顧客との交流
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- セルフサービスポータルの一般的な使用事例について説明する。
- セルフサービスポータルの測定可能な目標を定義する。
Experience Cloud を使用した顧客との交流
皆さんが顧客向けの Experience Cloud サイトの作成に興味があるのはなぜでしょうか? 顧客向けサービスポータルでは次のことが可能だからです。
- 顧客があなたの会社や製品に関する情報を 1 か所で検索する
- 顧客が自分のデータ (アカウント、サービスチケット、請求書など) にアクセスする
- 顧客同士がそれぞれの経験や専門知識を共有する
セルフサービスポータルの例を見てみましょう。
Lira はコロラド州ボルダーにあるソフトウェア会社で、個人および法人向けのクラウドベース財務会計ソフトウェアを作成しています。世界各地で約 25,000 件の顧客が Lira の製品を使用しています。
個人クライアントは予算作成、請求書の整理、納税申告に使用し、法人クライアントは消費税の計算、オンライン財務会計、給与管理などに使用しています。IT 部門の責任者 Sarayu Jain は、社内および社外向けのデジタル環境をアップグレードしたいと考えています。その目標を満たすために、彼女は Saleforce と Experience Cloud を選びました。Experience Cloud を使用して、Lira Financial の Salesforce 組織に複数のエクスペリエンスを作成し、個人および法人顧客に合わせてエクスペリエンスを調整することができます。
サポート部長である Jasper Hare は、個人顧客と法人顧客のニーズに合わせた独自のサイトを作成したいと考えています。Lira のサイト内で、各顧客はアカウントの維持、ナレッジ記事の参照、また必要に応じてサポートにケースを登録できます。
Jasper は Sarayu やサイトマネージャーの Alessandra Pesola と連携し、Lira のカスタマーエクスペリエンスに特定の目標を設定します。3 人はブレインストーミングをしながら、顧客の種別によって目標が異なるため、個人クライアントにはカスタマーサイト、法人クライアントにはカスタマー取引先ポータルという 2 つのエクスペリエンスが必要であることに気が付きます。幸い、Experience Cloud を使用すれば、簡単にそれが実現できます。
Lira の個人クライアント向けカスタマーサポートサイト |
Lira の法人クライアント向けカスタマーサポートサイト |
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お客様のニーズに応じたカスタマイズ
Salesforce Platform 上にエクスペリエンスを構築することの最大の利点についてはすでに説明しました。Salesforce Platform 上にあるということは、さまざまな Salesforce 機能をエクスペリエンスにシームレスに統合できるということです。
では、Lira Financial のカスタマーサービスを向上させることができる Service Cloud 機能をいくつか見てみましょう。
まず、Lira の Salesforce ナレッジ記事を内部組織外に簡単に公開できます。エクスペリエンスビルダーで数回クリックするだけで、お客様は Lira 製品およびサポートに関する記事にアクセスできるようなります。お客様が必要とする情報が記事に含まれていない場合はどうしたらよいでしょうか? その場合は、サイトから直接、簡単に質問またはケースを登録できます。
Lira のセルフサービスサイトで登録されたケースはすべて Salesforce に表示されます。つまり、ケースの追跡とレポートが可能です。ではこのレポートはどう役に立つのでしょうか? 毎年、米国の納税申告期限の直前になると、控除額の計算に関するケースが著しく増加します。この増加を踏まえて、Lira の製品チームは、控除の計算方法と、その情報をどこに入力するのかを説明する動画を公開することにします。これにより、控除に関するケースの件数は減少します。
次に、Lira Financial は、エクスペリエンスビルダーの組み込みメッセージングコンポーネントを使用して、アプリケーション内および Web のメッセージングにより、エクスペリエンスにライブチャット機能を追加することにしました。クライアントの Veronica Sigismondo が、問題が発生したときに、ヘルプを提供するポップアップをクリックします。Veronica は Lira のサポートエージェントである James McGuire とチャットを開始します。
James は、Veronica の情報を一目で確認できるサービスコンソールを使用しています。James は Veronica が 6 年来の法人顧客であり、その間に 3 回ケースを登録していることに気が付きます。どのケースも、彼女の特殊なニット帽の消費税の計算に関するものです。
James は Veronica のケースを迅速に解決します (彼女の会社は商品をオレゴン州に郵送する必要があり、オレゴン州には消費税がありません)。それと同時に、複雑なプロセスから推測作業を取り除く、Lira の新しい消費税ウィザードの購入を彼女に勧めます。Veronica は購入はしませんでしたが、検討している様子です。James は彼女の興味が販売につながるかどうか、営業チームがフォローアップできるように、彼女のアカウントにメモを入力します。
Experience Cloud の投資収益率の測定
Lira が時間と資金を投資しようとしている Experience Cloud の価値を、Sarayu はどのように確認できるでしょうか? 彼女は Jasper と Alessandra とミーティングを行い、彼らがどのように成功を測定したいと考えているのかを確認することにします。顧客関係を管理する Jasper は、個人クライアントと法人クライアントの両方に満足してもらうおうと熱心に取り組んでいます。
彼はセルフサービスサイトの実装前と実装後に収集される次の数値に注目しています。
- 回避されたケース数
- サポートエージェントが各ケースで費やした時間
- 顧客満足度
- ネットプロモータースコア (NPS)
これらの数値がすべて揃った時点で、Lira のサービスチームは全体的なトレンドを調べることができます。サポートケースは減少しているか? サポートコストは削減されているか? 数か月後、Sarayu、Jasper、Alessandra は再度集まり、個人カスタマーサイトと法人クライアントポータルの両方が目覚ましい効果を上げていることを発見します。誰にも驚きはありません。あるのは満足感だけです。
Sarayu は 1 つのシステムでビジネスプロセスと外部顧客をつなげることができたことを喜んでいます。
Jasper は、ケースをクローズするコストが電話の場合は 55 ドルだったところを、オンラインでのやり取りで 50 セント未満に削減されたため、大変満足しています。
Alessandra は、グループのエンゲージメントレベルが着実に向上し、難しい質問についてお互いに助け合えるようになったことを嬉しく思っています。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Experience Cloud を使用したカスタマーリレーションの管理
- Salesforce ヘルプ: エクスペリエンスビルダーサイトまたは Commerce Cloud サイトでの Web のメッセージングのリリースの設定