注文の正確性の確保
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Channel Order App (COA) の注文が Salesforce からの請求にどう影響するかを説明する。
- COA データがお客様のライセンス数と同期できなくなる状況について説明する。
- 正確なライセンスデータを保つ方法について説明する。
請求書の計算
お客様が製品を注文し、パートナーは製品の売上の一部を Salesforce と分配します。製品カタログの価格設定条件によって、分配する割合が決まります。ここでは Channel Order App (COA) を使用して請求書を計算する手順を見ていきましょう。
販売する各製品の収益分配の詳細は、COA の製品カタログに含まれています。分配額を計算するために、関連するカタログ項目の Pricing Type (価格設定種別)、Fixed Price (固定価格)、PNR (純収益 (%))、Floor Price (最低価格)、Pricing Unit (価格設定単位) を見てみましょう。
価格設定種別は、Fixed Price (固定価格) または PNR (純収益 (%)) になります。固定価格製品の場合、単位あたりの収益分配額はその固定価格になります。製品の固定価格が 15 ドルの場合、Salesforce に 15 ドルを支払います。PNR 製品の場合、収益分配額は (販売価格× PNR) の金額になります。たとえば、毎月の販売価格が 100 ドルで PNR が 15% の場合、お客様はパートナーに毎月 100 ドルを支払い、パートナーは Salesforce に毎月 15 ドルを支払います (100 ドル× 15%)。
お客様に課金する金額はパートナーが決定します。製品を無料で提供すると決定した場合はどうなるでしょうか? Salesforce への支払いもなくなるということでしょうか? そうとは限りません。PNR 価格の製品の場合、製品カタログで最低価格があるかどうかを確認します。パートナーがお客様に課金する金額に関係なく、それが Salesforce に支払う最低金額です。最低価格がある場合、Salesforce には、最低価格と (販売価格× PNR) の 2 つの金額の多い方を支払います。
請求書を計算する場合、製品価格設定単位 (ユーザー単位または組織単位) も組み入れます。製品がユーザー単位で価格設定されている場合、固定価格または PNR にユーザー数を乗じます。組織単位の場合は、組織数を乗じます。組織数は注文ごとに 1 です。
単元 1 では、契約条件のデフォルトの請求サイクルについて説明しました。それは Salesforce がパートナーに請求する頻度です。正確な請求書を受け取るためには、請求期間のすべての注文を、次の請求期間が開始する前に送信します。
お客様のニーズへの対応
新しくリリースされたアプリケーションの場合、COA 注文の大部分は新規のお客様のものです。お客様との関係が成熟すると、アプリケーションには進化が必要になり、さまざまな注文種別が送信されるようになります。単元 2 では、新規のお客様の最初の注文を作成する手順を学習しました。ここでは、正確な注文種別を選択して、既存のお客様の要求を満たす方法を見ていきましょう。
Add-On (アドオン):
既存のお客様のために追加の製品を注文する。
お客様の要求: お客様には元の製品の有効なインストールがあり、先ほど 2 つ目の製品を注文した。
注文種別: Add-On (アドオン)
送信前の注意事項: お客様の組織の製品が注文の製品とは異なることを確認する。
契約期間中にライセンス数を増やす。
お客様の要求: 契約期間中のお客様には 250 ライセンスの有効なインストールがあり、同じ価格でさらに 50 ライセンスの追加を要求している。
注文種別: Add-On (アドオン)
送信前の注意事項: お客様の有効な契約が注文の製品に対するものであること、新しいライセンス価格が元のライセンスと同じであることを確認する。
Upgrade (アップグレード):
契約期間中にお客様をより高価格の製品に切り替える。
お客様の要求: 契約期間中のお客様が製品の新バージョンへの切り替えを要求している。
注文種別: Upgrade (アップグレード)
送信前の注意事項: お客様の組織の製品が注文の製品にアップグレード可能であることを確認する。
契約期間中に既存の商品の価格を上げる。
お客様の要求: 契約期間中のお客様が商品の使用を継続することを要求しているが、パートナーはライセンス価格を上げることを決定した。
注文種別: Upgrade (アップグレード)
送信前の注意事項: 顧客の今後のすべての製品、ライセンス、価格設定が注文に含まれていることを確認する。アップグレード注文に記載されていない製品やライセンスはお客様の組織から削除される。
Reduction (削減):
契約更新日にライセンス数量を減らす。
お客様の要求: 契約期間中のお客様には 250 ライセンスの有効なインストールがあり、50 ライセンスの削減を要求している。
注文種別: Reduction (削減)
送信前の注意事項: お客様の有効な契約が 50 ライセンス以上であること、組織の製品が注文の製品と一致することを確認する。
Renewal (更新):
更新日に製品価格を変更する。
お客様の要求: パートナーが製品の価格を変更し、お客様の契約更新日に新価格を適用する必要がある。
注文種別: Renewal (更新)
送信前の注意事項: お客様の組織の製品が注文の製品と一致することを確認する。
自動更新に設定されていない契約を再開始する。
お客様の要求: お客様が自動更新に設定されていない現在の契約の終了後も製品の使用を継続することを要求している。
注文種別: Renewal (更新)
送信前の注意事項: お客様の組織の製品が注文の製品と一致することを確認する。
Cancellation (解約):
更新日にお客様の契約を終了する。
お客様の要求: お客様には 250 ライセンスの有効なインストールがあり、250 ライセンスの削減を要求している。
注文種別: Cancellation (解約)
送信前の注意事項: お客様の組織の製品が注文の製品と一致することを確認する。
適切な種別を選択することは、仕事に合った工具を使うのに似ています。釘を打つには、ドライバーではなくハンマーを使用します。同様に、お客様が新しい製品を追加する場合は、更新ではなくアドオンを使用します。
どの種別の注文を送信すればよいかわからない場合は、便利な COA Order Submission Guide (COA 注文送信ガイド) ツールを使用してください。
LMA と COA の同期
パートナーはライセンス管理アプリケーション (LMA) を使用してお客様のライセンスを管理し、COA を使用してお客様のライセンス情報を Salesforce と共有します。Salesforce は COA 注文を使用してパートナーへの請求書を生成します。COA のデータには常に、現在お客様が使用しているライセンス数が反映されている必要があります。LMA と COA が同期していないと、請求書も実際のライセンス使用と同期しなくなります。そこで、同期を維持する方法を見てみましょう。
COA では、製品の購入を含む、お客様の詳細を参照できます。LMA のサポートコンソールでは、お客様の組織のライセンスを管理できます。LMA と COA が一致すれば、設定はすべて完了です。休憩を取り、仕事をうまくやり遂げた自分にごほうびをあげましょう。
ただし、あまり長くは休まないでください。あなたのアプリが検索ヒットしたので、COA ライセンスデータをお客様の LMA ライセンスと同期するという重要な役割を果たさなければなりません。
COA ライセンスデータを確認するには、COA の主ナビゲーションバーで [Customers (お客様)] タブをクリックしてお客様のリストを表示します。特定のお客様の [Name (名前)] (1) を選択してお客様の詳細ページを読み込みます。
詳細ページには、[Customer Overview (お客様の概要)]、[Billing Information (請求情報)]、[Products (製品)] の 3 つのセクションがあります。[Products (製品)] セクションまでスクロールダウンします。ここには、お客様に使用ライセンスが供与されている製品 (1)、それぞれの [Quantity (数量)] (2)、[Total Price (合計価格)] (3) が表示されます。この COA データが、Salesforce による請求の情報源となります。この合計価格を使用して請求書が計算されるため、お客様で変化があれば必ず COA を更新する必要があります。
お客様詳細ページの製品名 (例: Force.com Platform Unlimited Edition (Additional Admin) - OEM) は、価格表の正式名です。この名前は、収益分配請求書でも使用されます。
各製品カタログは、特定の価格表エントリに対応付けられます。製品を注文に追加するとき、注文ウィザードで [Product (製品)] (1) から [Pricebook (価格表)] (2) への対応付けを確認できます。
COA データを LMA レコードおよび独自のレコードと比較します。不一致 (COA と LMA のライセンス数の違い) を見つけたら、すぐに修正します。常に正しいのは LMA です。お客様のライセンスに関しては LMA が信頼できる情報源です。
LMA にリストされたライセンス数が COA よりも少ない場合、COA 削減注文を送信して余分なライセンスを削除します。お客様と自社への過剰請求を避けるために、速やかに注文を送信します。削減は、お客様の契約更新日に発効することに注意してください。契約更新まで、パートナーには COA ライセンス数量で請求されます。
LMA にリストされているライセンスが COA より多い場合はどうなるでしょうか? Salesforce との収益分配契約に従っていないことになります。この不一致を修正するには、速やかにアドオン注文を送信します。アドオンは、Salesforce が注文を処理すると発効します。契約期間中にアドオン注文を送信すると、残りの契約期間についてのみ請求されます。請求額は、サービス開始日に基づいて按分されます。
正しい COA データによって、正確な請求や、パートナーとして良好な状態など、大きな効果が得られます。これは非常に大切です。さらに、パートナーは請求に関する問い合わせや請求の調整などにかかる時間を減らすことができるため、最も得意なこと、つまり、素晴らしい製品を作り、お客様に販売して満足してもらうことに投じる時間を増やすことができます。
お疲れさまでした。皆さんはもう注文管理のスーパースターです。学んだことを最大限に活用してください。このモジュールと「ISVforce ガイド: 注文の管理」モジュールを参照として使用して、ビジネスを成長させ、管理しましょう。