パイプラインエンジンを構築する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ビジネスパイプラインを定義する。
- パイプラインと年間契約金額がどのように関連しているかを説明する。
- パイプラインを拡大、測定、維持する方法を挙げる。
ビジネスパイプラインとは?
パイプラインとは、営業チームが取り組んでいるすべての商談の合計金額 (ドル) です。パイプラインは Salesforce の商談レコード内で追跡されます。ここでは、取引先の名前、取引先チームの名前、商談の規模、成立予定日、顧客が関心を寄せている商品、取引先担当者など、すべての詳細が管理されています。すべての商談を合計すると、パイプラインの総額を算出できます。
パイプラインを重視することが ACV を生み出す
年間契約金額 (ACV) は、パイプラインの構成要素の中で営業チームとマーケティングチームが実際に影響を与えることができる部分です。営業担当には ACV に基づいて報酬が支払われるため、ACV は成果を具体化できる部分となります。既存の契約数も、離脱率もわかっています。目指すターゲットは、四半期ごとの ACV 契約です。
では、ACV の最も重要な指針は何でしょうか? それはパイプラインです。パイプラインは、予測の正確性と説明責任を向上させる要因となります。この 2 つが密接に絡み合っているのはそのためです。パイプラインはフォーカスであり、ACV はその結果です。Salesforce は長い年月をかけて、パイプラインの測定、推進、最適化を得意分野としました。Salesforce では、これを微調整されたパイプラインエンジンと捉えています。
Salesforce がパイプラインエンジンを構築する方法
燃焼エンジンと同じように、パイプラインエンジンではすべてのシリンダーを燃焼させる必要があります。Salesforce では、パイプライン生成のシリンダーは従業員です。エンジンを実行し続けるために従業員が担う役割は、次のとおりです。
- アカウントエグゼクティブ (AE): Salesforce のパイプラインの半分以上を作成します。新しい商談の創出、商談の成立、顧客関係の管理を担当します。
- ビジネス開発担当者 (BDR): パイプラインの約 4 分の 1 を作成します。アウトバウンドプロスペクティングを重点的に行い、リードに電話をかけて、成立に導く AE にそのリードを引き継ぐ役割を担います。
- セールス開発担当者 (SDR): インバウンドリードの評価に注力し、Web サイト、チャット、電話を介して入ってきた商談のフォローアップを行います。また、SDR は商談を AE に渡すため、中小企業を担当する営業チームにとって重要な存在でもあります。
- Enterprise Corporate Specialist (ECS): AE が大規模な商談に集中できるように、大企業取引先内の小規模な商談を管理します。また、新規ビジネスに注力します。
- クラウド営業: 特定の製品 (Salesforce サービスや Salesforce Platform など) に特化した営業です。主に既存の商談を担当しますが、パイプラインの作成に占める役割の割合はごくわずかです。
マーケティングでパイプラインエンジンを活性化する
パイプラインエンジンには燃料が必要ですが、その燃料となるのがマーケティング活動です。Salesforce の強力なマーケティングチームは、営業チームが高品質のパイプラインを推進できるようにするという目標を常に掲げています。この目標は、すべてのマーケティング活動の指針となっています。
- ブランド認知: どのような会社あり、何を行っているのかを見込み客や顧客が理解できるようにすることで、新たな利用者の増加を促します。
- 需要創出: リード購入や有料ソーシャルなど、特定の業界や領域で商品を売り込むための手法を含みます。
- イベント: Salesforce の大規模なパイプラインを推進します。Salesforce では、登録済みのパイプライン、ルーム内のパイプ、イベント後に生成されたパイプラインの増分の各金額を測定して記録しています。
- アカウントベースのマーケティング: 焦点を絞ったサービスであり、上位の取引先との関連性とエンゲージメントの向上に役立つさまざまなプログラムが用意されています。
- デジタルマーケティング: 主に Web サイトを介して行われます。デジタルマーケティングでは、顧客を引き付け、そのリードを SDR や BDR に送信します。その後、有料メディア、メール、ソーシャルメディア、認知度向上キャンペーンなどを介して、Web サイトへのトラフィックを増加させます。
- イネーブルメント: 営業チームに商談を成立させための適切なツールとリソースを提供することを意味します。これには、メール、キャンペーン、ROI 計算、または競合分析などが含まれます。
パイプラインを測定して分析する
パイプラインを測定できるということは重要です。パイプラインを測定するために Salesforce が使用しているのは、そう、Salesforce です。すべてが Salesforce に取り込まれているため、営業チームとマーケティングチームはパイプラインデータを常にリアルタイムでレポートやダッシュボードで確認することができます。また、セールスオペレーション (Sales Ops: Sales Operations) チームは、Tableau を使用してより詳細にパイプラインを分析できます。
Salesforce では、説明責任遂行マトリックス (APM) と呼ばれる測定フレームワークを使用しています。これは、製品、地域、セグメント、ソースでスライスされたパイプラインデータを表示できる一連のテーブルです。これにより、クラウドやオペレーティングユニットごとに、パイプラインの説明責任を推進することができます。
パイプライン委員会でアクション可能にする
Salesforce では毎週、営業、製品、マーケティング、オペレーションの各リーダーが集まり、APM を見直しています。これは将来予測であり、四半期で何パーセントまで進んでいるのかや、目標の何パーセントを達成しているのかを把握するというものです。さらに、目標に達していない領域を簡単に確認するために、各領域を色分け (赤、黄、緑) します。
黄色や赤色の領域がある場合は、チームとして話し合い、その領域を緑色に戻すためのアクション (イネーブルメント、インセンティブ、予算の増加など) を割り当てます。チームで重点領域に正確に狙いを定め、ソリューションのブレインストーミングを実施できれば、前へ進もうとする勢いを維持することができます。これで、最終的には、パイプラインエンジンをスムーズに実行し続けることが可能になります。