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分散型組織の成功に向けたマーケティング担当者とマーケティング以外の担当者の位置付け

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ブランドのカスタマーエンゲージメントが断片的になる理由を挙げる。
  • マーケティング担当者とマーケティング以外の担当者のギャップを特定する。
  • Distributed Marketing について説明する。
  • 業種別の使用事例を挙げる。

分散ブランドの断片的なカスタマーエンゲージメント

かつて企業がコンシューマー (消費者) からこれほどシームレスなエンゲージメントを期待されたことはありません。今やエクスペリエンス全体で、ブランドに対応したパーソナライズエンゲージメントが求められます。マーケティングリーダーの 67% が、成功するためにはつながりのあるカスタマージャーニーの創出が欠かせないと述べています。

けれども分散型組織にとって、つながりのあるカスタマーエクスペリエンスの実現は容易いことではありません。行きつけのファストフード店や小売店に入ったときに、新しいメニューや見慣れない商品、大幅な値上げを目にして、戸惑いや反感を覚えたことがあればおわかりでしょう。 

デジタルコミュニケーションでもそれは同じです。カスタマーエクスペリエンスに一貫性がなければ、ブランドの妥当性や信頼性、プロ意識にコンシューマーが疑問を抱くでしょう。 

ここで、顧客に不信感を抱かせる一例を紹介します。

1 月 1 日、一年の計は元旦にありということで心機一転、近所のジムに向かいます。最初の 1 か月は会費が 50% オフになるという特典を利用して会員になりました。数日後、同社から「最初の 3 か月は 50% オフ」という特典メールが届きます。翌日ジムに出かけて、「3 か月 50% オフ」のメールを見せますが、ジムのスタッフは企業のチームが送ったその特典を適用しようとしません。

このような状況は、顧客がブランドに期待するエクスペリエンスではありません。顧客は、応対する相手が誰であれ、ブランドからシームレスなエクスペリエンスを期待します。

マーケティング担当者とマーケティング以外の担当者のギャップ

企業のマーケティングチームは、比類ないカスタマーエクスペリエンスの実現に全力を注いでいます。ブランドを差別化し、市場で他をリードするためには、全力を挙げる必要があることを心得ています。けれども、こうしたことはマーケティング部門だけで達成できるわけではありません。金融サービス、直接販売、フランチャイズ加盟店、チャネル販売のような分散型組織では、多くの人々が顧客に応対してあらゆるエクスペリエンスを創出します。

企業内には、ブランドに対応したマーケティングキャンペーンを担当するマーケティングチームがいます。このチームには能率的なカスタマージャーニーを考え出すために必要なツールと予算があります。けれども、パーソナルエンゲージメントが末端まで行き届かないことが少なくありません。端部でエンゲージメントを実践し顧客関係を直接管理するのは、マーケティング以外の担当者であるためです。 

マーケティング担当者とマーケティング以外の担当者の間にギャップがあれば、カスタマーエクスペリエンスが断片的なものになります。

端部にいるのは、代理店、アドバイザー、カーディーラー、フランチャイズのオーナーなど、マーケティング以外の担当者です。コンシューマーとの直接的な関係を維持しているこうした人々が、企業が承認したマーケティング資料をうまく利用や作成できないことは珍しくありません。端部の人々は、特にデジタル化されている場合、必要となるマーケティングのノウハウやツール、リソースを持ち合わせていません。彼らにあるのは、最終的な購入者に直接対応する真の関係です。 

マーケティング担当者とマーケティング以外の担当者間のこうしたギャップによってエクスペリエンスが途絶すれば、コンシューマーは 2 つの異なる企業とエンゲージしているかのように感じます。前述のジムへの応対がその好例です。

あなたも、間違ったロゴやぼやけた画像が記載されたメールを受け取ったことがあるのではないでしょうか? マーケティングチームが送信または承認したものでないことはすぐにわかります。

Salesforce の Distributed Marketing を使用すれば、端部でのやりとりをマーケティング以外の担当者に一任するのではなく、カスタマージャーニーのできるだけ早い段階でこうした担当者が情報や使いやすいツールを活用できるようになります。

Distributed Marketing の概要

多くの場合、カスタマーエクスペリエンスを受け持つのは企業のマーケティング担当者ですが、顧客のタッチポイントの大半が会社のマーケティング部門の範疇外である場合はどうなるでしょうか? 各地のマーケティング担当者、フランチャイズのオーナー、パートナー、ファイナンシャルアドバイザー、代理店、ディーラー (販売代理店) の全員が、ブランドに対応するシームレスなカスタマーエクスペリエンスを創出するために、コンテンツやリソース、使いやすいツールを必要とします。 

Distributed Marketing のしくみを理解するために、個人退職年金市場の見込み客がどのようにしてファイナンシャルサービス企業とそのエージェントの 1 人とエンゲージするのかを見てみましょう。

顧客は、オンラインからオフラインのエンゲージメントへのシームレスなブランドエクスペリエンスを期待します。

30 代の専門職の Brooke は、退職後に備えてまとまった投資を始めたいと考えています。オンラインで個人退職年金商品を調べ、自身のニーズに合っていると思う企業を見つけました。Web サイトの問い合わせフォームに記入すると、企業のマーケティングチームからフォローアップのメールが届きました。地域のファイナンシャルアドバイザーを紹介された後、その人から電話があり、Brooke の目標や投資のさまざまなオプションについて話し合いました。 

電話を切った後、このファイナンシャルアドバイザーは、企業のマーケティングチームが作成した事前設定済みの各種ジャーニーにアクセスします。そして、Brooke に適したジャーニーを選択してパーソナライズします。

Brooke はブランド設定され、高度にパーソナライズされたメッセージを受け取ってすぐ、それが電話で話したアドバイザーからのものであることがわかりました。このメッセージはプロ意識に則りながらも、Brooke 向けに綴られた内容でした。このやりとりから Brooke はアドバイザーを信頼し、その企業で Roth IRA 口座を開くことにします。 

Brooke がブランドから受けたエクスペリエンスは一貫性があり、パーソナライズされていました。

そしてこのアドバイザーは、企業のマーケティング活動を利用して、担当する顧客から収益を得ることができました。

残念ながら多くのブランドは、分散型組織でシームレスなエクスペリエンスを実現することができていません。

業種別の Distributed Marketing

ここで認識すべき極めて重要な点は、分散型組織が従来、ブランドの販売業務を代行する代理店、フランチャイズのオーナー、加盟店、パートナーの募集と研修ばかりに専心していたことです。研修後は、チャネルを 1 人立ちさせ、各自のツールを使用して独自のコンテンツを作成し、自らのリソースで事業を運営させていました。つまり、チャネルは概して孤立した状態でビジネスを行っていました。 

今日では企業が、ビジネスの成功にはカスタマーエクスペリエンスが極めて重要であることを認識しつつあります。そしてこうした組織は、最終的なコンシューマー (消費者) を見据えたエクスペリエンスを考え出す必要があります。つまり、ブランドに対応した関連性の高いコンテンツを消コンシューマーに届けるというやり方で、ブランドエクスペリエンスを管理する方法を見極める必要があります。 

では、業種別の使用事例を見てみましょう。

Distributed Marketing を使用する業種
課題
Distributed Marketing による解決策
金融サービス
企業のマーケティングチームがブランドに対応するコミュニケーションを開発して承認しても、ファイナンシャルアドバイザーや保険代理店、ブローカーが必ずしもそれを活用するとは限らない。販売の最前線にいる人々がマーケティングに長けているとは限らず、企業のブランドやメッセージングのガイドラインにそぐわないデジタルコミュニケーションを送信することがある。
  • 企業のマーケティングと、ファイナンシャルアドバイザー、保険代理店、銀行、資産マネジメント商品の仲介業者などをつなげる。
  • 企業のブランド基準への準拠を求める。
  • チームの効率性を向上させる。
  • 各タッチポイントで顧客がどのようにエンゲージするかを理解する。
リテール (MLM、直接販売)、フランチャイズ
オーナー、販売者、コンサルタントなどの多くが、一貫性のあるブランドによってカスタマーエクスペリエンスを向上させることの重要性を理解していない。理解している人々も、一貫性を優先させるためのツールや知識、時間がないことがある。

  • 集計データやベストプラクティスに基づいて事前構築されたジャーニーを作成する。
  • 会社の知識と地域の知識のバランスを図る。
  • オーナー、販売者、コンサルタントのネットワーク全体で一貫性を確立する。
チャネルパートナー
チャネルマーケティング担当者がパートナーコミュニティ向けの確固たるカスタマージャーニー戦略を考案することがあるが、チャネル販売のパートナーがその戦略に従っていることを確認する必要がある。マーケティングの対象範囲を広げるために、チャネルマーケティング担当者は、パートナーがコンテンツやキャンペーンを簡単に利用して、チャネル ROI を増大できるようにする必要がある。
  • ジャーニー全体でコンシューマーとエンゲージしてリードを生成する。
  • コーポレートアイデンティティを損うことなく、メッセージをパーソナライズする。
  • コンシューマーデータを 1 か所で確認できるようにして、コンシューマーのニーズを理解する。

業種別の使用事例を見てきたところで、次は Salesforce の Distributed Marketing がカスタマーサクセスプラットフォームでどのように機能するのか説明します。

リソース

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