ポータルの基盤の確立
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
-
共通の目的を定義する。
- ユースケースの重要性を説明する。
- 担当役員によるサポートの価値を理解する。
- ペルソナの作成およびメンバーのジャーニーの対応付けを行う価値を理解する。
ポータルの目的を定義する
優れたポータル計画は目的を明確に定義することから始まり、多くの場合、ミッションステートメントという形で明示されます。これは非常に重要な点ですが、見落とされがちです。ほとんどのベンダーは、自社のポータルサイトのミッションステートメントを作成しておらず、作成しているベンダーも大抵自社に焦点を合わせています。明確に定義された目的は、次のようなパートナーポータルの重要な基本要素の 1 つです: パートナーにとってのミッションステートメントの利点は何か? ミッションステートメントに、パートナーのために何が実行されるのかが示されているか?
それでは、パートナー候補がパートナープログラムのランディングページを訪れたときに最初に目にするものを少し考えてみましょう (もちろん、パートナープログラムについて詳細に説明した公開ランディングページを用意する必要があります)。ここはミッションステートメントを共有するのに最適な場所です。また、ミッションステートメントは、次のように共通の目的という観点から検討する必要があります: パートナーと連携して (パートナーに対してでもパートナーの代わりでもなく) どのようなことができるのか? パートナーの成功を実現するにはどうすればよいのか?
ポータルの主要なユースケースを定義する
ポータルの目的を定義したところで、次はサポートする主なユースケースを定義します。このユースケースでは、パートナージャーニーとパートナーを成功に導くものに焦点を当てる必要があります。パートナーの採用に重点を置くのか、または自社製品の販売の実現に必要なパートナーの強力なネットワークがあるのか? 商談登録またはリード配布を提供するのか? それとも両方を提供するのか? こういった質問に対する答えは、このようなユースケースのどの点に優先的に取り組むかを決定するのに役立ちます。
次のような重要なトピックを中心に整理することができます。
- パートナーの採用とオンボーディング
- パートナーのイネーブルメント/トレーニング
- リード配布/商談登録
- マーケティングサポート
- サポートとサービス
次に、迅速に実装でき、ビジネス目標に沿ったユースケースのパイロットセットを定義します。次の定性的な基準を使用します。
- どのようなビジネスプロセスが重要か?
- ビジネスへの影響度 (小さい/大きい)、および実装のしやすさは?
- トップレベルの担当役員はだれか?
- 中間レベルのプロジェクトチャンピオンはだれか?
- ユースケースの成功をどのように測定し、監視するか?
経営陣を巻き込む
チャネル計画のサポートに役員の協力を得ることは、プログラムの成功に不可欠です。最も成功しているチャネル組織は、組織内のトップの営業担当役員に直属しています。企業によっては、チャネルを統括するトップの役員自身が経営陣の一員である場合もあります。役員は、パートナーイベントへの参加から、パートナー企業との継続的な関係構築まで、さまざまなレベルで PRM イニシアチブをサポートできます。
役員を巻き込むには、次のような具体的なサポート方法を定義するのが一番です。
- 従業員とのコミュニケーションを通じた PRM イニシアチブの社内のサポート
- パートナーのイベント/親睦会での講演
- パートナー諮問委員会での会議やパートナーサミットの開催
- PRM ポータルサイトへの歓迎メッセージの提供
役員を巻き込む際には、より一般的なサポート要請とは対照的に、常に具体的な活動を念頭に置くことをお勧めします。また、すべての役員 (担当役員だけでなく) にチャネルとポータルで何が起きているのかを常に意識してもらうために、継続的にコミュニケーションを取り、意識向上計画を設けることを忘れないでください。
リソースと人員配置を定義する
PRM ポータルを立ち上げたら、どのように管理し、導入と利用を促進するかについて計画を立てることが重要です。そのプロセスの最初のステップは、ポータルへのパートナーの参加を管理する担当者を決定することです。この担当者は、チャネルセールス組織から任命できます (実際、よく任命されています)。この担当者の業務範囲は次のとおりです。
- ポータルのハンズオンユーザー/システム管理者
- チャネルパートナーに対するポータルの使用の有効化
- すべての主要業績メトリクス/ROI 全体のレポート作成
- ポータルの商品更新に関する最新情報の把握
- ポータル計画の実践
ポータルマネージャーの役割に加え、チャネルマネージャーの役割もあります。チャネルマネージャー、またはそれに類似する役割を設定することが不可欠であることは、どれだけ誇張してもし過ぎることはありません。Harvard Business Review によると、最も優秀なチャネルマネージャーは、優れた営業マネージャーよりも優れたゼネラルマネージャーと共通点が多く、特に次の 3 つの分野でその傾向が強くなります。
-
計画。優れた営業マネージャーにとって、特定のテリトリーにおける競争力のあるポジショニングについて計画的に考えることは、当然のことです。ですが、チャネルマネージャーは、この能力をさらに一歩進め、ディストリビューションパートナーに独自の競争計画を構築するようコーチングして、連携する必要があります。そのためには、最も経験豊富な営業マネージャーでさえ持ち合わせていない、計画的な立案プロセスに関する一定レベルの知識が必要となります。
-
財務。有能なチャネルマネージャーに求められる財務の見識は、営業マネージャーに求められるものよりもかなり高いレベルになります。財務に精通することで、収益性の高い関係を築くことができます。
-
コーチング。結局のところ、チャネルマネージャーの仕事とは、ディストリビューションパートナーの能力を開発し、ディストリビューションパートナーがより効果的に商品を販売し、サービスを提供できるようにすることに尽きます。こういった能力には、単に販売の基本に精通していることにとどまらず、物流の効率化、付加価値サービス、法規制の遵守などに関する能力も必要とされます。
PRM イニシアチブを支えるその他の重要な役割は、次のとおりです。
- シニア VP/営業部門責任者、最高マーケティング責任者: チャネル計画に対して提案を行い、その計画を支持します。この役割の重要な部分は、パートナーを見つけ、そのパートナーが需要を創出し、販売を成功できるようにサポートすることです。
- ディレクター/営業 VP、マーケティング VP、IT VP: すべてのチャネルセールス業務を統括し、チャネル計画に対して責任を負います。
- IT/システム管理/技術オペレーション: SFDC の専門知識、実装リーダーシップ、サポート。
- チャネルセールスマネージャー、チャネルマーケティングマネージャー: チャネル計画の実行、ポータルの管理、導入ノウハウの提供を行います。
ペルソナとジャーニーを作成する
これは最も重要なベストプラクティスの 1 つであり、企業はパートナーに最高のユーザーエクスペリエンスを提供するために理解する必要があります。これには、コミュニティにアクセスする主要なペルソナのプロファイルを作成し、必要なエクスペリエンス (サービス設計) を対応付けるという、2 つの重要なステップが含まれています。
ペルソナから始めて、ポータルにアクセスする (またはアクセスする予定の) パートナー組織から上位 2 ~ 3 つの役割を特定することをお勧めします。どのような責任があり、日々の業務でどのような課題に直面し、何を目標やモチベーションにしているのかを検討してください。ペルソナの例を次に示します。
- 営業マネージャー
- マーケティングマネージャー
- 最高経営責任者レベルの役割 (CEO、CFO、最高営業責任者、最高マーケティング責任者)
前述のように、このような役割にとって意味のある共通目的 (または共通価値) は何か、ポータルはどのような価値をもたらすことができるのかについて考えてください。また、社内の重要なペルソナを特定し、同じ質問を考えることも重要です。
すべてはジャーニーマップに集約されます。ジャーニーマップでは、エンゲージメントのフェーズと各フェーズのタッチポイントを明確に特定する必要があります。ジャーニーマップが重要な理由には、次のようなものがあります。
- ジャーニーマップを使用すると、理想
(提供したいもの) と現実 (現在提供できるもの) の両方を考える機会が生まれる。
- 最適なパートナー環境に関して、合意を得ることができる。
- 実装のための概要レベルのブループリントが示される。例:「フロントステージ」
ジャーニーに応じて、そのジャーニーをサポートするための「バックステージ」商品要件が決定される。
- パートナーの環境を理解することが、これまで以上に重要になっている。
これで、ポータルの基盤を理解できました。次はポータルの目標と評価メトリクスの観点から、成功を定義するものについて説明しましょう。
リソース
- Four types of executive sponsorship to catalyze change (変革の触媒となる担当役員の 4 つのタイプ)
- Understanding THE PARTNER’S JOURNEY: How channel partners arrive at technology decisions (パートナーのジャーニーの理解: チャネルパートナーはどのようにテクノロジーに関する決断に至るか)