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住所の管理

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 取引先、取引先責任者、住所の各オブジェクトの住所項目がどのように連携するのか説明する。
  • Nonprofit Success Pack (NPSP) の住所設定が住所管理動作にどのように影響するのか解説する。
  • 住所管理の主な課題を要約する。

「誰が」だけではなく「どこで」も

Nonprofit Success Pack (NPSP) には堅牢な住所管理機能が標準装備されており、ユーザーは世帯の複数の住所 (季節限定住所など) を追跡し、その正確性をチェックできます。

これが可能である理由の 1 つは、NPSP では住所が世帯取引先レコードの 1 項目ではなく、固有のオブジェクトに保存されているためです。住所レコードを使用して、いくつかの住所を同じ取引先レコードに関連付けることができます。

NPSP の住所管理機能でサポートされる内容は次のとおりです。

  • 世帯取引先の複数の住所 (季節限定住所など)
  • 世帯の住所が変更されたとき、または到達不可能とマークされたときの世帯の全取引先責任者レコードの住所の自動更新
  • 世帯の個々の取引先責任者の住所の上書き (その取引先責任者が世帯とは異なる住所で郵便物を受け取りたい場合)
  • 住所が正確かどうかをすぐに確認できる住所検証サービスのサポート

住所管理機能は強力ながら、複雑になる場合もあります。詳細を見てみましょう。 

NPSP の住所管理設定

まず、住所管理の動作に影響を及ぼす [住所の一般設定] から見ていきましょう。この設定にアクセスするには、[NPSP 設定][人][住所] の順にクリックします。


[住所の一般設定] ページ

[世帯取引先住所の無効化] (1) では、世帯取引先の住所管理を切り替えます。世帯取引先ではデフォルトで住所管理機能が有効になっており、複数の住所を追跡し、世帯のすべての取引先責任者の住所を世帯の最新住所と同期できます。

[団体取引先住所の有効化] (2) では、団体取引先の住所管理を切り替えます。団体取引先の場合、住所管理はデフォルトでは無効になっていますが、この設定をオンにすることで複数住所やその他の機能を有効にできます。

[1 つの住所の変更を更新として処理] (3) はデフォルトでオンになっています。この場合、小さな変更を行うと既存の住所レコードが更新されます。この設定がオフになっている場合は、住所へのすべての変更は新しい住所として扱われます。すべての変更が対象となるため、住所内の余分の空白を 1 つ削除するだけでも、新しいレコードが作成されます。これは、すべての変更を厳密に追跡する場合や、住所検証サービスの監査を行う場合には便利です。その場合は、必ず重複に対処するデータ管理戦略を設定してください。

取引先責任者レコードの住所項目

ここで、個々の取引先責任者の住所項目を見てみましょう。 

メモ

Salesforce には NPSP 外の標準住所項目もあるため、レイアウトはここで説明するものと若干異なることがあります。ページレイアウトからその他の住所項目を削除することをお勧めします。そのような項目は NPSP 住所機能では使用できず、ユーザーを混乱させる可能性があるためです。 

取引先責任者の詳細ページ

[連絡先] (1) 選択リストには、[住所(郵送先)] 項目の住所の種別が記録されます。この例では自宅住所ですが、職場やその他の住所もデフォルトでサポートされています。

[住所の上書き] (2) をオンにして、この取引先責任者の [住所(郵送先)] に世帯住所がコピーされないようにします。取引先責任者が世帯住所以外の住所で郵便物を受け取りたい場合は、これを使用します。

住所が間違っている、支援者の情報に不備がある、郵便サービス業者が記録された住所に配達できないなどの理由で住所を無効としてマークする場合は、[Undeliverable Mailing Address (到達不可能な郵送先住所)] (3) をオンにします。

[世帯の郵送先住所] (4) は、世帯の住所の値を保持する数式項目です。通常は、[住所の上書き] が選択されている場合を除き、取引先責任者の [住所(郵送先)] と同じです。

世帯取引先レコードの住所管理

住所管理によって、世帯取引先の住所がその世帯のすべての取引先責任者と同期されます。さらに、世帯住所を変更すると、新しい住所レコードが作成されます。季節によって滞在先が変わる場合は、そのたびに住所レコードを切り替えることができ、こうしたレコードから支援者が過去にどこに住んでいたかを追跡できます。

一般的なシナリオをいくつか見ながら、さまざまな住所項目がどのように連携し、いつどの住所を使用するかが NPSP でどのように追跡されるか確認しましょう。

新しい取引先責任者レコードの作成

このモジュールの前の方で、Roberto Alvarez の新しい取引先責任者レコードを作成したのを覚えていますか? 彼は既存の世帯取引先に含まれていなかったため、取引先責任者の詳細を入力し、取引先名を空白のままにすることで、新しい取引先責任者と世帯取引先を作成しました。その後、自動的に次のことが行われます。

  1. NPSP によって取引先責任者の世帯取引先が作成されます。
  2. 住所管理によって取引先責任者の [住所(郵送先)] が世帯取引先の [住所(請求先)] 項目にコピーされます。
  3. 住所管理によって住所レコードが作成され、世帯取引先に関連付けられます。
  4. 新しい取引先責任者の [連絡先] が、住所レコードの [住所の種類] 項目にコピーされます。[連絡先] を空白のままにした場合は、デフォルトの「自宅」に設定されます。
  5. 新しい住所レコードが自動的に [デフォルト住所] として設定されます。

このようにして、NPSP では取引先責任者、世帯取引先、住所レコードの住所が同期され、すべてのデータで矛盾が生じないようになっています。 

既存の世帯に新しい取引先責任者を追加する

架空の非営利団体 No More Homelessness (NMH) の開発担当者である Sofia Rivera が Roberto Alvarez の息子の Samuel を Alvarez 世帯取引先に追加するときには、住所を入力する必要はありません。世帯の全員の住所は同じであることが多いため、住所管理によって自動的に新しい取引先責任者の [住所(郵送先)] が世帯取引先の [住所(請求先)] と同じになるように設定されます。


[住所(請求先)] と [住所(郵送先)] が対応している取引先の詳細

世帯住所の更新

家族が転居したときは、世帯住所だけでなく、その世帯の各取引先責任者の郵送先住所も更新する必要があります。住所管理によって自動的にこの処理が行われ、世帯取引先と関係する各取引先責任者の住所を新しい住所と同期させます。Sofia は最も効率的に処理するために、必ず最初に世帯取引先の住所を更新したうえで、NMH の取引先責任者データを最新の状態にしています。

 
個々の取引先責任者レコードの世帯取引先住所

同様に、Sofia が家族の取引先責任者、世帯取引先、住所レコードで [Undeliverable Mailing Address (到達不可能な郵送先住所)] を選択すると、その住所は関連するすべてのレコードでも配達不可能としてマークされます。

ただし、取引先責任者の [住所の上書き] がオンになっている場合、新しい住所または配達不可能としてマークされた住所のいずれに対しても、その取引先責任者の郵送先住所は世帯住所と同期されません。

団体取引先の住所管理

団体取引先では住所管理の動作が異なっていて、さらにデフォルトでは無効になっています。団体取引先で住所管理を有効にするには、[NPSP 設定] > [人] > [住所][団体取引先住所の有効化] 項目をオンにします。

団体取引先の住所管理機能では、取引先住所が更新されたときに新しい住所レコードが作成され、[住所] 関連リストに住所変更履歴が表示されます。

団体取引先で住所検証サービスを使用する場合にも、住所管理を有効にする必要があります。このサービスについて次に説明します。

住所の検証

NPSP では、3 つの住所検証 API (Cicero API、Google Geocoding API、SmartyStreets API) のいずれか、あるいは独自の API を使用して、Salesforce に入力中の住所を検証できます。 

馴染みのない方のために説明すると、API (アプリケーションプログラミングインターフェース) とは 2 つのアプリケーションがデータを共有できるようにするツールです。この場合は、検証サービスと Salesforce の間で住所データを共有します。

3 種類の住所検証 API は、複雑性やコストの点で検討事項が異なります。どれを使用するか決める前に、それぞれについて調査してください。

住所検証を使用するように NPSP を設定すると、NPSP で自動的に次のことが行われます。

  • 住所を追加しようとするときに、その住所が存在しないか確認される。
  • 住所が標準化される (保存済みレコードの「Street」が「St」に変換されるなど)。

前述したように、団体取引先で住所検証サービスを使用するには、住所管理を有効にする必要があります。また、住所検証は、住所検証の設定後に作成されたレコードのみに機能します。すでに Salesforce に入力されていた取引先責任者情報には検証が適用されません。

メモ

メモ
さらに強力な住所検証が必要な場合は、Insights Platform Data Integrity について参照してください。これは別個の Salesforce.org 製品で、レコードの複製排除、住所の標準化、住所の自動更新の有効化などを提供します。詳細は、「リソース」のリンクを参照してください。

NMH の意欲的なシステム管理者である Gorav Patel は、NMH の組織に入力されたデータをクリーンで完全なものにするために住所検証を設定したいと考えています。住所検証サービスの多くは別途のコストがかかりますが、Gorav はユーザーの採用や全般的な効率性が高まることから、投資する価値はあると事務局長に掛け合います。 

では、Gorav が NMH 組織に住所検証を設定するところを一緒に見ていきましょう。 

  1. [NPSP 設定] タブをクリックしてから、[人][住所] の順にクリックします。
  2. [編集] をクリックします。

    [NPSP 設定] の [住所設定] ページ
  3. [検証 API のアカウント設定] セクションに記載されている一般的な手順を確認して、[自動検証の有効化] をオンにします。
  4. 使用する住所検証サービスを選択して、適切な情報 ([認証トークン] や他のサービスを選択した場合に表示されるその他の項目など) を入力します。使用可能な個別の検証サービスの具体的なガイダンスについては、直接サービスプロバイダーにお問い合わせください。
  5. 必要に応じて、API が複数の住所を返したときに、あいまいな住所を無効とマークする場合は、[あいまいな住所の拒否] をオンにします。この項目が選択されていない場合は、最初に提案された住所が有効な住所として選択されます。
  6. [保存] をクリックします。

    [検証 API のアカウント設定] メニュー

特定の住所を検証の対象から外したいことがあります。その場合は、住所レコードの [検証済み] チェックボックスをオンにすると、検証からそのレコードが除外されます。

メモ

メモ
SmartyStreets API を使用する場合、[すべての住所を検証] をクリックすることで、団体に既存の住所を一括検証できます。

すべての機能は必要ない場合

住所オブジェクトの住所を追跡することで複雑さが増し、管理すべき (または管理したい) と考える以上に厄介になることがあります。 

郵便物を常に取引先責任者の世帯住所に送信している団体、関係者に季節限定の住所がない団体、または住所検証サービスを使用する予定がない団体は、住所管理を無効にすることも一案です。 

住所追跡のニーズが極めて単純な場合でも、住所管理を有効のままにしておけば、世帯住所が変更されたときに、その世帯のすべての取引先責任者の住所レコードが自動的に同期されるというメリットがあります。

どのように決定した場合でも、団体のベストプラクティスに従い、データをクリーンで完全なものにするために NPSP の住所管理機能を設定することは、ユーザーの採用を推進するうえで極めて重要です。そして、どのテクノロジーの場合も、投資から最大の利益が得られるかどうかの鍵を握るのがユーザーの採用です。

次の単元では、もう 1 つの優れた NPSP 機能、リレーションについて学習します。

リソース

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