パートナーと協力する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- パートナーポータルの一般的な使用事例について説明する。
- パートナーポータルの測定可能な目標を定義する。
- パートナーの支援に使用できる Sales Cloud の機能を挙げる。
Lira Financial のパートナーの問題
Lira Financial は急速に成長しています。たった 1 年で、ボルダーでの業務を 50 パーセント拡大しました。本社で働く営業担当は記録的な活躍をみせていますが、社内の営業担当の数が足りなくてすべてのリードをフォローアップできず、利益を上げる機会を逃しています。Lira では、強固なパートナーネットワークでこの問題を解決したいと思っています。
そうはいっても、潜在的なパートナーが Lira と協力したがって列をなしているわけではありません。会社のプロセスが煩雑なことで有名になってしまったからです。Lira は、社内のセールス、サービス、マーケティングについては Salesforce に多額の投資をしていますが、社外の再販業者については少し困ったことになっています。パートナーは、電話をかけてすべての見積を確認することや、Excel と Google スプレッドシートが混在する中でデータを追跡すること、古いシステムの数あるログイン方法を覚えることが求められます。さらに悪いことに、パートナーは、必要などのツールにもモバイルデバイスからアクセスできません。
これで取引したがる人がいるでしょうか。Lira 以外にも多くの企業と提携していて忙しい再販業者は、絶対に取引したがらないでしょう。
Lira Financial のパートナーの問題は成長の問題でもあり、Sarayu がその解決に特別な意欲を見せています。
Experience Cloud による強固なパートナー関係の構築
Sarayu は最初に、Experience Cloud で顧客を支援する可能性に着目していましたが、Lira のチャネルセールス担当副社長の Michelle Peterson と雑談したとき、Experience Cloud でパートナーも支援できるとすぐに気づきました。
Michelle は、今よりも速い販売、スマートな販売、チャネル取引先マネージャーとの効率的なコラボレーションをパートナーに求めています。それを達成するために、Lira の最大パートナー数社とミーティングの機会を設けて、こう質問しました。皆さんの販売活動を促進するために、Lira ではどのような支援ができるでしょうか。回答は例外なく同じでした。
パートナーが求めていたものは次のとおりです。
- 合理化されたオンボーディング
- マーケティングキャンペーンと資金
- 評価済みリード
- 商談の登録
- 商談管理
- 簡単かつ迅速な見積の作成
Sarayu のチームは、フィードバックを取り入れ、Partner Central テンプレートを使用してパートナーポータルを設定することにしました。テンプレートによって、Lira では、Salesforce が持つ最高の機能をパートナーに提供することや、パートナーのためだけに特別な機能を追加することが容易になります。たとえば、Partner Central のテンプレートにはリードの配布と商談の登録が含まれているため、Lira のパートナーは生産性を格段に向上できるようになります。
リードの配布と商談の登録は、どのようにパートナーと Lira の役に立つのでしょうか。これこそがこの提携の核心です。リードの配布によって、Lira では、マーケティングキャンペーンと Web サイトからリードを取り込み、資格のあるチャネルパートナーにすべてのリードを渡せるようになります。Lira が自社の営業チームを配置していない地域では、これが特に役立ちます。チャネルパートナーは、有望なリードの信頼できる情報源で、販売プロセスを加速できるのです。
商談の登録では、パートナーが計画済みと処理中の両方の商談を登録し、Lira は商談の状況を常に把握できます。
Lira のセールス担当副社長の Moira Orellana は、社内の営業チームとパートナーの両者が古い見積プロセスで悪戦苦闘しているのを知っています。そこで Moira は、Salesforce CPQ について調べることにし、手始めに Trailhead の「Salesforce CPQ の基礎」モジュールを参照します。CPQ を使用すれば、Moira の営業チームは、何十回も電話をかけたり何百回もクリックしたりせずに、数回のクリックだけで、ブランド設定、カスタマイズを行った提案と契約を生成できるようになります。Moira は CPQ をパートナーにも提供することに投資価値があると考えています。パートナーの生産性が向上し、商談成立数の増加につながるのであれば、当然ですよね。
Distributed Marketing を使用して、事前にパッケージ化したキャンペーンをパートナーに提供することで需要の推進を支援し、全員が同じメッセージを伝えるようにすることで Lira ブランドを守ります。独自のキャンペーンを実施するためにパートナーが Lira に市場開発資金 (MDF) や協力金 (co-op) をリクエストすることがあります。パートナーは、MDF や協力金といったマーケティング資金のリクエスト、追跡、承認された資金へのアクセスを、すべて Lira のパートナーポータルから行うことできます。
パートナーの最後の要求は、オンボーディングの改善です。率直に言えば、Lira のパートナーが、Lira が社内営業チームのために設定した、優れたオンボーディングと競い合うのは無理があります。そこで、Lira のセールスオンボーディングチームは、再販業者の拠点に応じた最新の商品情報と販促資料をパートナーポータルで使用可能にすることに同意しました。たとえば、ヨーロッパの Lira の再販業者がログインすると、税法と価格設定に関する、ローカライズ済み関連情報が表示され、ニーズに応じたオンボーディングになります。認定を目的としたローカライズ済みトレーニング、および近隣の認定テストセンターのリストも表示されます。
最終的にはどのようになるのかを確認すると共に、グアテマラのチャネルパートナーの Jose Lucio が Lira のパートナーポータルにログインしたときに何が表示されるかをチェックしてみましょう。まず、Jose のパートナー種別と場所 (中南米の付加価値再販業者) に合わせてパーソナライズされたホームページが表示されます。Jose は、自分のエリアのセールス改善に関する新しいコンテンツ (すべてスペイン語) に気付きます。次に、自分に割り当てられた、グアテマラと隣国ベリーズのリードのリストを確認します。Jose がいずれかのリードを評価すると、取引先レコードと取引先責任者レコードが Lira の組織で自動的に作成されます。
Jose はリードの商談レコードを作成し、Lira のセールスプロセスをレコードですぐに確認するため、自分が商談のどこに位置するのかをどの時点でも追跡できます。メールアドレスを調べなくても、取引先の主要取引先責任者に商談から直接メールを送信できます。最初のやり取りは Salesforce に自動的に記録されます。
世界中のその他のパートナーにも、Jose と同じように適切なコンテンツがシームレスに表示されます。パートナーは、意欲的に Lira と協力するようになりました。
Lira が定義するパートナーの成功とは
測定可能な結果。これこそが Sarayu、Michelle、Moira が求めているものです。とはいえ、どのようにしたら、成功したとわかるのでしょうか。
ありがたいことに、利用できる数値はたくさんあります。パートナーポータルを設定する前に問題となっていたことは次のとおりです。
- パートナーエンゲージメントが不足している
- 商談の登録のレベルが中程度である
- 年間売上: 1 億ドル
パートナーサイトを実装して 1 年が経過したとき、数字は予想をはるかに超えていました。
- パートナーエンゲージメントは 46% 増加
- 商談の登録は 33% 増加
- 年間売上: 1 億 4300 万ドル (43% 上昇)
Sarayu、Michelle、Moira がこの事例から知ったことは、パートナーは物事を簡単にしてくれる会社との協力を望むということです。それが結果的には商談成立の迅速化と収益の増大にもつながったことに大喜びです。全員にメリットがあるのです。
教訓
Lira が Experience Cloud で試みたことが、確かに実を結び始めています。今のところ、サイトとポータル形式のエクスペリエンスの実装は順調です。また、実装に関わった多くのチームは、改善を続けようと意欲的になっています。すべてのチームがメトリクスとエンゲージメントをつぶさに監視し、利用者のエクスペリエンスを向上するためのアイデアを常に生み出しているのです。
リソース
- Salesforce ヘルプ: パートナーサイト