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固定資産のカーボンフットプリントレコードを管理する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 固定資産のカーボンフットプリントレコードの主要な項目を挙げる。
  • さまざまな燃料源のスコープ割り当てを決定する方法を説明する。
  • データセンターの排出量の計算方法を説明する。

カーボンフットプリントの概要

Sam は順調に進んでいます。排出源と固定資産のエネルギー使用量を定義し、Net Zero Cloud アプリケーションで排出量がどのように計算されるかを確認しました。次は、排出量データをカーボンフットプリントレコードに積み上げ集計することに取り組みます。Sam は固定資産のカーボンフットプリントレコードに複数の固定資産によるエネルギー使用量レコードを関連付けて、資産の単一のカーボンフットプリントを計算できます。

固定資産のカーボンフットプリントには資産の tCO₂e 排出量が表示され、その子レコードである固定資産のカーボンフットプリント項目には個々の燃料種別の tCO₂e 排出量が表示されます。そのため、Sam が 2021 年の NTO 本社の tCO₂e 総排出量を計算するためにカーボンフットプリントレコードを作成する場合、電力、天然ガス、ディーゼルなどの排出量を個別に表示するカーボンフットプリント項目も含めることができます。

Sam は手動でカーボンフットプリントレコードを作成してエネルギー使用量レコードに関連付けることもできますが、アプリケーションで自動的にそれを実行することもできます。特定期間のカーボンフットプリントレコードが存在する場合、その期間のすべての新しいエネルギー使用量レコードは自動的にそのカーボンフットプリントレコードに関連付けられます。Sam が新しいエネルギー使用量レコードを作成し、その対象期間にまだカーボンフットプリントレコードが存在しない場合、Net Zero Cloud では自動的に新しいカーボンフットプリントが作成され、エネルギーレコードが関連付けられます。これによって Sam は大幅に時間を節約できます。

メモ

Sam が作成した、または Sam が少なくとも「すべて表示」アクセス権を持っているエネルギー使用量レコードのみが、Sam が作成するカーボンフットプリントレコードに自動的に積み上げ集計されます。Sam は Salesforce システム管理者と連携することで、必要なレコードに対する「すべて表示」または「すべて変更」権限を取得できます。

Sam がエネルギー使用量レコードをカーボンフットプリントレコードに関連付けると、エネルギー使用量レコードのスコープ 1、2、3 の計算により、カーボンフットプリントレコードに合計値が自動的に表示されます。個別のエネルギー使用量レコードと同じように、Sam はすべてのカーボンフットプリントレコード種別でスコープ別の追加排出量を手動で指定することもできます。

固定資産のカーボンフットプリント

固定資産のカーボンフットプリントには次のような主要データポイントがあります。

一般情報

Sam はこのフットプリントが関連付けられる固定資産排出源、カーボンフットプリントの報告期間、全体的なライフサイクルの中でのフットプリントのフェーズ、前年の年間カーボンフットプリントレコード、監査承認状況を指定できます。また、資産排出源で使用される再生可能エネルギーの割り当て状況も選択できます。

建物の詳細

Sam は、建物のエネルギー消費原単位参照と地域の建物エネルギー原単位参照を指定できます。これは商業ビル固定資産のエネルギー消費データのギャップを解決するために使用できます (これについては次の単元で詳しく説明します)。 

このフットプリントの固定資産排出源レコードがすでに地域の建物エネルギー原単位レコードに関連付けられている場合は、同じ地域の建物エネルギー原単位レコードがカーボンフットプリントレコードに入力されます。ただし、Sam は建物のカーボンフットプリントに最も適切な建物のエネルギー消費原単位レコードを特定して、そのレコードを選択する必要があります。 

固定資産のカーボンフットプリントレコードの [建物の詳細] セクション。

温室効果ガス排出量

関連する排出源のスコープ 1 合計排出量、スコープ 2 マーケット基準の排出量合計、スコープ 2 ロケーション基準の排出量合計、スコープ 3 (上流) の合計排出量、スコープ 3 (下流) の合計排出量 (tCO₂e) の自動計算された値が表示されます。各値は基になるエネルギー使用量レコードからの値を合算することで得られます。

固定資産のカーボンフットプリントレコードの温室効果ガス排出量の結果。

合計エネルギー使用量集計

固定資産排出源の合計エネルギー消費量はキロワット時、メガワット時、ギガジュールで計算されます。また、建物による間接エネルギー消費量合計 (MWh) も表示されます。これは、電力、熱、冷房、蒸気のみによるエネルギー消費で、その他の燃料からの排出は除外されます。

固定資産のカーボンフットプリントレコードの合計エネルギー使用量集計。

再生可能エネルギー詳細

カーボンフットプリントの割り当て状況に基づいて、生成された再生可能エネルギー合計が絶対値 (kWh) と消費された総電力に対する割合の両方で表示されます。また、kWh で表された割り当て済み再生可能エネルギーも表示されます。これは、エネルギー使用量レコードで明示的に定義された再生可能エネルギーです。Sam はこれらの値を参照して、各資産で使用される再生可能で「クリーンな」エネルギー源の割合を確認できます。それによって割り当て済み再生可能エネルギーの割合を増やすという彼の目標を達成しやすくなります。 

固定資産のカーボンフットプリントレコードの再生可能エネルギー詳細。

グリッドミックスの情報

資産排出源のロケーション基準とマーケット基準の両方のグリッドミックスデータのすべての電力エネルギー使用量レコードの積み上げ集計値が表示されます。エネルギー使用量レコードと同じように、このデータは燃料源 (バイオマス、石炭、太陽光、風力、石油など) で分類されています。そのため Sam は全体像を把握することも、燃料源コンポーネントに絞り込んでそれぞれがどのように役割を果たしているかを調べることもできます。

固定資産のカーボンフットプリントレコードのロケーション基準のグリッドミックスとマーケット基準のグリッドミックスのデータ。

エネルギー使用量原単位の比較

地域の電力消費原単位の合計が表示され、さらに電力消費の地域の原単位と関連カーボンフットプリント項目の原単位の割合の差が表示されます。Sam はこの情報を使用して特定の固定資産とその地域の平均電力消費にどの程度の差があるかを把握できます。差が大きすぎる場合は、建物のエネルギー効率を高める必要があるかもしれません。

固定資産のカーボンフットプリントレコードのエネルギー使用量原単位の比較。

データ品質メトリクス

今年と前年の平均月間電力使用量と、平方メートルと平方フィートの両方で計算されたエネルギー消費原単位が表示されます。その他に確認すべき便利な値は、平均電力消費量を超える差異と下回る差異の最大値のパーセント表示です。これは Sam が季節性の影響を理解し、データの異常を見つけるのに非常に役立ちます。

固定資産のカーボンフットプリントレコードのデータ品質メトリクス。

フットプリント項目

カーボンフットプリントの固定資産のカーボンフットプリント項目には個別の燃料種別データが含まれています。前の単元の例を使って、Net Zero Cloud でデータがどのように積み上げ集計されるかを見てみましょう。

3 つのカーボンフットプリント項目。各項目は異なる燃料種別のもので、固定資産の親カーボンフットプリントに関連付けられている。

次の表は、カーボンフットプリント項目では燃料種別に基づいてデータが積み上げ集計され、カーボンフットプリントではすべての燃料種別を合わせたエネルギー消費量に基づいてデータが積み上げ集計されることを示しています。

固定資産排出源

固定資産によるエネルギー使用量

燃料種別

固定資産のカーボンフットプリント項目

固定資産のカーボンフットプリント

NTO Office Headquarters Miami (NTO マイアミ本社)

Record A (レコード A)

Electricity (電力)

CFI for Electricity (電力のカーボンフットプリント項目)

CF for Miami Headquarters (マイアミ本社のカーボンフットプリント)

NTO Office Headquarters Miami (NTO マイアミ本社)

Record B (レコード B)

Diesel (ディーゼル)

CFI for Diesel (ディーゼルのカーボンフットプリント項目)

CF for Miami Headquarters (マイアミ本社のカーボンフットプリント)

NTO Office Headquarters Miami (NTO マイアミ本社)

Record C (レコード C)

Refrigerant (冷媒)

CFI for Refrigerant (冷媒のカーボンフットプリント項目)

CF for Miami Headquarters (マイアミ本社のカーボンフットプリント)

固定資産のカーボンフットプリント項目レコードには次の主要情報があります。

  • 燃料種別による合計排出量 (tCO₂e)。
  • 燃料種別の合計エネルギー消費量。基となる燃料が電力でない場合でも kWh 換算で表されます。
  • 燃料種別の今年と前年のエネルギー消費原単位。

燃料種別が電力である固定資産のカーボンフットプリント項目レコードの原単位メトリクス。

スコープとは?

入力された各エネルギー消費量レコードには、燃料種別と資産の所有権に基づいて排出量が記録されるデフォルトのスコープがあります。資産の所有権は資産のレコードの [会社所有資産] チェックボックスによって決まります。関連するエネルギー使用量レコードはこの状況を資産から継承しますが、上書きすることもできます。

さまざまな燃料種別と、報告する会社が資産を所有しているかリースしているかによって Net Zero Cloud でどのようにデフォルトスコープの割り当てが実行されるかについては、「Stationary Asset Energy Use (固定資産によるエネルギー使用量)」を参照してください。 

温室効果ガスプロトコル指針に基づく一般的な割り当てがありますが、カーボンアカウンティングの世界では例外が頻繁に発生します。Sam が特定の資産排出源のデフォルトのスコープ割り当てを変更する必要がある場合があります。たとえば、NTO が建物を所有しており、ほとんどの燃料はスコープ 1 であると見なす一方で、機器はリースしており、機器による排出量はスコープ 3 とみなす場合があります。通常、このような判断は経験豊富なコンサルタントの協力を得て行われます。

Net Zero Cloud のデフォルトのスコープ割り当てはスコープの割り当て機能を使用して上書きできます。Sam は特定の燃料種別の排出量を集計するスコープを割り当てることができます。これを行うには、新しい炭素排出量スコープの割り当てレコードを作成し、手動で各燃料のスコープへの割り当てを設定してから、新しい炭素排出量スコープの割り当てレコードを資産に割り当てます。スコープの割り当てを使用することで、Net Zero Cloud ユーザーは非常に柔軟に GHG 排出量を把握できます。

炭素排出量スコープの割り当てレコードに関連付けられた 2 つの炭素排出量スコープの割り当て値レコード。電力とディーゼルのスコープ定義を示している。

資産排出源としてのデータセンター

NTO は小売企業であるため、データセンターを運営していません。ただし、データセンターを持つ企業もあり、その場合はデータセンターを固定資産排出源として定義する必要があります。Net Zero Cloud でデータセンターが特別なケースとみなされるのは、施設での合計電力使用量が IT 機器の既知の電力消費量から推定されるためです。 

Salesforce システム管理者は資産のレコード種別を設定することができ、商業用建物と同じようにデータセンターの情報を取得できます。排出量の計算は大部分が同じですが、2 つの大きな違いがあります。

  • データセンター資産排出源の固定資産によるエネルギー使用量レコードの燃料種別が電力の場合、ユーザーは [PUE (電力使用効率)] 項目の値を指定する必要があります。これは通常 1 ~ 2 の値で、コンピューティング機器のみに供給されたエネルギー量に対するデータセンターで使用された合計エネルギー量の比率です。計算された排出量にこの値を掛けて、電力の tCO₂e が計算されます。その他の燃料種別の場合は、計算された排出量に変更はありません。
    データセンターの固定資産によるエネルギー使用量レコードの [PUE (電力使用効率)] 項目。
    そのため、データセンター資産の場合、合計燃料消費量 (kWh) = 燃料消費量 (kWh) * PUE となります。

  • その他の排出係数セットでは、データセンターの冷媒漏洩率の値が kg/IT kWh で表示されます。これは、データセンターのコンピューティング機器を冷却するために使用される冷媒の漏洩率を指定するものです。
    別の排出係数セットレコードの [データセンターの冷媒漏洩率] 項目。

固定資産のカーボンフットプリントレコードでは、関連付けられた資産がデータセンターである場合は、次の値が自動的に計算されます。

  • データセンターの平均 PUE (電力使用効率)
  • データセンターの IT ディーゼル消費原単位 (kWh/IT kWh)
  • データセンターの前年 PUE (電力使用効率)

データセンターの固定資産のカーボンフットプリントレコードの自動計算された項目。

Sam は固定資産のカーボンアカウンティングとその計算について学習しました。次の単元では、Sam が Net Zero Cloud を使用してカーボンフットプリントデータのギャップを補足する様子を見ていきましょう。

リソース

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