適切な自動化ツールを選択する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Lightning フローに含まれているツールを挙げる。
- ガイド付き視覚的環境の自動化に使用できるツールについて説明する。
- バックグランドでの自動化に使用できるツールについて説明し、比較する。
- 承認の自動化に使用できるツールについて説明する。
顧客は自動化を期待している
映画のチケットの購入や請求書の支払い、レストラン予約の変更など、操作の種類に関わらず、企業とのやりとりに顧客はシームレスでパーソナライズされた環境を期待しています。
たとえば、クレジットカードの再発行が必要な場合、サービスエージェントには多くの情報が必要になります。破損したのか、紛失したのか、または盗難なのか? 盗難の場合、最近の取引について心配しているのか? 新しいカードをどこに郵送したらいいのか? このような状況で顧客に対応し、関連データを収集して維持するには、複雑度が異なるさまざまなシステムが関係する場合があります。
かつては困難だった自動化
これまで、シームレスで自動化されたカスタマーエクスペリエンスの提供は、難しくて時間がかかり、大量のコードを書く必要がありました。ビジネスプロセスの性質によっては、次のことを行う必要がありました。
- さまざまなシステムを統合する。
- プロセスのロジックを設定する。
- エンドユーザ環境を設計し、構築する。
- デスクトップ、モバイルデバイス、内部アプリケーション、または外部ポータルなど、どこからでも利用できるようにする。
Lightning フローの概要
Lightning フローは、すべての Salesforce アプリケーション、環境、ポータルで宣言型プロセスの自動化を実現します。
Lightning フローには、プロセスを作成するためのプロセスビルダーとフローを作成するための Flow Builder という 2 つのポイント & クリック自動化ツールが含まれています。
これらには次の違いがあります。
- Lightning フローは製品名。
- プロセスビルダーと Flow Builder はツール名。
- プロセスを作成する場合はプロセスビルダーを、フローを作成する場合は Flow Builder を使用する。
どのような場合に各ツールを使用するのかについては後で説明しますが、ここでは、各ツールにビジネスプロセスがどのように表示されるのかを紹介します。
プロセスビルダー

Lightning フローでは、これら 2 つのツールを使用して次のような操作を簡単に行うことができます。
使用事例 | Lightning フローの機能 |
---|---|
画面を含むガイド付きチュートリアルまたはウィザードを作成する。 | Flow Builder には、テキストボックス、ラジオボタン、ファイルのアップロードなど、標準で含まれている画面コンポーネントがあります。提供されている以外の項目が必要な場合は、画面にカスタム Lightning コンポーネントを追加します。 |
自動タスクおよびプロセスを設定する。 | プロセスビルダーまたは Flow Builder のいずれかを使用して、ビジネスプロセスのロジックとアクションを宣言的に設定します。必要に応じて、カスタム Apex コードを作成して機能上の差異を補完できます。 |
外部システムに接続する。 | プラットフォームイベントを使用して、Salesforce 組織と外部システム間で変更を伝達する。 プロセスビルダーと Flow Builder では、プラットフォームイベントメッセージの応答と送信ができます。さらに、Flow Builder では、外部サービスを使用してサードパーティシステムからデータを取得できます。 |
ページおよびアプリケーションに自動化を追加する。 | レコードが変更された、またはユーザが特定のボタンをクリックするなど、適切なアクションが起こったときに、バックグランドでプロセスが開始されることを確認します。 ガイド付き視覚的環境を構築したら、それを Lightning ページ、コミュニティページ、Lightning アプリケーションのユーティリティバーなどに追加します。 |
作成したものを再利用する。 | Flow Builder では、どのフローもサブフローとして使用できます。 プロセスビルダーでは、呼び出し可能なプロセスを作成して、そのプロセスのロジックまたはアクションを他のビジネスプロセスで再利用します。 |
使用事例に適切な自動化ツール
結局のところ、プロセス駆動型環境は 1 つのプロセスのみで支えられているわけではありません。顧客に影響を与え得る、組織内のビジネスプロセスをすべて組み合わせたもので成り立っています。各ビジネスプロセスは通常、次のいずれかに当てはまります。
ビジネスプロセスの種類 | 説明 | 使用可能なツール |
---|---|---|
ガイド付き視覚的環境 | 従業員または顧客など、ユーザによる入力が必要なビジネスプロセス。 | Flow Builder |
バックグラウンドの自動化 | 必要なデータはすべて Salesforce 組織または接続システムから取得するビジネスプロセス。つまり、ユーザ入力は必要ありません。 |
プロセスビルダー Flow Builder Apex |
承認の自動化 | 休暇申請などのレコードが適切な関係者によってどのように承認されるかを判断するビジネスプロセス。 | 承認 |
プロセス、フロー、および Apex
システム管理者や開発者が考えなければならない最も難しいことの 1 つは、目下のジョブにいつどのツールを使用するかということです。一般に、最適なのはコードを使用しない宣言型のツールで始め、徐々に進めながら最終的にコードソリューションを使用するというやり方です。
プロセスビルダー
バックグラウンドのビジネスプロセスを自動的に開始する必要がある場合は、プロセスビルダーを使用します。プロセスは次のタイミングで開始します。
- レコードが作成されたとき
- レコードが更新されたとき
- プラットフォームイベントが発生したとき
Flow Builder
Flow Builder は次のような目的に使用します。
- ガイド付き視覚的環境を自動化する。
- バックグラウンドプロセスにプロセスビルダーで使用可能な機能以外の機能を追加する。Flow Builder を使用してより複雑な機能を作成し、プロセスからそのフローをコールする。
- バックグラウンドのビジネスプロセスを開始するタイミング:
- ユーザがボタンなどをクリックしたとき
- レコードを作成したとき
- レコードを更新したとき
- プラットフォームイベントが発生したとき
- 指定した時間と頻度
たとえば、商談が成立したときに、更新商談が自動的に作成されるようにします。このモジュールの後半で説明するように、この使用事例の一部はプロセスとして作成できますが、残りはフローで作成する必要があります。
Apex
プロセスビルダーや Flow Builder の標準機能以外の機能が必要な場合には、Apex を使用します。この場合は、呼び出し可能な Apex メソッドとして、より複雑な機能を作成します。作成した Apex をプロセス内の Apex アクションとして、またはフロー内の Apex アクション要素としてコールします。
次は、いくつかのサンプルシナリオを参照しながらこれらの原則をどう実践するかを確認しましょう。
サンプルシナリオ
シナリオ | ツール | 作成するもの |
---|---|---|
コミュニティメンバーがステップバイステップウィザードのガイドに従って新しいクレジットカードを申請する。 | Flow Builder | フロー |
営業担当が商談のボタンをクリックすると、割引計算機能が起動する。 | Flow Builder | フロー |
取引先が更新されたら、その取引先に関連するすべての取引先責任者を更新する。 | プロセスビルダーまたは Flow Builder | プロセスまたはフロー |
ある商談フェーズが更新されたら、カスタムチェックボックス項目も更新する。 | プロセスビルダーまたは Flow Builder | プロセスまたはフロー |
プラットフォームイベントが発生したらタスクを作成する。 | プロセスビルダーまたは Flow Builder | プロセスまたはフロー |
一定時間が経過したら、または指定時間になったら、Salesforce のリードレコードを更新する。 | プロセスビルダー | プロセス |
商談が完了したら、自動的に更新商談を作成する。 | Flow Builder | フロー |
従業員の休暇申請を承認のためにマネージャに転送する。 | 承認 | 承認プロセス |
承認プロセスとは?
ここにもう 1 つツールを加えてみました。承認は Lightning フローには含まれていませんが、Lightning フローではできない操作を自動化する宣言的方法です。とは言っても、Lightnining フローは、レコードの承認申請方法の自動化はサポートしています。承認については、このモジュールの後半で詳しく説明します。
ワークフロールールはどうするか?
まだワークフローを使用していない場合、まず、プロセスビルダーと Flow Builder を確認してください。機能が追加されていて、より多くのことができます。さらに、Flow Builder には、バックグラウンドでの自動化のためのさまざまな新機能があります。
ワークフローについての詳細は、Salesforce ヘルプを参照してください。