キャンペーンを使用したエンゲージメントの追跡
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Salesforce のキャンペーンとは何かを定義する。
- 非営利団体でのキャンペーンの使用例を挙げる。
- キャンペーンレコードの重要なセクションを特定する。
- Salesforce でキャンペーンを実行するための準備をする。
支持者を動員!
最近選出された数名の市会議員が、No More Homelessness (NMH) で「敵対的」とみなす建造物を設置する法案を提出しました。具体的には、傾斜したベンチなど野宿防止を目的とする設計特性を備えた建造物です。
地域でホームレス問題に直面している人々への支援に取り組む (架空の) NMH 非営利団体では、こうした建造物を設置しても問題の根本的原因の解決にはならず、すでに困窮している人々の生活を悪化させることにしかならないと考えています。法案通過を阻止するために NMH は支持者を動員し、同案が地域のホームレス問題への効果的な対応策にはならないと市議会に訴えることにします。
チームは、クライアント、ボランティア、熱心なサポーターらが活動や支援の実施方法について学ぶ意識向上キャンペーンやトレーニングワークショップの企画に熱心に取り組んでいます。こうした活動はコミュニケーション・アドボカシーチームが主導する NMH 団体全体の取り組みで、活動を支える資金集めも平行して行われます。では、この団体が Salesforce のキャンペーンを使用して、No More Hostile Architecture (敵対的建造物の阻止) イニシアチブを調整するところを見ていきましょう。
キャンペーンとは?
キャンペーンとは、特定の目標に向けて人々の行動を促す計画的な一連のデジタルあるいはアナログのコミュニケーションで、たとえば、特定の候補者や議案への投票、ボランティア活動、寄付、トートバッグの購入などを市民に呼びかけます。
Salesforce では、こうした取り組みをキャンペーンオブジェクトで追跡して管理できます(オブジェクトについて復習が必要な場合は、先に進む前に「リソース」の「Nonprofit Success Pack (NPSP) の基本」のリンク先を参照してください)。
NMH では、Salesforce や Nonprofit Success Pack (NPSP) のキャンペーンを使用して、活動資金集めやアドボカシーに関するコミュニケーション、イベントへの参加、ボランティアのシフトの登録などを追跡しています。そして、地域の敵対的建造物を阻止する活動の立ち上げにもキャンペーンを活用します。
キャンペーンを使用するメリット
NMH のスタッフのほぼ全員が何らかのキャンペーンを実施しており、NPSP のキャンペーン管理テクノロジーの恩恵を受けていると考えられます。
開発チームは、メール、ダイレクトメール、ソーシャルメディア、対面イベントやデジタルイベントによる継続的な活動資金集めキャンペーンを管理しています。こうしたキャンペーンを作成して常時確認するだけでなく、毎年年末に実施する (特に人手を要する) 大規模なアピールも管理します。新しい建物の購入資金を調達するため、チームはキャピタルキャンペーンを実行し、団体初となるガライベントを開催する予定です。そしてもちろん、アドボカシーには費用がかかるため、敵対的建造物の問題の費用を調達する活動資金集めキャンペーンもテストしています。
NMH のコミュニケーション・アドボカシーチームは、NMH のステークホルダーと緊密に連絡を取り合っています。コミュニケーションが自然に発生することもありますが、チームは、コミュニティ-パートナーグループへの戦略的アウトリーチを開拓するためにかなり努力しています。NMH のプログラムチームと協力してメールやコミュニティイベントで啓発キャンペーンを実施し、その際に新たなボランティアや支援者が見つかることも少なくありません。今後の支援トレーニングワークショップも忘れてはいけません。プログラムチームがトレーニング資料の作成や当日の手配を担当する一方で、関心の喚起、参加者の招待、出欠確認やイベントの事前情報の管理はコミュニケーション・アドボカシーチームが担います。
どのチームもキャンペーンの種別項目を使用して、キャンペーン情報が活動資金集め、イベント、マーケティング、アドボカシー、ボランティアのどの活動に関連するかを示しています。NMH の優秀な Salesforce システム管理者である Gorav Patel も、各チームから要件を聞き取って、キャンペーンの種別ごとにカスタム項目やプロセスの自動化を追加しています。
現在では各人のツールがそれぞれのニーズに応じた設定になっているため、標準の項目やプロセスで間に合わせる必要がなくなりました。
キャンペーンレコードの構造
NPSP のキャンペーンを使用するメリットがわかったところで、次は個々のキャンペーンレコードを見ていきましょう。
キャンペーンレコードには、特定のキャンペーンに関連する重要な情報が保持されます。たとえば、キャンペーン名、コスト、開始日と終了日、ミーティング、郵送、電話、キャンペーンを管理するために必要なその他の ToDo や活動などです。
また、キャンペーンに関連する人々に関する重要な情報にも結び付けられています。たとえば、リードまたは取引先責任者としてキャンペーンに追加する予定の人々の連絡先情報、リードと取引先責任者の合計数、レスポンス率などです。活動資金集めアピールについては、キャンペーンレコードに確約済みまたは収集済みの支援の集計を表示できます。
では、NMH の活動資金集めキャンペーンレコードの 1 つを見てみましょう。
強調表示パネル (1)
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キャンペーンの重要な情報を一目で確認できます。団体にとって最も関連性の高い情報が表示されるように、Salesforce システム管理者がここに表示される内容をカスタマイズします。 |
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関連リストのクイックリンク (2)
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キャンペーンに関連するオブジェクトをすばやく表示して、アクションを実行します。ユーザーアイコンからアクセスできる個人設定で、ここに表示されるリンクをパーソナライズします。 |
キャンペーン詳細 (3)
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キャンペーン名、種別、状況、日付、予算などの項目。キャンペーンのこれ以外の情報を追跡したい場合は、Salesforce システム管理者にカスタム項目の追加を依頼します。キャンペーンに関連付けられた他の重要なレコードとデータを表示するには、[関連] をクリックします。 |
活動タイムライン (4)
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キャンペーンに関連する ToDo、ミーティング、電話、手紙、メール、その他のアクション。 |
関連セクション (5)
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各セクションにはキャンペーンに関する追加の情報が強調表示されます。団体によっては、ここに支援に関するデータ、キャンペーンメンバー、関連キャンペーンの集計データが含まれる場合もあります。 |
関連情報と共にコピー (6)
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このボタンを使用すると、キャンペーンレコードと一緒にキャンペーンメンバーのカスタム状況などの関連レコードのコピーを作成できます (この機能については次の単元で説明します)。よく似たキャンペーンをいくつか作成するときにこのボタンを使えば時間を節約できます。 |
キャンペーン作成の準備
キャンペーンには多少の設定が必要ですが、キャンペーンデータを入力する前に周到な計画を立てておけば、この強力なオブジェクトとその関連機能を最大限に活用できます。実装にあたっては、次の点を考慮してください。
Salesforce におけるキャンペーンライフサイクル全体を把握する
キャンペーンがライフサイクル全体を進行する場合は通常、次の 5 つのステップを実施します。
- キャンペーンを作成する。
- 対象受信者 (あるいはキャンペーンメンバー) のリストを作成する。
- キャンペーンを実行する。
- レスポンスを追跡する。
- キャンペーンの効果を分析する。
現時点で各ステップの管理方法を理解している必要はありませんが、各フェーズのキャンペーンについて検討を始めるとよいでしょう。準備ができたら、各ステップを進めるうえで役に立つリソースを確認します。ここで行うのは準備のみです。
キャンペーンを作成して管理するための権限を取得する
Salesforce の常として、キャンペーンやキャンペーンレコードに対するアクセス権は、Salesforce システム管理者が管理するプロファイル権限や共有設定で制御されます。ほとんどの非営利団体では、全員がキャンペーンとキャンペーンデータを参照できますが、キャンペーンレコードの作成や編集はできない場合があります。キャンペーンを管理するためには、Salesforce システム管理者がマーケティングユーザーオプションを有効にする必要があります。
この権限があるかどうかを確認するには、ユーザーアイコンをクリックして、[設定] をクリックします。[私の個人情報] メニューセクションで、[高度なユーザーの詳細] をクリックします。このページで [マーケティングユーザー] チェックボックスを探します。これがオンであれば、問題ありません! 次へ進み、キャンペーンの作成および変更方法を学習します。業務でキャンペーンを作成する必要があるのに、このチェックボックスがオフになっている場合は、システム管理者に連絡してください。
命名規則を決める
名前に一貫性があれば、チームの各人がキャンペーンを簡単に見つけて参照し、レポートを作成することができます。まず、実行するキャンペーンの種別と、キャンペーン同士がどのように関連するかを検討します。「1 回限りのキャンペーンか、連続的なものか?」、「キャンペーンを必要に応じて実施するのか、定期的なスケジュールに従って反復的に行うのか?」、「メールなどの 1 つのチャネルのみを使用するのか、それともソーシャルメディア、ダイレクトメール、ラジオでの告知など各種のチャネルを組み合わせるのか?」といった点を判断します。
NMH では、予定されているアドボカシートレーニングワークショップに関連するキャンペーンレコードの標準形式を [種別]: [月] [年] - [簡単な説明] にすることにします。たとえば、次回のアドボカシートレーニングワークショップは Event: June 2021 - Advocacy Training Day (イベント: 2021 年 6 月 - アドボカシートレーニングデー) で、計画している活動資金集めアピールは Direct Mail: Feb 2021 - NMHA A (ダイレクトメール: 2021 年 2 月 - NMHA A) になります。
また、キャンペーンをキャンペーン階層に分類して整理するために、親キャンペーン用と子キャンペーン用 (次回のアドボカシートレーニングワークショップなど) の 2 つの標準が必要です。NMH の親キャンペーンには方略を示す全体的かつ説明的な名前を付けて年を付記し、子キャンペーンは [種別]: [月] [年] - [簡単な説明] 形式にします。たとえば、予定されている一連のワークショップの親キャンペーンは、Advocacy Training Days 2021 (2021 年アドボカシートレーニングデー) です。他方、子キャンペーンは Event: June 2021 - Advocacy Training Day (イベント: 2021 年 6 月 - アドボカシートレーニングデー) になります。
親キャンペーンとそれらを使用してキャンペーン階層を作成する方法について、次の単元で説明します。
リソース
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Trailhead: Nonprofit Success Pack (NPSP) の基本
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動画: NPSP ハウツーシリーズ: キャンペーンへのアクセスの許可
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Salesforce ヘルプ: キャンペーンのライフサイクル