Commerce Cloud Einstein の概要
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Commerce Cloud Einstein で追跡する 3 つのタイプのデータを挙げる。
- Einstein で買い物客の体験を向上させる 3 つの方法を挙げる。
- Einstein の 2 つの検索機能について説明する。
- Einstein の Search Recommendations と Product Recommendations の違いを説明する。
Einstein とは?
Linda Rosenberg は、高級なカスタムスニーカーを扱う Cloud Kicks 社のサイト管理者です。Cloud Kicks の e コマースサイトは、Salesforce Commerce Cloud の一部である Salesforce B2C Commerce 上で実行されています。最近、Cloud Kicks の経営陣が Commerce Cloud Einstein の利点を耳にしました。そして、Linda に Cloud Kicks のサイトに導入するよう指示しました。
Linda は実際に導入する前に、Commerce Cloud Einstein がどのようなもので、会社のビジネスにどのような形で役立つのか知りたいと考えます。
Commerce Cloud Einstein は、アプリケーションに直接組み込まれた人工知能 (AI) です。Salesforce のコアプラットフォームの Einstein と同様に、B2C Commerce を使用するマーチャントが、予測インテリジェンス機能を簡単に利用でき、データサイエンティストを雇ったり、サードパーティの高価な推奨プロバイダーを使用したり、自社製のソリューションを作成したりする必要がありません。
Linda は Einstein を使用して次のことができることを知ります。
- 買い物客の行動を基に、各人ごとに商品を並び替える。
- 顧客が求めているものをすぐに見つけられるようにする。
- 購入の可能性を高める。
- あらゆる買い物客のショッピング体験をパーソナル化し、各人の体験を向上させる。
Einstein は B2C Commerce に組み込まれているため、データ収集によるショッピング体験への目立った影響はありません。Einstein を利用するための契約や別途の料金も不要です。
Einstein は組み込まれていますが、有効にして実装する必要があります。どういうことか見てみましょう。
有効化で実行する操作 |
|
---|---|
実装で実行する操作 |
|
Linda が担当する任務は有効化です。
鍵を握るのはデータ
Einstein にはデータが欠かせませんが、どのストアフロントにもデータはあります。では、どのくらいのデータが必要なのでしょうか? 2 年分のデータがあれば申し分ありませんが、ストアフロントがライブになった直後のデータでも Einstein には役立ちます。Einstein は次のデータを使用します。
- クリックストリーム
- 商品
- 注文
クリックストリームは、買い物客の行動に関する匿名データです。買い物客が次の行動をするたびに、買い物客のブラウザーから B2C Commerce サーバーに情報が送信されます。
- 商品またはページを表示する。
- 推奨項目を表示またはクリックする。
- 検索を実行したり、結果を絞り込む。
- 商品を買い物カゴに追加する。
- 商品を買い物カゴから削除する。
- 注文手続きを完了する。
次のデータが送信されます。
- タイムスタンプ
- Cookie
- アクティビティタイプ (商品の表示、ページの表示、買い物カゴへの追加、買い物カゴからの削除、注文手続きの完了、カテゴリの表示、検索の表示、カテゴリのクリック、顧客のサインアップ)
- 商品データ (現在のページの商品 ID など)
- カテゴリデータ (現在のページのカテゴリ ID など)
- 検索用語や検索の絞り込み
- IP アドレス
- ユーザーエージェント (買物客が使用しているブラウザー、バージョン、オペレーティングシステム)
Einstein はこうしたデータを集約してベンチマークの設定や分析を行い、データに基づくインテリジェントなパーソナル化を可能にします。Cloud Kicks のようなマーチャントは、次のことを実施できます。
- 推奨項目をパーソナル化する。
- 検索結果やカテゴリグリッドの並べ替えをパーソナル化する。
- 検索の新しい同義語を特定する。
- 買い物カゴを分析して、一緒に購入される頻度の高い商品を特定する。
- 買い物客に、先行入力検索ガイダンス、各人の最近の検索、頻度の高いストアフロント検索を提示する。
Commerce Cloud Einstein の機能
Linda の会社のマーチャンダイザーは、Einstein の機能を使用して、買い物客の体験をパーソナル化したり、パーソナル化に関連するタスクを自動化したいと考えています。検討している機能は次のとおりです。
機能 |
説明 |
---|---|
Commerce Insights |
買い物客、注文、商品のデータを取得して、一緒に購入される頻度の高い商品を表示します。マーチャンダイザーはこの情報を基に商品バンドル、特別提供、「おすすめコーディネート」の提案を作成できます。 |
Einstein Search Dictionaries |
サイトの検索や、検索に使用された用語でキーワードリストに載っていないものを収集し、辞書への追加を推奨します。 |
Einstein Search Recommendations |
パーソナル化された用語補完や自動修正を実行し、予測インテリジェンスを使用して、最近の検索フレーズ、よく使用される検索フレーズ、使用が増加している検索フレーズに基づいて Recommendations を提供します。 |
Einstein Predictive Sort |
予測インテリジェンスに基づいて、検索結果や商品表示グリッドを並べ替えます。 |
Einstein Product Recommendations |
個々の買い物客の体験に基づいて、パーソナル化された商品の推奨項目を提示します。 |
各人の役割
Cloud Kicks のストアフロントはすでにライブになっているため、Linda は Commerce Cloud Einstein をすぐ有効にできますが、チームで集まって計画を立てたうえで有効にすることもできます。導入の際、Linda は次の人々と協力します。
-
デベロッパー: コードやテンプレートを作成または変更してテストします。
-
マーチャンダイザー: Business Manager や Configurator を構成して結果をテストします。
業務量の推定
チームは、Cloud Kicks が求める機能の実装に要する業務量を検討します。
機能 |
開発者 |
マーチャンダイザー |
完了までの平均時間 |
---|---|---|---|
Commerce Insights |
0 |
マーケティングチームとともに定期的に確認して、商品中心の新しいキャンペーンを考案します。 |
即時 |
Einstein Search Dictionaries |
0 |
同義語の提案を承認または却下するには、Business Manager > サイト > [Merchant Tools (マーチャントツール)] > [Search (検索)] > [Search Dictionaries (検索辞書)] に移動します。 [Search (検索)] > [Search Dictionaries (検索辞書)] で [Search Preferences (検索の環境設定)] を有効にします。 [Search (検索)] > [Search Preferences (検索の環境設定)] で通知用のメールを追加します。 |
即時 |
Einstein Search Recommendations |
必須 |
検索フライアウトが存在する場合は、Business Manager で構成します。構成してテストします。 |
即時からスプリント × 2 まで、状況によって異なります。 |
Predictive Sort |
0 |
既存の並べ替えルールをコピーして、Predictive Sort に適用します。構成してテストします。 |
即時 |
Product Recommendations |
推奨項目タイプのスロットのレンダリングテンプレートを定義します。 |
Configurator で Recommender を作成します。Business Manager 内の特定のコンテンツスロットで構成し、コンテンツスロットをテストしてレプリケートします。 |
スプリント × 2 |
有効化のコンポーネント
Linda は、Cloud Kicks のデベロッパーが Einstein を有効にするサイトの準備を済ませていることを知りました。サイトの Go-Live に先駆けて、デベロッパーは Einstein を念頭に置いてテンプレートとコードを作成しています。たとえば、デベロッパーが立ち上げ前に開発したコンテンツスロットレンダリングや関連するストアフロントのテンプレートコードは、Einstein のベストプラクティスに従っています。これは朗報です!
続いて、Linda は、Commerce Cloud Einstein を有効にして実装する場合にどのコンポーネントを使用する必要があるかを理解する必要があります。
機能 |
Configurator |
開発要素 |
Business Manager |
A/B テスト |
---|---|---|---|---|
Commerce Insights |
はい |
いいえ |
いいえ |
いいえ |
Einstein Search Dictionaries |
いいえ |
いいえ |
[Search (検索)] > [Search Dictionaries (検索辞書)] で有効にします。 [Search (検索)] > [Search Preferences (検索の環境設定)] で通知用のメールを追加します。 |
いいえ |
Einstein Search Recommendations |
いいえ |
検索フライアウト |
いいえ |
いいえ |
Einstein Predictive Sort |
いいえ |
いいえ |
並べ替えルール |
はい |
Einstein Product Recommendations |
はい |
新しい推奨項目スロットレンダリングテンプレート |
Einstein Recommender を使用するための新しいスロット設定 |
はい |
実装のヒントとリソース
Commerce Cloud Einstein の実装と、Einstein によって明らかになったインサイトの活用においては、マーチャンダイザーが大きな役割を果たします。そのため、CSM が Commerce Cloud Einstein に関する知識を深めるうえで役立つリソースを教えてくれました。次のリソースは、マーチャンダイザーが買物客の体験に AI を取り入れる最適な方法を計画するうえで役立ちます。
- B2C Commerce Einstein プラットフォームの採用ワークショップ。
- Salesforce のフィールドスペシャリストが対応するアクセラレーターの 1 対 1 トレーニング (カスタマーサクセスマネージャーにお問い合わせください)。
- パートナー向けのリソース: パートナーコミュニティ > 「Commerce Cloud」 Chatter グループ。
次のステップ
この単元で Linda Rosenberg は、Commerce Cloud Einstein で収集されるデータと、Einstein によってストアフロントのショッピング体験を向上させる方法を学習しました。Commerce Cloud Einstein の機能、有効化や実装の担当者、各機能に要する業務量も検討しました。次は、有効化と実装の計画の立て方を検証します。