ブロックチェーンの概要
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 従来の台帳のしくみを理解する。
- 分散台帳の特徴を識別する。
- ブロックチェーンとその構成要素を定義する。
ブロックチェーンを理解できていますか?
ブロックチェーンについては、話を聞いたばかりで完全には理解していない場合や、きちんと理解しているけれど、どのようなメリットがあるのか詳細な情報を求めている場合などがあるでしょう。ここでは、ジャーニーのどこにいるかに関係なく、この技術についてわかりやすく説明し、今後の発展や、どのようなメリットがあるかに関する視点を示します。また、IBM などの企業が業種を超えたコラボレーションによってこの技術をどう進化させているのか、例を交えて説明します。
まずは台帳
ビジネスには (特に今日のつながっている世界では) 多くの人と企業が関わることがあります。コーヒー豆が辿るジャーニーについて考えてみましょう。
- コーヒー豆が栽培者によって収穫されます。
- 栽培者はコーヒー豆を醸造者に販売します。
- 栽培者と醸造者は運送会社と協力して豆を必要な宛先に届けます。
- 醸造者はおいしいコーヒーを淹れて顧客に販売します。
栽培者、運送会社、醸造者、顧客。銀行、認証機関、コーヒー評論家も追加しましょう。追跡するものが沢山あります。そこで、こうした取引 (トランザクション) を追跡するために台帳が必要になります。
通常の台帳は特定の情報を追跡します。たとえば、取引日、重要な詳細、参加者 (上記の栽培者、醸造者、運送会社) 間の送金額などです。
何が問題か?
従来の台帳は非効率で、誤りや改ざんが発生することがありました。コーヒー豆について考えてみましょう。栽培者と醸造者にはそれぞれの台帳があります。互いに取引をするとき、帳尻が合っていることを確認する必要があります。
合っていないと、返金を要求して銀行を巻き込む購入者や訴訟を起こそうとする人々などとの紛争につながります。紛争の解決 (おそらく反対取引や保険の追加も必要) には費用がかかることがあります。
状況をさらに難しくするのは、参加者間の台帳が非同期であるために不適切なビジネス上の意思決定が下されることです。よくても、こうした不一致が解決されるまで、十分な情報に基づいた意思決定は下せず、遅れることになります。
台帳の進化形
このプロセスを改善するために、分散台帳技術が導入されました。これは一種のデータベースで、参加者間で共有、複製、同期されます。
仲介機関は必要ありません。分散台帳上の記録はすべてタイムスタンプが付けられて暗号化されているため、全取引の監査可能で永続的な記録になります。
ブロックチェーンはきわめて強力な分散台帳
ブロックチェーンは、一種の分散台帳であり、取引をパブリックまたはプライベートのピアツーピアネットワークに記録できます。ただし、それは革新的な部分ではありません。次のレベルへと進めたのは、そのしくみです。ブロックチェーンでは次のことができます。
- 取引は通常、ネットワークのすべてのメンバーに分散されます。メンバーはノードと呼ばれます。
- 1 つのバージョンではなく、暗号で署名された記録 (ブロック) のチェーン内の取引先を追跡します。
- すべてのブロックはネットワークで検証されます。ブロックは最初から最新までリンクされています。そのためブロックチェーンと呼ばれます。
ブロックチェーンは単一の情報源として機能し、既存の取引を変更するとチェーンは切断されます。
ここまでのまとめ
すべて理解できましたか? ブロックチェーンを友人に説明するときは、ここに戻って以下の便利なリファレンスを確認してください。
知っておくべき主要な用語 |
説明 |
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参加者 |
ビジネス活動に関わる人物または組織。生産者、サプライヤー、パートナー、消費者/購入者などの場合があります。 |
取引 (トランザクション) |
アクション。たとえば、参加者が生産、販売、購入、取引するときや、資産 (アセット) の所有者になるときなどです。 |
台帳/ビジネス台帳 |
取引が記録される記録システム。 |
分散台帳 |
取引データを追跡するデータベース。参加者間で複製および同期され、暗号化によって保護されます。 |
ブロック |
一緒にバンドルされた取引のセット。ネットワークで共有され、チェーン内に変更されないように保管されます。 |
ノード |
ブロックチェーンネットワークの参加者。 |
ブロックチェーン |
分散台帳技術。1 つのコピーを更新するのではなく、一連のブロック内の取引を追跡します。商品とサービスの移転を効率化し、情報源としての信頼性が高まるように設計されています。 |
他にもまだあります! ブロックチェーンの概要を理解できたので、次はビジネスでの利用方法や得られる価値について確認します。テストの後でまたお会いしましょう。