金融取引レコードを設定する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 金融取引レコードを作成する。
- 関係者を金融取引レコードに追加する。
- CDS で利益相反の問題がどのように解決されるか説明する。
- 共有アクセス権の詳細を表示する。
- CDS と他の共有機能の違いを説明する。
金融取引レコードを作成する
CDS の設定が済んだところで、次は CDS の実際の動作を見ていきます。Rob は CDS の初心者のため、Matt がその使い方を説明します。では、Matt の助けを借りて、Rob が買収の金融取引レコードを設定し、そのアクセス権を管理するところを一緒に見ていきましょう。
Matt が金融取引レコードを作成する手順は次のとおりです。
- ナビゲーションバーで、[金融取引] タブを選択します。
- [新規] をクリックします。
- 次の詳細を指定して、金融取引レコードを作成します。
- 名前:
NTO-Dorjeling Kitchen Acquisition
(NTO-Dorjeling Kitchen 買収) - [取引先] 項目で、[+ 新規取引先] を選択し、
Northern Trail Outfitters (NTO)
と入力します。 - [金融取引種別] 選択リストで、[合併および買収] を選択します。
- 必要に応じて、他の項目に入力します。
- 名前:
- [保存] をクリックします。
関係者を金融取引レコードに追加する
Matt は続けて、関係者を取引レコードに追加します。Deandra は取引レコードに対するアクセス権を管理したいと考えているため、最初に Deandra を追加します。
前述のとおり、レコードごとに最大 20 人の関係者を設定できます。
- [金融取引] タブをクリックして、[NTO-Dorjeling Kitchen Acquisition (NTO-Dorjeling Kitchen 買収)] レコードを選択します。
- [関連] タブの [金融取引関係者] コンポーネントで、[新規] をクリックします。
- [新規金融取引関係者] ウィンドウに、次の詳細を指定します。
- [関係者] 項目で、[Deandra Olson] を見つけて選択します。
- [関係者ロール] 項目で、[CDS Manager (CDS マネージャー)] を見つけて選択します。
- [有効] を選択します。
- (省略可能) コメントを追加します。
- [保存] をクリックします。
- 次に関係者グループを追加します。もう一度 [新規] をクリックして、次の詳細を指定します。
- [関係者] 項目で、[グループ] を選択し、[Retail Coverage Team (小売業担当チーム)] を見つけて選択します。 をクリックして、チームのメンバーを表示します。
- [関係者ロール] 項目で、[Retail Coverage (小売業担当)] を見つけて選択します。
- [有効] を選択します。
- (省略可能) コメントを追加します。
- [保存] をクリックします。
Matt は同じ手順に従って、Rob とコンプライアンスチームを取引レコードに追加します。
CDS を使用した利益相反の解決
Rob は Charlie を関係者として追加し、Charlie も取引にアクセスできるようにしたいと考えています。Charlie は先日別のチームから異動してきたため、Deandra はアクセス権を承認する前に、Charlie のプロファイルに利益相反の可能性がないか確認したいと思っています。CDS ではこの処理を簡単に設定できます。Matt は Charlie を Rob と同様に金融取引関係者に追加しますが、まだアクセス権を有効にしません。
- [新規金融取引関係者] ウィンドウに、次の情報を指定します。
- [関係者] 項目で、[Charlie Melly] を見つけて選択します。
- [関係者ロール] 項目で、[Analyst (アナリスト)] を見つけて選択します。
- [有効] はオフのままにします。
- (省略可能)
Needs approval from the compliance manager
(コンプライアンスマネージャーの承認が必要) というコメントを追加します。
- [保存] をクリックします。
Charlie のプロファイルに問題がないことを確認した Deandra は Charlie の関係者レコードを編集し、[有効] をオンにしてアクセス権を有効にします。これで Charlie が取引の詳細を表示できます。
共有アクセス権の詳細を表示する
この買収取引には Matt が多数の関係者を追加しましたが、取引が進む中で Rob が関係者をさらに追加するものと思われます。ここで大切な点は、取引にアクセスできる関係者を継続的に追跡することです。共有の詳細ページには、取引レコードにアクセスできるすべての関係者、各自のアクセス権の種類 (参照のみ、参照・更新、フルアクセス)、アクセスの理由がリストされます。
Matt は次の手順に従って、共有の詳細ページにアクセスします。
- プロファイルをクリックして、[Salesforce Classic に切り替え] を選択します。
- [NTO - Dorjeling Kitchen Acquisition (NTO - Dorjeling Kitchen 買収)] レコードを開きます。
- [共有] をクリックします。
Matt にすべての関係者、つまり、この買収取引レコードにアクセスできる個人とグループが表示されます。ご覧のとおり、Rob と Charlie のアクセスレベルには、各人に割り当てられた関係者ロールに Matt が定義したデフォルトのアクセスレベルが設定されています。
CDS と他の共有機能
Salesforce には、取引先チーム、商談チーム、ケースチーム、主従関係など、他にもさまざまな共有機能があります。各自のビジネスで上記のいずれかを使用する場合は、CDS とその機能の互換性を理解しておく必要があります。
CDS は他の共有機能と密接に連携して、その機能のセキュリティを強化します。関係者が複数の共有機能によってレコードにアクセスできる場合は、権限が最大のアクセス権が付与されます。共有の詳細ページに、関係者にレコードへのアクセス権を付与したすべての機能と、各機能から付与されたレコードへのアクセスレベルが示されます。
取引先チームや商談チームを使用する場合は、データを手動で共有するのと同じです。システム管理者がチームメンバーのアクセスレベルを決定し、その取引先のコンテキストでメンバーが担うロールとは関係ありません。他方、CDS は異なります。CDS の場合は、システム管理者が取引先関係者にコンテキストに応じたロールを割り当て、そのロールに設定されたデフォルトのアクセスレベルに基づいてデータへのアクセス権が自動的に付与されます。このしくみは組織全体で一貫し、ケースチームによる共有方法と似ています。同じ組織で取引先チームと取引先関係者を併用できるのでしょうか? 可能ですが、共有の詳細ページに別々の共有テーブルエントリが示されるため、ユーザーが混乱することがあります。
主従関係を使用する場合は、主オブジェクトが従オブジェクトへのアクセス (誰が従オブジェクトのデータを表示できるかなど) を決定します。主従関係を設定した CDS も使用できますが、CDS の共有は親オブジェクトによって決定されるため、指定できるのは主エンティティのみで、従エンティティは指定できません。
まとめ
Deandra は、CDS を立ち上げてくれた Matt にお礼を述べます。Rob や Charlie とそのチームメイトが、セキュリティやコンプライアンスを侵害することなく、買収に関する機密のクライアントデータを共有できるようになりました。Deandra は CDS について、最小限のカスタマイズで、コンプライアンスのすべての側面を直観的に操作できる点が気に入っています。クライアントのデータに誰が、どの程度アクセスできるかを常に管理できます。CDS が設定された Cumulus Capital では、担当者が本来の業務であるクライアントの合併や買収に集中できます。
このモジュールで取り上げたような複雑なビジネスユースケースは、通常カスタムコードが必要で、開発に時間がかかります。けれども、CDS があればポイント & クリック操作で処理できます! Salesforce の CDS は FSC に標準機能として付属します。Cumulus Capital では、Salesforce が信頼のおける CRM ソリューションであることと、Matt が優秀なシステム管理者であることに満足しています。