重要な責務であることを見ていきます。

意思決定モデル

意思決定のモデルや理論にはさまざまなものが存在します。こうしたフレームワークは、組織や個人が経験的証拠をはじめとする多くの情報に基づいて、客観的かつ効果的な決定を行えるようにすることを目的としています。

以下に、この代表的なモデルをご紹介します。

合理的意思決定モデル: このモデルでは、個人があらゆる選択肢を比較検討し、最も有用性が高いものを選択するという方法で、論理的かつ一貫性のある決定を行うことを前提としています。このモデルの基盤となるのは合理性で、最適な選択肢を模索します。

限定合理性モデル: このモデルでは、現実の状況において、意思決定者が往々にして限られた情報と認知的制約の中で行動することを認識しています。そのため、最適な選択肢を求めるのではなく、「十分」と思える判断を下します。

直感的意思決定: このモデルでは、自分の勘や経験を頼りにします。咄嗟の判断が求められる場合や、十分な情報がない場合に度々使用されます。

データドリブンの決定フレームワーク

データドリブンの決定フレームワークでは、データを主たる決定要因とする構造的なアプローチを採用します。以下は、この業界の 2 つの主要な決定フレームワークです。

ツール

説明

ディシジョンツリー

決定の選択肢、結果、確率を図示して評価しやすくします。

ピューマトリックス

この決定マトリックスでは、条件を定量化してその影響を評価するという方法で、複数の選択肢を比較できます。

ディシジョンツリー

ディシジョンツリーは、一連の基準に沿って選択または決定していく体系的なアプローチです。さまざまな選択肢とその潜在的な結果を構造的に評価する手段で、一連の最適な行動を選択する場合に役立ちます。ディシジョンツリーはノードとブランチで構成され、ノードは決定や選択肢を表し、ブランチは潜在的な結果や帰結を表します。

たとえば、ディシジョンツリーを使うと、天候に応じてスポーツの試合を実施するかどうか (はい/いいえ) を決定しやすくなります。晴れている場合は、続いて湿度をチェックします。湿度が高ければ「いいえ」になり、試合を行いません。湿度が低ければ「はい」になり、試合を行います。曇りの場合は「はい」になり、試合を行うといった具合に、条件に応じて判断していきます。

このフレームワークは一般に、ビジネス、金融、ヘルスケア、機械学習などの分野で、意思決定プロセスをモデル化し、データとロジックに基づいて選択を最適化するために使用されています。

スポーツの試合を実施するかどうかを決定するディシジョンツリーの例

ピューマトリックス

ピューマトリックス (ピューメソッド、決定マトリックスともいう) は、一連の基準に基づいて複数の選択肢またはオプションを比較検討するために使用する意思決定ツールです。さまざまなオプションを定量化してランク付けするという方法で、情報に基づく決定を行う体系的なアプローチです。この方法は、Stuart Pugh というイギリスのエンジニア兼デザイン理論家によって考案されました。

ピューマトリックスを使用すると、複数の要素とその相対的な重要性を構造的に検討するという方法で、合理的な判断を下すことができます。以下のピューマトリックスの例では、ベースラインを 0 とし、選択肢をベースラインより良いか (+)、悪いか (-)、同等か (0) という基準で示しています。比較した値を合計してランク付けし、最適な解決策を判断します。この方法は、エンジニアリング、商品デザイン、経営管理などの分野で有益なツールです。

ピューマトリックスの例

上記のデータドリブンの決定フレームワークを使用すれば、証拠に基づく客観的な選択が可能になります。

ロジスティクスやサプライチェーン管理の分野では、データドリブンの決定フレームワークを適用して、商品の移動を最適化できます。企業は、在庫量、需要予測、輸送コスト、リードタイムに関するデータを使用して、コスト効率が最大となる配送ルート、保管場所、再注文点を判断できます。このため、コストを最小限に抑え、在庫切れを減らし、顧客に商品を効率的に届けることができます。

AI モデルの概要

次は、AI モデルを見ていきます。すでに学習したとおり、人工知能と機械学習 (AI/ML) は意思決定プロセスをサポートする強力なツールです。

AI モデルの種別

AI モデルは、教師あり学習、教師なし学習、強化学習の 3 種類に大別されます。

教師あり機械学習モデルは、ラベル付けされたデータセットを使用してトレーニングされ、モデルが継続的に学習して正確度を高めていきます。たとえば、人間がラベル付けした犬の写真とその他の写真を使ってアルゴリズムをトレーニングすると、マシンが独自に犬の写真を識別する方法を学習します。教師あり機械学習は、現在ごく一般的に使用されている種別です。

教師なし機械学習では、プログラムがラベル付けされていないデータからパターンを見い出します。教師なし機械学習の場合は、人々が明示的に探していないパターンやトレンドを見つけることができます。たとえば、教師なし機械学習プログラムがオンライン売上データを調べて、購入する顧客の種類を特定することができます。

強化機械学習では、報酬システムを確立して、マシンが試行錯誤を重ねて最適な行動を取れるようにトレーニングします。強化学習では、マシンが正しい判断をしたときにその決定を肯定し、経時的にマシンが取るべき行動を学習できるようにします。この方法で、ゲームをしたり、自律走行車両を運転したりするようにモデルをトレーニングできます。

生成 AI モデルはニューラルネットワークを使用して、既存のデータに存在するパターンと構造を識別し、新しいオリジナルコンテンツを生成します。生成 AI のブレークスルーの 1 つは、トレーニングで教師なし学習や半教師あり学習など、さまざまな学習アプローチを活用できることです。生成 AI は、上記の 3 つの方法を併用します。

ユースケースのタブをクリックすると、各業界が意思決定プロセスでこうした AI モデルをどのように使用しているかが表示されます。(記載のユースケースについては、次の単元で詳しく説明します。)

AI におけるバイアスと公平性

さまざまな分野で意思決定プロセスに人工知能が統合され、効率性と正確性の点でかつてない進歩がもたらされています。AI が私たちの生活に不可欠なものになるにつれ、AI システムのバイアスと公平性の問題に対処する必要性が生じています。公平性を確保し、倫理ガイドラインを遵守することの重要性については、どれだけ強調してもしすぎることはありません。AI システムが責任をもって開発され使用されなければ、バイアス、差別、倫理的なジレンマが持ち上がる可能性があります。

データと AI モデルのバイアスを認識し、公平性を確保する

バイアスとは、差別的な結果につながる可能性がある体系的かつ不公平な区別や選好が存在することです。バイアスに対処して緩和する第一歩は、バイアスを認識することです。バイアスが特定されれば、開発者、データサイエンティスト、ビジネスユーザーが是正措置を講じることができます。各タブをクリックすると、組織がデータと AI モデルのバイアスを認識し、公平性を推進するために取るべき行動が表示されます。

この単元では、各種の意思決定モデル、データドリブンのフレームワーク、AI モデルに着目し、バイアスを軽減して公平性を推進する倫理的な責務について検討しました。次の単元では、さまざまなシナリオにおける AI の実際の用途を見ていきます。

リソース

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