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建物のエネルギー消費原単位のベンチマークを使用してカーボンフットプリントデータのギャップを補足する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • カーボンフットプリントレコードで発生する可能性のあるデータギャップを挙げる。
  • 建物のベンチマークについて説明する。
  • カーボンフットプリントのギャップを補足する手順を挙げる。

データがなくても大丈夫

NTO は世界中に多くの建物を持っています。その建物の冷暖房にはいくつかのエネルギー源を使用していて、発電用の装置や機器も使用しています。前の単元で学習したように、Net Zero Cloud ではエネルギー使用量レコードを使用してカーボンフットプリントを計算しています。Sam は公共料金の月次請求書を使用して資産のエネルギー消費量データを取得し、そのデータを Net Zero Cloud にエネルギー使用量レコードとして入力します。 

ただし、問題があります。NTO の建物のいくつかで数か月分の電気料金の請求書がないのです。そのため、Sam がその月の合計エネルギー消費量を知る方法がありません。 

エネルギー使用量データにギャップがあるとカーボンフットプリントアカウンティングが不正確になり、その結果、年間排出インベントリが正しくなくなる可能性があります。正確な持続可能性影響報告のためには、信頼できる監査可能なカーボンインベントリがどうしても必要です。 

エネルギー使用量データにギャップが発生する状況には次のようなものがあります。 

  • エネルギー消費量データの欠落: エネルギー消費の月次請求書がないか、何らかの理由でデータを使用できない。
  • 孤立したエネルギー使用量レコード: 報告年と組織資産はカーボンフットプリント (CF) レコードと共通しているがまだ CF レコードにリンクされていないエネルギー使用量レコード。
  • 日付の問題: 2 つ以上のエネルギー使用量レコードが同じ報告期間を対象としているが日付に問題がある。たとえば、開始日や終了日がない、開始日や終了日が同じ報告期間の範囲外である、開始や終了日が重複しているなどです。

では Sam はどうすればよいのでしょうか? 幸い、Net Zero Cloud には、すばやく簡単にカーボンフットプリントデータのギャップをインテリジェントに特定して補足する方法があります。Sam は業種ベンチマークを使用するか、カスタムベンチマークを作成することができます。

メモ

データギャップ補足は [商業ビル] レコードタイプの固定資産でのみ使用できます。固定資産の初期設定の一環として、Salesforce システム管理者は [商業ビル] レコードタイプを作成します。(システム管理者の設定についての詳細は「Configure a Net Zero Cloud Org (Net Zero Cloud 組織の設定)」プロジェクトを参照してください。)

建物のエネルギー消費量のベンチマークを使用する

Net Zero Cloud ではエネルギー使用量データの欠落を補足するために次のベンチマーク手法の使用がサポートされています。 

業種ベンチマークを使用する 

商業建物エネルギー消費量調査 (CBECS) はエネルギー関連の建物の特性や米国の商業用建物のエネルギー使用量データの調査と収集を行う全国標本調査です。米国エネルギー情報局 (EIA) が CBECS の結果を公開しています。

参照データとして Salesforce システム管理者は CBECS 業種ベンチマークデータを地域の建物エネルギー原単位データレコードに読み込みます。

独自のベンチマークを作成して使用する

Sam は Net Zero Cloud の BEI Builder を使用して、ベンチマークを計算し、NTO のすべての建物の平均エネルギー使用量に関するインサイトを作成できます。さらにそのベンチマークを使用してエネルギー使用量データが欠落している建物のギャップを補足することができます。数値は建物のエネルギー消費原単位 (BEI) データレコードに保存されます。BEI は 1 年あたりの kWh/sqft または kWh/m² で測定されます。

BEI Builder を使用して建物のエネルギー消費原単位レコードを作成する

BEI Builder のガイドに従って Sam は NTO の商業ビルの BEI レコードを作成できます。既存のエネルギー使用量レコードのエネルギー消費量値を平均することによってベンチマークが計算されます。 

サンプルデータが表示された BEI Builder ページ。

メモ

Sam が作成した、または Sam が少なくとも「View All Records (すべてのレコードの参照)」アクセス権を持っているエネルギー使用量レコードのみが、Sam が作成する BEI レコードに自動的に取り込まれます。Sam は、Salesforce システム管理者と連携することで、すべての必要なレコードに対する「View All Records (すべてのレコードの参照)」または「Modify All Records (すべてのレコードの編集)」権限を取得できます。

特定の検索条件を満たすエネルギー使用量レコードが BEI の計算の対象となります。その条件を確認しましょう。

平均化期間開始日平均化期間終了日

エネルギー使用量レコードはこの 2 つの日付で定義される期間に属する必要があります。 

建物の規模カテゴリ 

エネルギー使用量レコードは、建物の規模カテゴリレコードで定義される範囲の延床面積を持つ資産のものである必要があります。詳細は「建物の規模カテゴリレコードの作成」を参照してください。

建物の規模カテゴリレコード。

メモ

BEI Builder では、エネルギーの消費に使用されている空間に対して使用量を推定するために、BEI の計算に占有床面積が使用されます。 

床面積値は資産の対応する固定資産排出源レコードから取得されます。

床面積が強調表示されている固定資産排出源レコード。

建物資産種別

建物は [建物資産種別] で定義された資産種別である必要があります。資産種別は [オフィス]、[レストラン]、[ホテル] のいずれかです。

メモ

資産のレコードタイプが、固定資産種別 - [商業ビル] に対応付けられていることを確認します。

地域

建物は [Geographical Area (地域)] で定義されたビジネス地域または国のものである必要があります。

建物のエネルギー消費量は地域に特有の気候やその他の外部要因によって異なる場合があります。そのため、地域情報はデータギャップ補足に使用される個別ベンチマークを作成するために重要です。

データギャップ補足プロセス中に作成されたエネルギー使用量レコードを含める場合は、[システム生成エネルギー使用量レコードを含む] を選択できます。

[Create (作成)] をクリックすると、バックエンドで BEI を計算してレコードを作成する建物のエネルギー消費原単位データ処理ジョブが実行されます。Salesforce システム管理者はこのデータ処理エンジンジョブテンプレートをすでに有効にしています。BEI の計算についての詳細は、「Building Energy Intensity (建物のエネルギー消費原単位)」を参照してください。

CBECS と BEI のどちらを使用するか

データギャップの補足に業種ベンチマーク (CBECS) データと独自のベンチマークのどちらを使用するかは組織の要件や好みによって決まります。たとえば、CBECS は政府機関によって検証された信頼できるデータであるため、組織は米国の建物には CBECS を選択できます。特定の燃料種別や地域の CBECS データがない場合や独自のベンチマークを使用したい場合は BEI を使用します。

Sam が Net Zero Cloud を使用して、1 つの CF レコードのデータギャップを特定して補足する手順を見ていきましょう。

Net Zero Cloud を使用してカーボンアカウンティングのデータギャップを補足する

まず Sam はカーボンフットプリントレコードのアクションメニューから [データギャップを補足] を選択します。ウィザードが起動されます。Net Zero Cloud のデータギャップ補足は 3 ステップのプロセスです。

カーボンフットプリントレコードで選択された [データギャップを補足] メニューオプション。

ステップ 1.孤立したエネルギー使用量レコードをカーボンフットプリントレコードに関連付ける

最初のページには、CF レコードの報告年と組織の資産に一致しているがこの CF レコードにも他の CF レコードにも関連付けられていないエネルギー使用量レコードのリストが表示されます。 

関連付けられていないエネルギー使用量レコードのリストが表示されている [エネルギー使用量をカーボンフットプリントに関連付け] ウィンドウ。

Sam はリストを確認し、CF レコードに関連付ける必要があるレコードを選択し、[Save (保存)] をクリックします。選択したレコードは CF レコードに関連付けられ、リストから削除されます。

メモ

Sam が作成した、または Sam が少なくとも「View All Records (すべてのレコードの参照)」アクセス権を持っているエネルギー使用量レコードのみが、リストに表示されます。

Sam は [Next (次へ)] をクリックして次のステップに進みます。 

ステップ 2.エネルギー使用量レポートの日付を修正する

次のページには、CF レコードに関連付けられているが日付に問題があるエネルギー使用量レコードのリストが表示されます。 

日付に問題がある関連付けられたエネルギー使用量レコードのリストが表示されている [エネルギー使用量レポートの日付を修正] ウィンドウ。

デフォルトでは、このリストには該当するレコードがすべて表示されますが、Sam は特定の問題があるレコードのみを表示することもできます。たとえば、日付が欠落しているレコードを表示するには、[日付がありません] チェックボックスのみをオンにして [検索] をクリックするとリストが更新されます。 

Sam は日付を修正して [Save (保存)] をクリックし、[Next (次へ)] をクリックして最後のステップに進みます。

ステップ 3.エネルギー使用量データが欠落している燃料種別にエネルギー使用量レコードを作成して関連付ける

ステップ 1 と 2 で Sam は CF レコードに関連付けられていないエネルギー使用量レコードを関連付け、関連付けられているエネルギー使用量レコードの日付の問題を修正できました。最後のステップではデータギャップを補足します。

Sam はデータギャップを補足する燃料種別と補足方法を選択する必要があります。彼は燃料種別には [冷房]、補足手法には [地域の建物エネルギー原単位] を選択します。このページには、その期間のデータが欠落しているレコードエントリが表示され、[データを補足 (kWh)] には推奨値が表示されます。 

燃料種別 [冷房] で新しく作成するエネルギー使用量レコードのエントリが表示されている [データギャップを補足] ウィンドウ。

補足方法が [地域の建物エネルギー原単位] の場合、Net Zero Cloud では事前に読み込まれた CBECS データの原単位値が使用されます。

この補足方法は地域の BEI レコードが CF レコード ([地域の建物エネルギー原単位] 項目) に関連付けられている場合のみ使用できます。[地域の建物エネルギー原単位] 項目が強調表示されている [建物の詳細] セクション。

このページのレコードエントリには、自動的に作成されるエネルギー使用量レコードの詳細が表示されます。Sam は燃料種別ごとに目的のエントリを選択し、変更を保存してから [完了] をクリックします。 

対応するエネルギー使用量レコードが作成されます。Sam は各レコードの [データギャップ補足の監査情報] セクションの [システム生成レコード] チェックボックスがオンになっていることに気付きます。 

エネルギー使用量レコードの [データギャップ補足の監査情報] セクション。

他の CF レコードでも Sam は同様にデータギャップと矛盾の確認、特定、修正を行います。 

他の補足方法を選択した場合に Net Zero Cloud で推奨値がどのように計算されるかを見ておきましょう。 

建物のエネルギー消費原単位: Sam が BEI Builder を使用して作成した原単位値が使用されます。

この補足方法は BEI レコードが CF レコード ([建物のエネルギー消費原単位] 項目) に関連付けられている場合のみ使用できます。 [建物のエネルギー消費原単位] 項目が強調表示されている [建物の詳細] セクション。

前年の日次平均: 前年の平均日次エネルギー消費量データが計算されて使用されます。この方法は、CF レコードの [前年の年間カーボンフットプリント] 項目に前年の CF レコードが関連付けられており、選択された燃料種別のエネルギー使用量レコードが 1 つ以上存在する場合のみ使用できます。 

カーボンフットプリントレコードの [前年の年間カーボンフットプリント] 項目と関連付けられた参照。

今年の日次平均: 今年の平均日次エネルギー消費量データが計算されて使用されます。この方法は選択した燃料種別のエネルギー使用量レコードが 1 つ以上存在する場合のみ使用できます。

手動: Sam はギャップを手動で補正するためのエネルギー使用量データを入力する必要があります。 

ディーゼル燃料種別に作成されるエネルギー使用量レコードのエントリが表示されている [データギャップを補足] ページ。

次に Sam は車両資産でのカーボンアカウンティングのしくみを学習しようとしています。次の単元で見ていきましょう。

リソース

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