オンデマンド Sandbox の詳細を知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- オンデマンド Sandbox と POD ベースの Sandbox の相違点を 3 つ挙げる。
- マーチャントがクレジットを消費する方法を説明する。
- オンデマンド Sandbox の管理者タスクの詳細を説明する。
- 管理者がオンデマンド Sandbox で実行できる 3 つの操作について説明する。
はじめに
Linda Rosenberg は高級なスニーカーとアパレルを扱う Cloud Kicks のシステム管理者です。ここ最近は、Cloud Kicks のストアフロントの管理に役立つ Salesforce B2C Commerce のスキルを次々と習得しています。今週は、オンデマンド Sandbox の構成方法を学ぼうと考えています。
Salesforce B2C Commerce のオンデマンド Sandbox を使用すると、Cloud Kicks で次のことが可能になります。
- 迅速なイノベーション: ビジネスの要望を見越した最新のイノベーションをスピーディに開発して配信する。
- デベロッパーの生産性の向上: Sandbox がわずか数分で起動するため、デベロッパーがクリーンかつ予測可能な環境で構築できる。
- 継続的なインテグレーションと配信による速やかな進行: ビルド、テスト、導入、インテグレーションの移行時間を縮小して、新しいコードを効率的に導入する。
Linda は、API コールを使用してパブリッククラウドベースの Sandbox を取得し、アクティブな Sandbox 数や有効期間を管理できることを知って喜んでいます。デベロッパーの要件の変動に応じて使用量を拡大縮小できれば、リソースの消費をかなりコントロールできます。
1 つのレルム (Salesforce 組織のようなもの) に最大 47 の標準 (ポッドベース) の Sandbox を構成できますが、サイトのプロビジョニング時に自動的に追加できるのは 5 つのみでした。メンテナンス開発サイクルでは 5 つで十分ですが、大規模なプロジェクトになるとこれでは足りません。標準の Sandbox を追加購入しても、ほとんどの時間は休止状態になるため、リソースが無駄になります。
Linda とデベロッパーは、必要に応じて Sandbox の数を増やし、需要が緩和された時点で元の数に戻せることを望んでいます。作業の終了時に環境を廃棄する必要がある継続的インテグレーションと継続的配信 (CI/CD) では、こうした柔軟性が特に役立ちます。
ここで登場するのがオンデマンド Sandbox です。
オンデマンド Sandbox とは?
オンデマンド Sandbox を使用すれば、デベロッパーがコードの記述にすぐさま着手し、マーケティングの機能要件のロールアウトを合理化できます。
POD Sandbox とよく似ていますが、次の機能が追加されています。
- パブリッククラウドに存在する。
- Account Manager の役割や許可の処理に統合されている。Account Manager は B2C Commerce のブラウザーベースのツールで、管理者が B2C Commerce のアカウントを作成して管理し、無効にすることができます。
- API またはコミュニティベースのコマンドラインツール (SFCC-CI) を使用するセルフサービスである。
- 作成時に Open Commerce API (OCAPI) や WebDAV 設定をパラメーターとして使用できる。
- Time to Live (TTL) を定義すると、指定した時間後にクリーンアップされる。
オンデマンド Sandbox を利用すれば、Linda の日常業務がかなり楽になります。Linda には次のようなメリットがあります。
- Sandbox を数分で取得できる: 管理職がオンデマンド Sandbox のクレジットを購入後、API コールやコマンドラインを使用して新しい Sandbox を数分で取得できます。
- Sandbox を必要なだけ作成できる: 大小さまざまな規模のプロジェクトに適合させることができます。
- 継続的インテグレーションと継続的配信 (CI/CD) 開発プロセスで Sandbox を使用できる: オンデマンド Sandbox は本来一時的な機能で、ユーザーが取得して使用した後に廃棄するものとして設計されています。
- 必要に応じて使用量を増大できる: 必要に応じて Sandbox の使用量を増やし、必要がなくなったら元に戻すことができます。
- コストを管理できる: Linda の管理職は、Sandbox の使用量に応じて課金される点が気に入っています。
- グローバルに展開できる: この機能は、北米、EMEA、アジア太平洋/日本で使用できます。
クレジットのしくみ
Linda の管理職が Salesforce アカウントエグゼクティブ (AE) にオンデマンド Sandbox の注文を依頼しました。オンデマンド Sandbox は使用量ベースで、Cloud Kicks のようなマーチャントがクレジットを購入します。現在のところ、マーチャントのオンデマンド Sandbox のクレジットにアクセスできるのはパートナーのみです。
このモデルでは、Linda が少数の Sandbox をしばらくの間稼働し続けることや、短期のプロジェクト用に Sandbox をいくつか作成することができます。その際、アップタイムやダウンタイムに応じてクレジットが使用されます。削除された Sandbox については、クレジットが消費されません。
下図は、Linda や管理職が消費を経時的に追跡した場合の一例を示しています。
クレジットは次のようなしくみになっています。
- 作成: Linda が Sandbox を作成または起動すると、その Sandbox のアップタイム 1 分あたり 1 クレジットが消費されます。1 分未満も 1 分とみなされます。
- 停止: Linda が Sandbox を停止すると (またはプロセスによって停止されると)、ダウンタイム 1 分あたり 0.3 クレジットが消費されます。1 分未満も 1 分とみなされます。
- 削除: Linda が Sandbox を削除すると (またはプロセスによって削除されると)、クレジットの消費が停止します。
Linda とデベロッパーが管理職から、どのくらいのクレジットが必要かと質問されました。Salesforce では、デベロッパーの人数 (パートナーデベロッパーを含む)、1 日に実行予定の CI プロセス数、契約の週数などを考慮する使用量計算機能を用意しています。具体的なクレジット数が示されるわけではありませんが、どのくらい必要かの目安になります。Linda はこの計算シートの自分用のコピーを作成してチームの使用量を監視し、クレジットを適切に調整したうえで、REST API を使用して使用量データを追跡します。この点は後続の単元で説明します。
Linda とそのチームは、Sandbox をどのように使うかを自分たちで決めることができます。クレジット制のため、少数の Sandbox を長期にわたって稼働させることも、多数の Sandbox を短期間稼働させることも可能です。Linda の管理職は、50,000 クレジットからなる SKU を 1 つ購入することも、個別の環境を購入することも可能です。何を選択するかは、ビジネス、プロジェクト、デベロッパーの要件次第です。
各人の役割
Cloud Kicks では、購買、管理、開発の各部門の担当者で構成される意欲的なチームがオンデマンド Sandbox に関与します。
担当業務。
ステップ | チームメンバー | 業務 |
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1 | 購入者 |
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2 | 管理者 |
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3 | デベロッパー |
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ストアフロントのコードやデータを忘れずに追加する
新しいオンデマンド Sandbox にはストアフロントデータが含まれていません。そのため、Linda がインポートしてアップロードする必要があります。POD ベースの Sandbox にあるコードやデータをオンデマンド Sandbox に直接移行することはできませんが、POD Sandbox からデータやコードをエクスポートしたうえで、オンデマンド Sandbox API を使用してオンデマンド Sandbox にインポートできます。