Search Recommendations の設定
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Einstein Search Recommendations で、先行入力検索をパーソナル化する方法を説明する。
- Einstein Search Recommendations の各機能を実装するために実行する必要があるカスタマイズについて説明する。
- Einstein Search Recommendations によって買い物客の体験がどのように向上するかを説明する。
- Einstein Search Recommendations で使用できるテストツールを挙げる。
はじめに
マーチャンダイザーである Brandon Wilson は、買い物客が求めているものを確実に見つけられるようにしたいと考えています。このことを実現する最適な方法は、お客様に的を得た検索の提案を示すことです。Salesforce B2C Commerce には、次の検索の提案が標準搭載されています。
- 追加のフレーズ
- カテゴリ
- ブランド名
- 商品
- コンテンツ
買い物客が上部または左側のペインでカテゴリやサブカテゴリを選択すると、買い物客に提案、スペル修正、そのカテゴリまたはサブカテゴリに固有の完全な用語が提示されます。Brandon は提案がカテゴリ、ブランド、コンテンツなどのグループ別にリストされるように構成します。そして、これらの提案を、カテゴリのランディングページやフレーズの検索結果などの特定のページにリンクさせます。また、提案と一緒に画像、商品カテゴリ、価格などが表示されるようにします。
検索の提案
Salesforce B2C Commerce には、検索の提案の簡易バージョンと強化バージョンが搭載されています。検索の提案の簡易バージョンでは、買い物客が 1 字入力するごとに用語候補のリストが更新されます。提案された用語を買い物客が選択すると、B2C Commerce がその用語を使用して検索します。各用語の横にヒット件数が表示され、この数に基づいて用語が並び替えられます。この件数はストアフロントで見つかった商品や記事の数で、商品の在庫数ではありません。
検索の提案の強化バージョンはデフォルトで有効になっています。Brandon は Business Manager で [Merchant Tools (マーチャントツール)] > [Search (検索)] > [Search Dictionaries (検索辞書)] > [Suggestion Phrases (提案フレーズ)] のパスを使用して追加の検索の提案を作成できます。
簡易バージョンと強化バージョンの違い
以下に、検索の提案の簡易バージョンと強化バージョンの違いを示します。
簡易バージョン |
強化バージョン |
---|---|
カテゴリ、ブランド、補足的なフレーズ。 |
|
完全に一致するフレーズを検索します。たとえば、B2C Commerce は、買い物客が 1 語目「digit」の入力を開始すると、「Digital Camera」というカテゴリを提案しますが、フレーズの 2 語目「camera」の入力を開始すると提案しません。 |
語の位置とは無関係の一致。たとえば、B2C Commerce は、買い物客が「camera」と入力すると「Digital Camera」を提案します。 |
ヒット件数は事前に計算されているため、最新の数値でない可能性があります。 |
|
検索の提案の簡易バージョンは非推奨になりました。簡易バージョンを使用している場合は、検索の提案の強化バージョンに切り替える必要があります。Einstein Search Recommendations では、検索の提案の強化バージョンのみが機能します。
Einstein Search Recommendations
Einstein Search Recommendations では、提案のうち買い物客と関連性が最も高いものを表示して、検索体験を向上させます。Einstein Search Recommendations を使用すると次のことが可能になります。
- 検索結果ページの放棄率を低下させる。
- 検索結果が 0 件になる可能性を最小限に抑える。
- ストアフロント検索での買い物客の満足度を高める。
検索の提案の簡易バージョンと強化バージョンをパワーアップした Einstein Search Recommendations では、Brandon が先行入力検索をパーソナル化できます。Einstein は、Cloud Kicks のサイトや買い物客の特定の検索から受け取った内部の viewSearch アクティビティに機械学習アルゴリズムを適用します。このアルゴリズムは、買い物客との関連性が最も高い検索フレーズを特定し、推奨項目を生成します。
Einstein は、買い物客の場所やデバイスタイプでサイト全体の検索アクティビティに基づいて、検索結果をリアルタイムで更新します。たとえば、買い物客が「swe」と入力し、「sweater」または「sweat pants」をまだ検索していない場合、Einstein はそのデバイスと場所で「swe」で始まるフレーズを検索します。このレベルで十分なデータがあれば、Einstein がフレーズを返します。十分なデータがない場合は、結果が見つかるまで広範なデータプールやデバイスを Einstein が検索します。
機能と作業量
Brandon が Search Recommendations をどのように実装するかは、どの機能を使用したいかによって異なります。以下は、Search Recommendations の機能を実装するために実行すべき作業 (と協力してもらう人々) です。
機能 |
カスタマイズ? |
レベル |
詳細 |
役割 |
---|---|---|---|---|
検索用語の自動補完と自動修正 |
いいえ |
0 |
検索の環境設定で有効にします。 |
マーチャンダイザー |
追加の検索フレーズの自動提案 |
はい |
低 |
既存の先行入力検索フライアウトメニューをカスタマイズして、複数の検索フレーズの提案を表示します。 |
開発者 |
最近の検索フレーズ |
はい |
中 |
既存の先行入力検索フライアウトメニューをカスタマイズして、Einstein が生成した最近の検索フレーズを取得して表示します。 |
開発者 |
よく使用される検索フレーズ |
はい |
低 |
既存の先行入力検索フライアウトメニューをカスタマイズして、Einstein が生成したよく使用される検索フレーズを取得して表示します。最近の検索フレーズに基づきます。 |
開発者 |
Brandon は、ストアフロントのカスタマイズのうち、作業を要しない、または作業が低度の簡単な機能から着手することが考えられます。こうした低度のカスタマイズにより、検索の提案の関連性をすぐさま向上させることができます。ただし、Brandon は、あらゆる機能を実装して、買い物客ごとに検索の提案の関連性を大幅に改善したいと考えています。
実装アプローチ
Cloud Kicks では Commerce Cloud Einstein を実装済みです。カタログや注文のフィードジョブのフローがすでに実行され、アクティビティの追跡が有効になっています。そのため Brandon は、デベロッパーの Vijay Lahiri の助けを借りてすぐに開始できます。
以下は、Brandon の実装アプローチです。
- Business Manager で Einstein Search Recommendations を有効にします。
- Vijay に検索の提案の表示を拡大してもらい、複数の提案が表示されるようにします。
- Vijay に最近の検索フレーズの実装を依頼します。
- Vijay によく使用される検索フレーズの実装を依頼します。
ストアフロントのあらゆるカスタマイズと同様に、Brandon は Production (本番) に導入する前に、チームがこれらの機能の計画を立てたうえで実装し、テストする十分な時間があることを確認します。
Business Manager での有効化
多くのマーチャントと同様に、Cloud Kicks もストアフロントの先行入力検索を有効にしているため、Search Recommendations を有効にすればすぐに機能し始めます。
Brandon が Search Recommendations を有効にする手順は、次のとおりです。
- Business Manager を開きます。
-
サイト > [Merchant Tools (マーチャントツール)] > [Search (検索)] > [Search Preferences (検索の環境設定)] を選択します。
-
[Einstein Search Recommendations] を有効にします。
管理者の Linda Rosenberg が検索設定を Staging (ステージング) から Production (本番) と Development (開発) にレプリケートしたら、高度にパーソナル化された推奨項目が買い物客に表示されるようになります!
検索の提案の表示拡大
Brandon のストアフロントではすでに先行入力検索フライアウトメニューを使用 (検索ボックスを拡張) しています。検索フライアウトの検索バーのすぐ下に、[Search for (検索キーワード)] または [Did you mean (次のフレーズで検索しますか)] 機能があります。Brandon は、Business Manager で [Einstein Search Recommendations] を選択すれば OK です。
Brandon は、Search Recommendations が機能していることを確認するために、ボックスをオンにする前と、ボックスをオンにして再インデックス付けした後の特定の 3 文字の検索結果を比較します。
最近の検索とよく使用される検索の実装
最近の検索機能とよく使用される検索機能を使用するために、Brandon は Vijay に次の API メソッドを先行入力フライアウトメニューに追加してもらいます。
- getRecentSearchPhrases(): 買い物客の最近の検索で多用されたフレーズを返します。
- getPopularSearchPhrases(): サイトで最もよく使用されるフレーズを返します。
テストツール
Brandon は各種のツールを使用して実装をテストします。
検索インデックスのクエリテストツール
Brandon は自動補完や検索用語修正に対する Einstein の有効性を分析したいと思っています。これは検索インデックスのクエリテストツールを使用して行うことができます。手順は次のとおりです。
- Business Manager を開きます。
-
サイト > [Merchant Tools (マーチャントツール)] > [Search (検索)] > [Search Index Query Testing (検索インデックスのクエリテスト)] を選択します。
-
「shoes」 (靴) という検索用語を入力します。
- 自動修正を有効にします。
- インデックスのクエリテストツールに表示された結果を確認し、ストアフロントと比較して検索体験が一貫していることを確認します。
このツールは、B2C Commerce のストアフロント検索で使用する各種プロセッサーのパフォーマンスと結果を記録します。Search Recommendations を有効にすると、Einstein によって実行された自動修正が処理結果に表示されます。
クエリテストツールの下部に、検索フレーズと一致する商品がリスト表示されます。リストの上に、[Did you mean (次のフレーズで検索しますか)] という表示ラベルがあり、Einstein が生成した検索の提案が示されます。この提案には、先行入力検索フライアウトメニューに表示される内容も含まれます。提案は関連性が高いものから順に表示されます。
Brandon は Search Recommendations を有効にした場合と無効にした場合のテストを実行して、結果を比較します。
A/B テスト
Brandon はサードパーティの A/B テストツールを使用して、Search Recommendations に A/B テストを実行します。B2C Commerce のネイティブの A/B テストツールは現在、Einstein Search Recommendations の A/B テストをサポートしていません。
Recommendation Validator
Brandon は Commerce Cloud Recommendations Validator で Search Recommendations の結果を検査します。
次のステップ
Brandon は、B2C Commerce に標準搭載されている簡易と高度な検索の推奨について学習しました。続いて、リアルタイムのデータに基づいてパーソナル化された推奨項目を買い物客に提示する Commerce Cloud Einstein Search Recommendations を検証しました。次は、Einstein Predictive Sort を見ていきます。
リソース