成功に向けたスケジュール
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- より生産的で、より評価されるミーティングを進行する。
- すべての要件を把握する前にソリューションを提供することの危険性を認識する。
- プロジェクトの早い段階ですぐに成果を上げることの利点を説明する。
タイミングがすべて
「タイミングがすべて」という言葉を聞いたことがあるかと思います。ビジネスアナリストにとっても、正しいことを間違ったタイミングで行うと、結局は多種多様なトラブルを引き起こすことになります。この単元では、効果的なミーティングを行い、最も重要なときに役割を果たすことによって、タイミングを計って上手に利用する方法を学びます。
有意義なミーティング
当然のことながら、ビジネスアナリストは、多くのミーティングを行うことになります。また、わかりきったことですが、ただでさえ忙しいスケジュールの中でさらにミーティングが増えることを、人は必ずしも快く思ってくれるわけではありません。幸いにも、ほとんどの人は生産的なミーティングを高く評価します。ですから、あなたの仕事は、ミーティングをできるだけ有意義なものにすることです。
良いミーティングの最も重要な要素は、間違いなく、ミーティングが始まる前に提供されるアジェンダです。アジェンダには、参加者の貴重な時間を使って何を達成したいのかが記載され、あなたとの時間に対して期待される成果が示されています。時間配分も示されるため、ミーティングが順調に進む可能性が高くなります。ミーティングが脱線し始めたら、事態を収拾する方法として、アジェンダに立ち返ることができます。また、アジェンダを提供することで、全員が質問やコメントを準備でき、万全な状態で参加することが可能になります。アジェンダを提供するだけでなく、ミーティングで誰かに何か特定の貢献をしてもらう必要がある場合には、その人が準備して参加できるように、必ず個人的にその旨を伝えてください。
どんなに小さなミーティングでも、毎回プレゼンテーションをまとめましょう。
- 準備が整っていて、統制がとれているように見えます。
- ミーティングの構成が明確になり、アジェンダに沿って進めやすくなります。
- 道しるべの役割を果たすため、参加者は (遅れて参加した場合でも) ミーティングがどこまで進行しているのかがわります。
- 具体的な説明がない場合でも、文脈を示すためのちょっとした情報 (定義など) を含めることができます。
- 視覚的なものに注目させることで、参加者の注意力を持続させることができます。
ミーティングの録音今はデータが安価な時代です。許可される限り、データを使用してあらゆるものを録音してください。(最初に同意を得ることを忘れないでください!)ミーティングを録音すれば、その場で詳細なメモを取ることを気にする必要はありません。むしろ、十分に集中して議論に参加することができます。ミーティングを円滑に進めるためにいくつかのメモを取ることはありますが、詳細を分析する作業は後で都合の良いときに行えます。また、場合によっては、あるトピックについて誰かが言ったことを、メモ (ひどい場合は、自分の記憶) に頼らず、もう一度正確に聞き直す必要もあります。録音にはすべてが記録されています。
最後に、ミーティングが終わるころに、取り上げられた内容を振り返り、全員が一緒に過ごした時間から得られたものをまとめます。次のステップの責任者を明確にし、アジェンダの中で次回のミーティングで再検討すべきものがあれば明記してください。
たとえその業界や分野での経験が浅くても、有意義なミーティングを運営することで、冷静かつプロフェッショナルな印象を与えることができます。
理解してから解決
当たり前のことかもしれませんが、問題を解決する前には、その問題を完全に理解する必要があります。ビジネスアナリストの世界では、それはソリューションを提供する前に、すべての要件を収集することを意味します。この 2 つのステップのタイミングは理にかなっているのですが、この 2 つを逆にしようとする人がいるケースが 2 つあります。こうなると、ほとんどうまくいきません。
1 つ目は、ステークホルダーがすでにソリューションを用意して初回のミーティングに臨んでいる場合です。ある製品のデモを見て、それを自分のビジネスで使う方法を知りたがっているのです。どう見ても、これには問題があります。その製品が実際のビジネスニーズに合致しているかどうかは、特に、そのニーズが完全に定義されていない以上、保証されていないためです。先手を打って解決することに直面した場合は、特定の製品の観点からではなく、一般的な用語で何を達成したいのかを考えるようにステークホルダーを促してください。常に、「どのように違うことをするか」ではなく、「なぜ違うことをする必要があるのか」を考えるように誘導するのです。Salesforce の場合、Salesforce 製品のいずれかでビジネスニーズを満たせる可能性が非常に高いので、「どのように」かは後で考えることができます。
2 つ目は、新しい一連のスキルを習得したシステム管理者が、管理者としての手腕を発揮して、プラットフォームにあれこれ手を加えたくなる場合です。このようなシステム管理者は、製品を使うことに興奮するあまり、構築する前に精査することやビジネス要件を固めることを忘れてしまうのです。これは仕方ないことです。問題解決は楽しいですし、自分が作成したものが新しいことを成し遂げるのを見るのは満足感があります。ですが、それはビジネスにとって本当に最善のことをしていないかもしれませんし、結局、多くの作業をやり直さなければならなくなるかもしれません。経験の浅いのビジネスアナリストは、自らこのような間違いを犯しがちです。自分が扱っているシステムについて、新たに習得した知識があり、顧客が気に入るものを早く作りたいという欲求があるためです。ですが、焦りは禁物です。先走って間違った方向に進まないでください。
ソリューションの構築と並行した信頼関係の構築
最終的には、ビジネス要件を整理し、ソリューションの計画を立てることで、構築を開始することができるようになります。たいてい、ソリューションには構築を必要とする部分が多数あり、どの部分を最初に構築するかを設定できる場合もあります。そのような場合は、顧客にすぐに成果を示せるような部分を選択するとよいでしょう。
プロジェクトの早い段階で、ソリューションの結果が出やすい部分を提供できることを示すことには、多くのメリットがあります。最も重要なのは、顧客に代わって実行する能力に対する信頼を構築できることです。各分野のエキスパートやステークホルダーのカレンダーに時間を確保しようとするとき、あなたと関わる十分な理由があることを示すこともできます。また、プロジェクト全体に勢いをつけ、最初はあまり興味を示さなかったチームからも賛同を得ることができます。
成果物を作成し、解決に適切な時期まで待ち、プロのように会議を運営する上で、ちょっとしたタイミングを計ることで、プロジェクトが成功する可能性はぐっと高まります。