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情報検出の手法を知る

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ビジネスアナリストが必要とする情報の種類を特定する。
  • 関連する情報を見つける。

情報は重要

「情報がない状況では、私たちは最悪の結論に飛びつく。」— Myra Kassim (作家)

前の単元では、ビジネスアナリストがプロジェクトライフサイクルで重要な役割を果たすことと、ライフサイクルで特に重要なフェーズの 1 つが情報検出であることを学習しました。このフェーズで、アナリストはプロジェクトのほとんどの事前準備を行います。

適切な情報を持っていることはプロジェクト成功の鍵です。それがなければ、最適な結論やプロジェクトの成果を出すことはできません。まったく結論が出せないこともあるかもしれません。

では、どのような種類の情報が必要で、それをどのようにして入手すればよいのでしょうか? 簡単に言えば、ビジネスアナリストはプロジェクトのすべての領域を調べてできるだけ多くの情報を収集します。多くの場合、その主題に関して思いつく限りの who (誰)、what (何)、where (どこ)、why (なぜ)、when (いつ)、how (どのように) の質問をします。その例を挙げます。

who (誰): ステークホルダーは誰か? 誰が関わっているか? 誰がプロセスを実行するか? 誰が引継ぎを行うか?

what (何): 何を最初に行うか? 次に何を行うか? 解決しようとしている問題は何か?

where (どこ): 情報入力はどこにあるか? 入力された後、情報はどこにいくか? それを行うときユーザーはどこにいるか?

why (なぜ): なぜこれを行うのか? なぜこれが重要なのか?

when (いつ): これはいつ起きるのか? (週に 1 回か? 毎月 1 日か?)いつソリューションが必要か?

how (どのように): 現在これはどのように機能しているか? これはどのように機能すべきか?

このような質問の答えからビジネスアナリストは、最適なソリューションに向けてプロジェクトを進めるための多様なデータを得ることができます。

「ソリューション」という言葉を指す 6 つの質問を示す図。

Ian Lin の要求について考えてみましょう。Ian が依頼したビジネスアナリストはどのようにしてプロジェクトを成功させるかを理解するために Ian に次のような質問をしました。「誰があなたの営業チームにいますか?」「どこでどのようにして、四半期の売上予測金額を確認する必要がありますか?」「この情報が必要なのはあなただけですか?」「この情報をどの程度の頻度で確認しますか?」Ian の要求についてどのようにすれば改善できるかを理解するために、彼女は「グラフを含むレポートで売上予測情報を見ることができたらメリットがありますか?」という質問もしました。

次に、ビジネスアナリストがプロジェクトを成功へと導くために必要な情報の種類とその取得元について詳しく見ていきましょう。

主要な情報をどこで見つけるか

「知性とは情報を蓄える能力ではなく、どこで情報を見つられるかを知る能力である。」— Albert Einstein

プロジェクト情報は変化の媒体です。これによってソリューションが促進され、最終的にはビジネスの変化が促進されます。ただし、変化の媒体となる前に、まずその情報を見つける必要があります。情報には、さまざまな形状と規模のものがあり、ソースもプロジェクト情報、要件、分析、プロセスなど無数にあります。また、発信元も各分野のエキスパートやステークホルダーなどさまざまです。

簡単にするため、情報領域を大まかに、プロジェクト履歴、分析、引き出しの 3 つのグループに分けましょう。 

プロジェクト履歴

新しい商品やサービスを作成する場合でも、既存のものを強化する場合でも、プロジェクトに関する大量の背景情報をステークホルダーまたはその他のソースから収集することが重要です。これはプロジェクト履歴またはプロジェクトオリエンテーションと呼ばれます。 

この種類の情報を利用することで、誤ってすでに実行済みの作業を繰り返したり以前の判断を蒸し返したりすることを避けることができます。また、既存のシステム、設計、要件、ビジネスプロセスを理解するのにも役立ちます。より多くのことを知るほど分析の質が向上するため、プロジェクトのより良い結果が得られます。既存の状況と望ましい改善について、できるだけ綿密に調査します。関連するプロセスやシステムについて学び、ビジネスの業務やシステムのしくみについてできるだけ多くのインサイトを得ます。

分析

プロジェクトについてできるだけ多くのことを学び、理解するために、ビジネスアナリスト (BA) はさまざまな種類の分析を実行します。 

企業分析

BA は、誰が誰の部下であるかといった組織の構造や、組織内の各部門の機能と部門間の連携を学び、理解する必要があります。ここで得られる情報は、チームが円滑に協力しコミュニケーションを取るために役立ちます (詳しくは次の単元で学習します)。

戦略分析

これは、問題の核心に迫り、理解するためのものです。まず、戦略的に重要なニーズであるビジネスニーズを特定します。これは重要な最初のステップであり、ビジネスニーズはプロジェクトの残りの部分の指針となります。

次に、現在の状態を観察し、ビジネスニーズに対応するための将来の状態と移行中の状態を定義します。これは現在の状態と望ましい状態の差を特定するギャップ分析です。次に、望ましい状態を達成するための選択肢 (必要な作業や範囲など) を評価し、その状態に到達するための最も価値の高い手法を推奨します。

BA は特定された変化のソリューションに伴うリスクと、その不確実性がプロジェクトのライフサイクルや最終目標にもたらす影響についても評価する必要があります。潜在的なリスクに対応するアクションプランを作成します。

ステークホルダー分析

ステークホルダーとは、意思決定を行ったり、プロジェクトの優先事項や要件の決定に重要な役割を果たしたりする (組織の内外の) 個人またはグループのことです。このため、早い段階でステークホルダーを特定することが不可欠です。ステークホルダーを特定するためにはじめに基準にするのは、検討中の問題に関心を持っている人またはその影響を受けるすべての人です。 

ステークホルダーの例をいくつか次に示します。

ロール

内部/外部

所有者

内部

創業者、会長、部長

マネージャー

内部

CXO、役員、マネージャー

従業員

内部

スタッフ、チーム、部門、グループ

競合他社

外部

同じまたは他の業種/市場

顧客

外部

商品/サービスの購入者やユーザー

パートナー

外部

アライアンスおよびパートナー組織

サプライヤー

外部

原材料/部品を提供するベンダー

規制者

外部

規制機関や管理機関

ステークホルダーホイールを使用すると、各ステークホルダーと、ステークホルダーがプロジェクトに及ぼす影響のレベルがわかりやすくなります。

サンプルステークホルダーホイール

引き出し

学校の期末レポートのためにあるトピックについて調査するときには、通常、図書館やオンラインソースで簡単に情報を集めることができます。一方、ビジネスアナリストのための情報はそれほど簡単に入手できないことがよくあります。ビジネス要件や技術要件の多くはステークホルダーやエンドユーザーの頭の中にあることが多く、他の場所に文書として記録されていません。ビジネスアナリストとして必要な情報が簡単に手に入らない場合は、その情報を引き出す必要があります。

ビジネスアナリストの世界では、情報の発見は引き出しと呼ばれます。これは BA にとって特に重要なフェーズです。『ビジネスアナリシス知識体系ガイド』では引き出しについて次のように説明しています。「ステークホルダーまたはその他のソースから情報を引き出したり受け取ったりすることです。これは要件と設計に関する情報を発見するための主要な方法で、ステークホルダーと直接話すことや、トピックに関する調査、実験、または単に情報が手渡されることなどが含まれます。」

使用できる引き出し手法は多数あります。ビジネスアナリストは最初にプロジェクトニーズを特定し、次に、プロジェクトに最適な引き出し手法を選択します。次のような手法があります。

  • ブレインストーミング
  • ドキュメント分析
  • フォーカスグループ
  • インターフェース分析
  • 面接
  • 観察
  • プロセスモデリング
  • プロトタイプ作成
  • 要件ワークショップ
  • アンケート

ここに挙げられた 10 種類の引き出し手法を示す画像

引き出しは孤立した活動でも区切られた活動でもないことを知っておいてください。プロジェクト情報の引き出しは、ステークホルダーとのやり取りを伴うあらゆる作業でも、独立した分析作業でも行われます。最初の引き出しによって、詳細を収集したりギャップを埋めたり理解を深めたりするための追加の引き出しがトリガーされることもあります。重要なのは、プロジェクトのライフサイクル全体を通して、知らされた情報を追加することに前向きであることです。

引き出しは通常、3 つの一般的なフェーズで実行されます。

  1. 引き出しの準備 - プロジェクトのニーズについて総合的かつ正確に理解する。
  2. 引き出しの実施 - ステークホルダーと会って、各自のニーズやビジネスのニーズに関する情報を引き出す。
  3. 引き出した結果の確認 - 表明された要件が問題とニーズに一致しているかどうかを確認し、理解した内容がステークホルダーの実際の希望や意図に沿っていることを確認する。

引き出しはプロセスの次のフェーズである要件の作成の基盤となる調査です。十分な資料が集まったら、要件の作成とドキュメント化を開始できます。

ここまでで、ビジネスアナリストにとって情報が重要である理由と、情報を検出する方法について理解できたことと思います。有能なビジネスアナリストは各プロジェクトに必要な情報の種類と、プロジェクトの目標を達成するために情報にアクセスする方法を知っています。次は、別のビジネスアナリストスキルであるコミュニケーションについて学習します。

リソース

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