給付管理オブジェクト入門
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 給付申込プロセスの手順を説明する。
- 給付金管理に関連する一般的な課題を説明する。
- 給付管理の目的と利点を説明する。
始める前に
このモジュールを始める前に、次の推奨コンテンツを完了することを検討してください。
給付申込プロセスについて学ぶ
何世紀にもわたり、政府やその他の公共機関は、経済的困難を緩和し、社会福祉を促進するために資金援助を行ってきました。失業給付や住宅手当、食糧および栄養の安全保障、災害救援、その他数え切れないほどの社会的なセーフティネットによって、コミュニティで最も弱い立場にある人々、家族、組織に不可欠な保護策が提供されています。このような給付やプログラムは、住民が豊かになり、自立し、飢餓、貧困、ホームレスなどの困難な状況を回避する手助けとなります。
今日では、この金銭的サポートは、社会保険、税制上の優遇措置、補助金、貸付、または直接的な現金支給という形で提供されています。金銭的サポートの取り組みの財源は公的資金であるため、サポート機関は利用可能なリソースを最大限に活用し、サポートを受ける資格のある対象者を慎重に決定する必要があります。
通常、援助を求めるには、住民はデジタルまたは紙の申込書に記入する必要があります。このプロセスには、各自の状況がプログラムまたは給付の特定の条件 (申込者の年齢、収入、支出、雇用状況、その他の状況が重視される場合がある) を満たしていることを示す証明書の提出が含まれます。
受入担当者とケースワーカーは、申込を慎重に確認し、申込データが完全かつ正確であることを確認します。その情報に基づいて、ケースワーカーは申込者がその申請された給付の対象であるかどうか、また受給金額を決定します。この決定には、不正や資金の乱用を防止するための厳格な法律と規則の遵守が求められます。
住民とケースワーカーが従う給付申込プロセスの典型的な手順を見ていきましょう。
プロセス手順 |
説明 |
|---|---|
ディスカバリー |
住民が政府機関の Web サイトで利用可能な給付やプログラムを確認します。 |
申込書の提出 |
住民が給付の申込書と補足ドキュメントを提出します。 |
申込の確認 |
受入担当者、ケースワーカー、ケースマネージャー、その他の担当者が申込書と関連ドキュメントを確認します。また、住民の対象資格を評価し、申込を承認または却下するか、または住民に申込書を差し戻して修正を求めます。 |
対象資格の決定 |
確認機関が住民に受給資格があると判断した場合、ケースワーカーはその住民に給付を割り当て、承認された旨と受給見込金額を通知します。 |
給付支払 |
ケースワーカーが、対象となる金額の 1 回限りの支払または定期的な支払を設定します。 |
さほど難しそうではありませんよね? 残念ながら、このプロセスでは、サポートを求める住民にとっても、申込を処理するケースワーカーにとっても、多くの複雑な課題が何度も発生します。
給付管理の課題
請求管理プロセスに関連する課題をいくつか詳しく見てみましょう。
住民の課題
行政機関の Web サイトや申込プロセスでは、操作がわかりにくく、明確な対象資格要件や提供タイムラインなどの重要なコンテキスト情報が表示されないことが多々あります。そのため、住民はどのような給付が利用可能なのか、またその給付を受け取るための要件を満たしているかどうかを簡単に知ることができません。
必要な条件を理解した後、住民は補足ドキュメントを集めて提出する必要がありますが、これは困難で時間のかかる作業となります。住民が申込書を提出した後も、申請の状況、対象資格決定の理由、または支払スケジュールについて明確なコミュニケーションが行われないことがよくあります。
申込処理の遅延や支払システムの問題は、サポートの流れを妨げ、住民の困窮を長引かせたり、悪化させたりする可能性があります。給付を受け取る住民は、多くの場合、定期的に対象資格を再証明する必要があり、これは面倒なプロセスです。
ケースワーカーの課題
その裏では、ケースワーカーは大量の申込書と補足ドキュメント類を整理し、各申込者の固有の状況を調べ、必要に応じて追加情報を要求する必要があります。さらに、個々の給付の対象資格要件は複雑さがそれぞれ異なり、定期的に変更されます。作業量が膨大で作業内容も複雑なため、ケースワーカーはタスクの優先順位付け、正確な判断、申込者とのコミュニケーションの維持に苦労しています。
申込が承認されると、ケースワーカーは住民が受け取る援助金額を手作業で計算する必要があります。ID 検証とデータ検証のツールがないため、計算を間違ったり、支払時に支払に関する問題が発生したりします。バックエンドシステムが分断されていて直感的に操作できないことや、紙のドキュメントが存在することから、この作業は一層困難になり、政策変更を反映する更新を実装することもより難しくなります。
このような課題のすべてが、妨げ、エラー、または不正行為につながり、人々の信頼を損ない、この重要な取り組みによる成果が反映されるのが遅くなります。
公共セクターソリューションの給付管理
資金援助プログラムと給付は、数え切れないほど多くの個人や家族にとって不可欠なものです。そのため、公共セクターソリューションには、信頼と透明性を念頭に置いて構築された給付管理 (一新された人間中心のサービス提供アプリケーション) が含まれています。給付管理では、自動化、インテグレーション、コラボレーションを使用することで、タイムリーな援助を提供し、管理の手間を削減できます。
公共セクターソリューションの給付管理を使用して、次のことを行います。
- 便利でモバイルに対応したオンラインポータルのみを介して、住民を誘導し、住民がニーズや関連付けられている要件を満たす給付とプログラムを迅速に特定できるようにサポートする。
- オンラインフォームに入力した収入、支出、世帯規模、その他の条件に基づいて、対象となるすべての給付のリストを住民が確認できるように、対象資格計算を自動化する。
- 各プログラムや給付の要件に沿った対象資格確認と承認のフローを使用して、デジタル申込書と補足ドキュメントを迅速に協力して処理する。
- 申込プロセス全体を通じて、住民が申込状況、対象資格決定に関するインサイトや理由、支払スケジュールを表示できるように、自動状況更新とセルフサービスアカウントを設定する。
- サードパーティの支払システムとのインテグレーションにより、対象資格のある受給者に対して 1 回限りの支払または定期的な支払の給付を行う。
- 住民がオンラインポータルを通じて自分の状況に関する変更を報告したり、ケースワーカーがその変更に基づいて対象資格を再評価し、支払金額を簡単に更新したりすることを容易にする。
給付管理には、給付申込、対象資格確認、支払を簡素化および迅速化する革新的で強力なツールセットが含まれています。このモジュールでは、このようなプロセスをサポートする Salesforce オブジェクトとそのオブジェクトを使用して給付金を迅速かつ効率的にロールアウトする方法を学習します。
このモジュールには、金銭的給付のプロビジョニングに使用する公共セクターソリューションオブジェクトに関する情報が含まれています。食糧配給やカウンセリングセッションなどの現金以外の給付の設定方法の詳細については、「公共セクターソリューションの社会福祉プログラム管理データモデル」Trailhead モジュールを参照してください。
資金援助に関して、住民と公共機関が直面する長年の課題について詳しく見てきました。また、給付管理がこのようなプロセスの効率と透明性を向上させる方法についても一部確認することができました。次の単元では、この Salesforce アプリケーションを強化するオブジェクトについて詳しく学習します。