昨年の教訓から学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ホリデー商戦を振り返るメリットを説明する。
- ホリデーの変化する主要な原動力を 3 つ挙げる。
- 買い物客とのエンゲージメントのトレンドについて説明する。
- 実店舗からオンラインへの移行について説明する。
はじめに
いよいよホリデーショッピングシーズンが始まります。ですが、顧客の消費行動については、今年はインフレが不透明要因になっています。このように不明確であるからこそ、ホリデーシーズンで最大限の利益を上げるために事前に計画を立てるべきです。まずは、前年を振り返ってホリデー商戦の計画を始めましょう。振り返ることによって、次のことができます。
- 成功メトリクスを決める
- 新しいまたは継続的な行動パターンを確認する
- 改善の機会を見極める
数値
まず、昨年のショッピングトレンドを数値で見てみましょう。Salesforce では、30 か国のサイトに アクセスしている 10 億人以上の買い物客のショッピングデータを入手できます。このデータから、消費者動向を独自の視点で把握できます。
2021 年のホリデーシーズンで明らかだったのは、特定のオンラインショッピングの原動力が急速に変化してきているということです。
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提供オプション: 買い物客はオンラインで購入し、店内または駐車場で受け取った
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デジタルショッピング: 収益で占める割合は実店舗よりデジタルのほうが大きい
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代替の支払い方法: デジタルウォレットや代替の金融ツールが財務や健康の不確実性の緩和に役立った
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ソーシャル: ソーシャルリファラルチャネルからのオンラインショッピング訪問が増えた
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ロイヤルティ: 買い物客はロイヤルティプログラムと優れたカスタマーサービスを提供するブランドから購入する可能性が高かった
デジタルホリデーショッピングシーズン
誰に聞いても、2021 年のホリデーショッピングシーズンは歴史に残るものでした。消費者がホリデーショッピングを早めに始めたこともあり、デジタルコマースの収益は米国で前年比 18% 増、世界全体で 8% 増となりました。消費者によるオンラインでの支出は、世界で 1 兆 1400 億ドル、米国で 2570 億ドルを記録しました (2020 年はそれぞれ 1 兆 1000 億ドルと 2,360 億ドル)。つまり、オンラインショッピングと統合ストアエクスペリエンスの需要は今後も続くということです。
オンライン購入・店舗受け取り (BOPIS)
BOPIS と駐車場受け取りは、消費者にとって利便性が高いことが証明されています。また、このような履行オプションにより、顧客はホリデーシーズン中の配送の遅れに悩まされることがなくなり、早めに買い物をしなくても、予定どおりに商品を受け取ることができました。
2021 年のホリデーシーズンに BOPIS またはクリックアンドコレクトのオプションを提供した米国の小売業者では、デジタル収益が前年比平均 で 40% 増加しました。実際、小売業者の 74% が、買い物客が店舗で購入商品を受け取る間に少なくとももう 1 つ商品を購入したと報告しています。つまり、BOPIS によって、顧客の初回購入後も付加価値の高いサービスを提供することで、各ブランドは差別化を図ることができました。
教訓: 買い物客は履行において選択肢を求めています。消費者は依然としてサプライチェーンの停滞に直面しているため、次のホリデーシーズンで BOPIS と駐車場受け取りのオプションを提供するブランドがウォレットシェアを獲得することになります。
ソーシャルプラットフォームと新しいプラットフォームの買収
パンデミック中のロックダウンと購買力をつけてきたデジタルネイティブが相まって、ソーシャルメディアを通じたショッピングが広く普及することになりました。消費者は新しいブランドや商品を見つける際に、Instagram、TikTok、その他のデジタルチャネルを利用することが多くなっています。今日では、66% を超える買い物客がオフラインよりもオンラインショッピングを希望しています。ソーシャルは買い物客が参照して購入するための新しいマーケットプレイスであり、統合されたショッピング体験を創出するために不可欠な部分になっています。
また、イコライザーとしても機能し、小規模な小売業者が隙間市場のオーディエンスを利用してフォロワーを獲得し、オンライン収益を増加させることができます。調査によると、APAC 地域の全インターネットユーザーの約 50% がソーシャルメディアプラットフォームを通じて少なくとも 1 つの商品を購入しています。ソーシャルコマースの台頭は今後も続く世界的な傾向となっています。
教訓: コマースにとって、ソーシャルは急成長している好ましいメディアです。今年のホリデーシーズンでは、オムニチャネルマーケティング手法に取り入れてください。
デジタルウォレットと代替支払方法
特にホリデーシーズン中は、顧客は簡単に買い物したいと考えており、企業はビジネス獲得のために対応しています。その結果、モバイルウォレットやその他の代替支払方法が広く使用されるようになりました。調査によると、企業の 64% がすでに少なくとも 1 つのモバイルウォレットオプションを提供していることが示されています。モバイルチェックアウトはその利便性により、急速に買い物客のスタンダードになりつつあります。必要最小限のクリックでチェックアウト可能であることは、重要な利便性です。購入のたびに配送先や請求先の情報を入力することなくチェックアウトできれば、顧客は適切な商品を探すことにより集中できます。
教訓: ブランドは機敏に、顧客が好む支払方法の進化に遅れずについていけるデジタルソリューションを採用する必要があります。コマースプラットフォームで簡単に新しい支払種別を提供できるようにしてください。
ブランドロイヤルティ
買い物客がブランドとの関係を見直すとき、顧客ロイヤルティがこれまで以上に重要になります。消費者の 78% は、ロイヤルティプログラムがあるとそのブランドから購入する可能性が高くなります。そのためには、割引やリワードポイントシステムだけにとどまらず、特別に大切にされていると買い物客が感じるユニークな体験を創出することに重点を置くようにしてください。効果的な手法として、新製品の発表・販売に先駆けた特別アクセス、招待者限定イベント、配送のアップグレードなどがあります。ミレニアル世代と Z 世代は、特に限定商品や限定イベントへの特別なアクセスを重視しており、その割合は X 世代とベビーブーマー世代のほぼ 2 倍となっています。
かつてロイヤルカスタマーであった顧客は新しいブランドに目を向けています。新しいブランドを試すために行動した買い物客の 73% は、そのブランドを利用し続ける意向を持っています。このようなすべての新規顧客をロイヤルカスタマーに変えることが不可欠です。効果的なロイヤルティプログラムを作成するには、買い物客が共有してくれたデータを使用して、リピーターになってもらえるような素晴らしい体験でそれに報います。ブランドは、ロイヤルティメンバー向けの機能を組み込むために、チェックアウトプロセスの練り直しさえも行っています。組織 の 51% はチェックアウト時の支払方法としてロイヤルティポイントを提供しており、デジタルリーダーにおいては、すでに投資している可能性は 2 倍にも上ります。
教訓: ロイヤルティを高めるには、買い物客の心を動かすものを知る必要があります。そのためにはデータが必要です。コマース、マーケティング、セールス、サービスからインサイトを収集し、パーソナライズされたショッピング体験を創出し、顧客をリピーターにするための最適な方法を見つけ出してください。
2021 年のマイルストーンと記録
昨年のホリデーショッピングシーズンから得られた主なインサイトは次のとおりです。
- デジタルセールスが 1 兆ドルを超えた
- ホリデー商戦の 24% は 11 月に発生した
- 消費者は、ホリデーシーズンのショッピングの支払に資金調達オプションを利用した
- 祝日の配送締め切り日に間に合うように買い物客が早めに購入したことで、世界全体で前年比 4% 増、米国では 8% 増となった
チームによる振り返りの計画
2022 年のホリデーショッピングシーズンはこれまでとは異なるものになることは間違いありませんが、昨年のトレンドの多くが残る可能性が高いため、このトレンドを理解しておくことが引き続き重要です。Salesforce データとインサイトの確認は、次のホリデーシーズンの準備をする優れた方法ですが、自社のストアフロント体験を評価することも必要です。チームでミーティングを行い、次の質問を確認し、昨年のパフォーマンスについてさまざまな視点を得るとともに、新しいアイデアにも目を向けましょう。
- ホリデーシーズン中にうまくいかなかったことは何か?
- どのキャンペーンおよびプロモーション戦術が成功したか?
- オンライン体験をオフラインまたは店内体験とどのように合致させることができるか?
- マーチャンダイジング、マーケティング、機能性、またはリテール業務のやり方をどのように変えることができるか?
- ホリデーマーチャンダイジングの改善点を判断するために使用できる指標はどれか?
次のステップ
ホリデーショッピングとタイミングの原動力は常に変化しています。過去を振り返ることで、たくさんのことがわかりました。オンラインショッピングがかつてないほど普及しており、買い物客が新しいブランドを見つけたり、商品を閲覧したり、購入したりするためにソーシャルメディアにますます依存していることを学びました。
また、買い物客が BOPIS や駐車場受け取り、デジタルウォレットや購入資金を調達するのに役立つ代替支払オプションを高く評価していることも学びました。最後に、ブランドロイヤルティの構築が鍵であることを学びました。それを実現するために効果的な手法は、特別に大切にされていると買い物客が感じるユニークな体験を創出することです。
これらのインサイトと会社独自の視点を考慮しながら、ホリデーシーズンのプロモーション戦略の練り方について学習しましょう。
リソース
- Salesforce: The New Holiday Retail Planning Guide (新ホリデー商戦計画ガイド)
- Salesforce: Doing More With Less This Holiday Season? AI Retail Merchandising Can Help (今年のホリデーシーズンで、より少ない労力でより多くの成果を上げるには? AI リテールマーチャンダイジングの活用)
- Salesforce: The Holidays Will Be Different This Year — Here’s How To Measure Your Ecommerce Success (今年のホリデーは例年と違うものになる - e コマースの成功を測定する方法の紹介)