B2C Commerce 実装の計画
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- B2C Commerce 実装プロジェクト計画にどのマイルストーンを含めるかを説明する。
- B2C Commerce 実装プロジェクトの効果的なリスク管理戦略を特定する。
作業明細書の作成
B2C Commerce 特急が再び動き出しました。次の駅に着くまでに、作業明細書 (SOW) をまとめる時間があります。B2C Commerce 実装プロジェクトの明確な SOW には、プロジェクトに欠かせない詳細が記載され、現実的な期待が設定されています。このために成功する可能性が高くなります。SOW には次の点がおおまかに説明されます。
- プロジェクト固有のアクティビティ、成果物、タイムライン
- 範囲の対象と対象外
- あなたのチーム、顧客側のチーム、サードパーティ側のチームのロールと責任
- 重要な前提条件
通常、パートナーは取り組みの範囲を定めるために、定型の範囲と、より大まかなアウトラインのいずれかを使用します。後者を「チームと時間」アプローチといいます。どちらを選ぶにしろ、実装することを確約したサイトのコア機能を SOW に記録する必要があります。SOW の万能テンプレートというものはありませんが、Salesforce パートナーコミュニティに B2C Commerce 向けの SOW のガイダンスが掲載されています。
列車は次の駅に向かって順調に進行しています。あなたのチームも、プロジェクト SOW のプロセスを列車以上に順調に進行しています。ここでちょっと手を休め、もう 1 つの SOW、つまりあなたと Salesforce の間で作成した B2C Commerce イネーブルメント SOW に目を向けてみましょう。この SOW には、Salesforce から購入したプロフェッショナルサービスのサポート合計時間が記載されています。まだ大量の時間が残っているため、この数時間を利用して、プロフェッショナルサービスにプロジェクト SOW を見てもらいます。プロフェッショナルサービスチームは、見積もりを念入りにチェックし、前提条件を追加して、全体的な印象を伝えます。同チームの貴重なフィードバックはリスクの低減に不可欠であり、わずかなコストを費やす十分な価値があります。
プロフェッショナルサービスチームが追加した重要な前提条件は次のとおりです。
- プロジェクトに SRA を追加する。
- NTO のビジネスユーザーが「Salesforce B2C Commerce Managing the Storefront (Salesforce B2C Commerce ストアフロントの管理)」コースを受講する必要がある。
- テストデータ、データの検証、ユーザー受け入れテスト (UAT) のテストケースについては NTO が責任を負う。
マイルストーンの計画
次の駅に到着するまでにはまだ時間があります。この時間を使ってプロジェクト計画に取り組みましょう。ストアフロントプロジェクト計画の作成方法はすでにご存知でしょう。ここでは、プロジェクト計画に B2C Commerce 特有の典型的なマイルストーンが説明されていることを確認します。
プロジェクトのマイルストーン |
詳細 |
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サイト準備度評価 (SRA) のレビュー |
SRA は、Salesforce B2C Commerce プロフェッショナルサービスチームがプロジェクトを継続的にレビューするものです。プロジェクトの発足と同時に始まり、立ち上げとともに終了します。顧客がプロジェクトに SRA を追加することにした場合は、別途の料金がかかります。 SRA では次のことを行います。
立ち上げ準備に至る前に、仕様レビューが 2 回行われることも珍しくありません。 |
デザイン構図の提出スケジュール |
通常、デザイン構図はレビューと修正が数回繰り返されます。プロジェクト SOW に、指定した回数を実施可能な十分な時間を設けておきます。 |
サードパーティ統合 |
サイトにサードパーティ統合を組み込むために、あなたまたは顧客がテクノロジーパートナーを使用することを予定している場合は、それに伴う日程と従属関係も記載します。こうした情報を顧客やサードパーティから収集することは PM であるあなたの責任です。また、範囲がなし崩し的に変容することがないように、こうした情報をプロジェクトの当初の範囲と定期的に比較することもあなたの責務です。 あなたの側で遅延が生じた場合は、SRA の開始時に指定された SRA 所有者に率直に伝えます。顧客側が期限を逸した場合は、プロフェッショナルサービスと協力して顧客が軌道に戻れるようにします。 |
「Managing the Storefront (ストアフロントの管理)」トレーニングコース |
このコースではマーチャントやマーケターを対象に、Commerce Cloud Business Manager を使用してデジタルストアフロントのカタログ、商品、プロモーションを管理する方法を指導します。設計フェーズより前または早い段階で、顧客にコースを受講してもらいます。このコースを受講する場合は、別途料金がかかります。 |
立ち上げ準備ブートキャンプ (LRBC) |
このブートキャンプでは、顧客が B2C Commerce ストアフロントを立ち上げて管理できるように準備します。LRBC は SRA の一環で、通常は立ち上げの 4 週間前に実施されます。顧客や Salesforce プロフェッショナルサービスと相談のうえ、適切な時期にスケジュールします。 |
データの検証 |
テストデータと本番データの品質と完全性を検証します。 |
テスト |
プロジェクトのライフサイクルの早い段階でテストフェーズについての話し合いを開始します。
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立ち上げサインオフ |
サイトの立ち上げ準備完了のサインオフを顧客から取り付けます。Salesforce B2C カスタマーサポートに、近々の立ち上げ日を連絡します。 |
以下は、いくつかのマイルストーンに取り組む一般的な時期を示したタイムラインです。
リスクの低減
列車が次の駅に到着すると同時に、チームがプロジェクト計画を完成させました。具体的なマイルストーンと日程が記載されています。完璧です。問題が起こりそうなところは...、どこにも見当たりません。ただし、念のためリスク管理戦略を実装しておくことをお勧めします。
理想的なプロジェクトでは、コスト、品質、時間のバランスを簡単に取ることができます。PM であるあなたは、現実のコンサルティングの世界では理想的なプロジェクトなどめったにお目にかかれないことを知っています。それでも、この 3 つの要素を定期的に評価して、バランスを取ることはあなたの使命です。
リスクの低減を実施して、バランスの乱れを早目に検知します。効果的な戦略として次のものが挙げられます。
- ステータスやリスクの伝達: 顧客、サードパーティのコラボレーター、B2C Commerce プロフェッショナルサービスと定期的に連絡を取り合います。
- 説明責任の強化: タスクの割り当てと期限を明確かつ頻繁に伝達します。
- チームの声に耳を傾ける: プロジェクトチームの誰もがリスクを提起できるようにします。
- リスクの監視: リスク登録を備えたプロジェクトの健全性ダッシュボードを管理します。プロジェクトが予定どおり進行しているかどうかを簡単に確認できるグラフィカルダッシュボードをお勧めします。
顧客はあなたを頼りに、トンネルの先の光に向かって進行していきます。顧客が頼りにできる車掌になりましょう。常に前向きな姿勢で、明確に指示し、リスクを管理して解消します。プロジェクトのリスト管理についての詳細は、Salesforce の「Risk Management for Delivery Success (成功を実現するためのリスク管理)」プレゼンテーションを参照してください。
リスクは、プロジェクトのライフサイクルのその時々に、さまざまな理由で突発的に生じることがあります。ただし、低減する方法が分かっていれば安心できます。こうした戦略があれば、プロジェクトジャーニーを通して軌道を逸れることなく進行し、リスクを管理して、生じた時点で解消することができます。
計画の成果物
- プロジェクト SOW
- プロジェクト計画
- プロジェクトの健全性ダッシュボード
リソース
- Salesforce パートナーコミュニティ:「B2C Commerce Storefront Reference Architecture」グループ (ログインが必要)
- Salesforce パートナーコミュニティ: Salesforce B2C Commerce 用の SOW ガイダンス (ログインが必要)
- Salesforce パートナーコミュニティ: Risk Management for Delivery Success (成功を実現するためのリスク管理) (ログインが必要)
- Salesforce Trailblazer Community:「Managing the Storefront (ストアフロントの管理)」コースの登録