コミュニケーションスキルを伸ばす
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 適切なコミュニケーションがビジネスアナリストに不可欠である理由を説明する。
- プロジェクトのより良い結果につながる 4 種類のコミュニケーションを挙げる。
不可欠なツールとしてのコミュニケーション
「コミュニケーションは習得できるスキルです。自転車に乗ったり、タイピングしたりするのと同じように、前向きに取り組めば、生活のあらゆる部分の質が急速に向上します。」— モチベーション講演者および著者、Brian Tracy
実際のところ、ビジネスアナリストが企業のプロジェクトにとって重要であるのは、単に効果的なコミュニケーションを行うことで全体的な生産性を高め、最終的な成果を促進するためです。
BA にとって適切なコミュニケーションは不可欠です。コミュニケーションスキルは、プロジェクトのキックオフ、要件引き出し、ステークホルダーとの連絡、最終ソリューションの提供などのあらゆるフェーズで使用します。
特に次のことを行う必要があります。
- ステークホルダーのニーズをプロジェクトチームに伝える。
- プロジェクトの完了時に、そのニーズが満たされたことを確認する。
- ステークホルダーと開発者の間で発生するコミュニケーションの障壁 (時間、注意、期待、言葉など) を取り除く。
プロジェクトの目標を達成するためにステークホルダーを引き込むヒント
ステークホルダーを引き込むにはさまざまな方法があり、この単元ではいくつかの基本的な手法とヒントを見ていきます。その他の手法については、単元の末尾にある「リソース」セクションを参照してください。
会話にすることでコミュニケーションを行う
質問をして、その答えに耳を傾けます。会話的な口調を使用します。ステークホルダーが追い詰められたように感じるのは望ましくありません。
どのように協力できるかを伝える
ビジネスアナリストがどのように協力できるかを示すことで、ステークホルダーはビジネスアナリストの価値を認識します。より大きな価値を認識してもらうほど、ビジネスアナリストの業務の他の部分を実行しやすくなります。
次のステップへのコミットメントを得る
ステークホルダーのエンゲージメントは必要ですが、ステークホルダーがビジネスアナリストと会うたびに無数の質問に巻き込まれると感じるようではよくありません。相手の時間を尊重します。次のステップと相手のコミットメントの必要性を説明することで、自分のコミットメントも示すことになり、お互いの関係の強固な基礎を築くことができます。
関係を築く
信頼があれば、共同作業はより簡単で効果的になります。関係を築くことによって信頼が深まります。関係を築くために時間を費やせば、大きな見返りがあります。
私たちは皆人間であることを忘れない
人間は理性を失ったり、無理を言ったり、辻褄が合わなかったり、予測できないことがあることを覚えておいてください。人間の感情が絡むことで、議題が整然とならないことがあります。緊張を感じた場合は、ステークホルダーの行動の根本原因を探り、その場の空気を変える方法がないかを考えて、生産的な関係を維持するように努めます。常に理解のある態度を心がけましょう。
コミュニケーションのさまざまな形式
コミュニケーションとは、情報を聞き、読み、理解し、処理し、移す技術の形式です。困難になることもありますが、プロジェクトにおいて非常に重要です。
プロジェクトのより良い結果を得られるように、使用できるコミュニケーション手法を習得するためのヒントをいくつか紹介します。
口頭のコミュニケーション
口頭のコミュニケーションはアイデア、事実、意見を伝えるために使用します。これは、1 対 1 の会話、ミーティング、プレゼンテーション、会議で行われます。口頭のコミュニケーションが重要であるのは、すぐに情報を引き出したり、はっきりさせたりすることができるためです。
この種類のコミュニケーション能力を高めるには、次のヒントを参考にしてください。
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ヒント |
説明 |
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はっきりと大きな声で話す。 |
言葉をはっきりと発音し、全員に聞こえるように大きな声で話します。 |
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慎重に言葉を選ぶ。 |
言葉は自分自身の鏡です。プロ意識と知性を示す言葉を使用します。また、誰にとっても適切な言葉を使用します。 |
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適切な口調を使用する。 |
口調、つまり声の聞こえ方によって、話者が何を言おうとしていて、どのように感じているかが伝わります。口調が言葉や表現したい感情と一致するようにします。 |
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聴衆を考慮する。 |
話をするときには、聴衆を念頭に置きます。フォーマルな聴衆にはフォーマルな会話が適しています。参加者のことをよく知っている場合は、くだけた調子で話すこともあります。 |
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適切に応答する。 |
話す前に考えます。応答する前に考えをまとめます。そうすることで、不適切な応答を防ぐことができます。 |
非言語的コミュニケーション
非言語的コミュニケーションとは、言葉や音声を使用しないコミュニケーションです。その代わりに、ボディランゲージ、ジェスチャー、表情によって他者に情報を伝えます。上で説明した口頭のコミュニケーションは重要ですが、それはコミュニケーションの小さな部分にすぎません。ほとんどのコミュニケーションは非言語的です。言語以外の手がかりを理解し、注意を払うことで、相手が実際には何を言おうとしているかを知り、自分が意図したメッセージも確実に伝えられます。
非言語的コミュニケーション能力を高めるには、次のような領域に注目します。
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領域 |
理由 |
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アイコンタクト |
アイコンタクトを保ちます。ただし、凝視することは避けます。相手と目を合わせることが重要であるのは、相手に関心を持っていて、注意を払っていることを示すことができるためです。 |
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パーソナルスペース |
自分と他の人との距離に注意します。相手との距離が適切であることを示すサインを探し、それに応じて調整します。文化が異なると距離感も異なることに注意してください。 |
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姿勢と動作 |
姿勢に注意します。前かがみの姿勢は関心がないと解釈されることがあります。また、体の動きも重要です。足をぶらぶらさせるなど、動作が多すぎると他の人に不快感を与えることがあります。 |
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体を開くこと |
体の前で腕を組むのは避けます。これは自己防衛的であると解釈されることがあります。体を開いた体勢を保つことで、耳を傾けることに受容的である態度を示します。 |
書面によるコミュニケーション
ビジネスアナリストにとって書面は重要なコミュニケーション形式です。BA は書面による情報の記録を参照用に提供することで、人やグループが同じ認識を持てるようにします。ビジネスアナリストが書面によって情報を共有する手段は、ドキュメント、メール、チャット、ブログ、メモ、要件など広範囲にわたります。
職場では、複数の人が関与する場合には常にプロフェッショナルとして書き、完全な文や適切な文法と句読点を使用します。
書く能力を高めるためのヒントをいくつか紹介します。
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ステップ |
説明 (Explanation) |
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単純明快にします。 |
大切なのは理解してもらうことです。できるだけ単純明快で事実に基づいて記述します。 |
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口調に頼らない。 |
書くときにはプロフェッショナルな口調を保ちます。コミュニケーションの中で皮肉、ジョーク、興奮などを使用すると、相手によってはマイナスに受け取られることがあります。はっきりと、簡潔に、わかりやすく記述します。個性を付け加えたい場合は、口頭でのフォローアップコミュニケーションで行います。 |
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書いたコミュニケーションを見直す時間を取る。 |
慌てていたために間違えたことを書いてしまうことは誰でもあります。間違いによっては代償が大きくなることもあります。それを避けるために、書いた文章を送信する前に読み直します。書いた内容を確認する前に休憩を取るようにすると、より良い伝え方がみつかることがあります。重要なコミュニケーションや多くの人に送信するコミュニケーションについては、信頼できる同僚にも確認してもらいます。 |
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効果的だと思った書き方のファイルを参考のために作っておく。 |
一貫性のある記述スタイルを作成します。目指すスタイルの典型となるメールやドキュメント、パンフレットを見つけて、書くときのお手本として使用します。そのうちにそのスタイルを吸収し、参照資料が必要でなくなります。 |
視覚的コミュニケーション
視覚的コミュニケーションとは、図、グラフ、画像、スケッチなどの視覚媒体を使用して情報を伝える行為です。ほとんどの人は視覚的学習者であるため、この方法が効果を発揮することがよくあります。プレゼンテーションでビジュアルを使用することで聴衆を引き込んだり、ドキュメントでビジュアルを使用することで効果的にデータを示したりできます。
視覚的なコミュニケーション能力を高めるヒントをいくつか紹介します。
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ステップ |
説明 (Explanation) |
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聴衆を考慮する。 |
聴衆に関係があり、理解のレベルに合ったビジュアルを含めます。ビジュアルを使用するのは内容を明確にするためであり、複雑にするためではありません。 |
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伝えようとしている意味を考慮する。 |
ビジュアルはわかりやすく意味を伝えるために使用します。使用するビジュアルが対象のトピックに関連したものであり、ビジュアルによって情報が理解しやすくなることを確認します。 |
このように、ビジネスアナリストにはさまざまな責務があり、その中でも特に重要なのが効果的なコミュニケーションです。さまざまな形式で効果的なコミュニケーションを行えるかどうかが、プロジェクトの成否の分かれ目となることがあります。つまり、ビジネスアナリストには高いコミュニケーション能力が求められます。