グリーンな UX の原則を適用する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

グリーンユーザーエクスペリエンス (UX) の 2 つの主な計画を説明する。
グリーン UX の原則とベストプラクティスを説明する。

これまでこのモジュールでは、デジタルかどうかにかかわらず、設計作業に持続可能性を組み込むための実用的なヒントやベストプラクティスを紹介してきました。この単元では、デジタル設計による環境への影響を軽減するための設計原則とアプローチである、グリーンユーザーエクスペリエンス (UX) について学習します。

インターネットは大量のエネルギーを使用します。データセンターの効率はますます向上し、送電網も徐々に再生可能エネルギーに転換されていますが、「より少ないリソースでより多くのことを行う」という原則は、すべての設計者の心に響くはずです。Mies van der Rohe が言っているように、「Less is more (より少ないことは、より豊かなこと)」ということです。

ソフトウェア設計において、設計者はユーザーエクスペリエンスを演算サイクルやネットワークトラフィックに変換して形にします。つまり、省電力のインターネットを設計する上で、設計者は重要な役割を担っています。

気候に対応した設計計画

設計者とエンジニアは、構築するデジタルエクスペリエンスに電力を供給するハードウェアを制御することはできません。ただし、ソフトウェアの実行に必要なエネルギーを削減するための大まかな計画には次の 2 つがあります。

計算サイクルを最小限にする。
ネットワークトラフィックを最小限にする。

上記の計画は、一連のベストプラクティスで適用できます。すばらしいことに、グリーン UX を設計するということは、一般的に、ユーザーにとってより速く、より満足度の高いエクスペリエンスを設計するということにもなります。

組み合わせて、集約し、最小化する。サーバーのアセットを取得するためにブラウザーで HTTP 要求が実行されるたびに、そのサーバーではレスポンスの検証と組み立てを行う必要があります。UX で実行される要求を減らすことで、その回数を最小限に抑えることができます。カスケードスタイルシート (CSS) スプライトを使用すると、複数の画像を 1 つの背景画像に取り込み、JavaScript ファイルや CSS ファイルを集約して「縮小」できます。また、SVG (スケーラブルベクターグラフィックス) を使用すると、ベクター画像を必要なときにのみ高解像度ディスプレイに拡大して表示できます。

トップ画面表示を検討する。設計を順次ページ読み込み対応にして、最も重要なコンテンツを目立つ場所に配置します。必要なときに必要なコンテンツのみを読み込むことで、ネットワーク全体でのデータ転送量が増えないようにすることができます。また、ページの読み込み時間も短縮できます。

動的な要素を考える。エクスペリエンスのどの部分が自動的に更新される必要があり、どの部分がそうでないかを明確にします。更新のためにサーバーを継続的に ping する動的な要素は、ネットワークトラフィックを増加させ、不必要な電力を使用する非効率な計算負荷が生じる可能性があります。

次のステップを考える。チームは常に、デジタルエクスペリエンスビルダーを提供するためのより優れた方法を考え出そうとしています。Lightning Design System のような共通のフレームワーク上に構築することは、フレームワークで行われた効率性の改善をそのフレームワークを使用するすべてのアプリケーションで実現できることを意味します。つまり、作成したアプリケーションが時間の経過とともに改善され続けていくということです。

協力的なパートナーを見つける。持続可能な設計をしているのであれば、幸いなことに、おそらく製品チームの中に協力してくれるパートナーがいるはずです。エンジニアや製品マネージャーは、ランニングコストの低いデジタル製品を作成したいと考えています。このような適切に設計されたエクスペリエンスを持続可能と表現するかどうかは別にして、協力者は環境にプラスの影響を与えるためのすばらしいリソースです。最も重要なことに優先順位を付け、ページ読み込みを最小限に抑え、サーバーへの要求を集約し、効率的で優れた設計でユーザーのエクスペリエンスを向上させるにはどうしたらよいかを、協力者に尋ねてください。

インターネットとインターネットがホストするデジタルエクスペリエンスは、大量のエネルギーを使用します。送電網に 100% 再生可能エネルギーで電力が提供されるようになるまでは、このようなエクスペリエンスが使用するエネルギーを最小限に抑えることが、気候変動と戦い、より持続可能な世界を築くために重要となります。